第79話 ウグワーッ何も言わず5000pt進呈
「よし、では明日は早起きしてパンを買いに行ってみよう。明け方の前の時間に、職人たちがパンを焼きに来ているはずだから……」
「うむうむ、この時代のパンは素朴で美味いからのう。わしの時代のパンは……記憶を手繰り寄せると……甘く柔らかくする方に力を割り振っており、これはこれで美味いがお菓子のような感じじゃったな」
「あー、俺の方も一緒だ。でもハードパンもちゃんとあったな。この世界のパンはハードパンよりさらに素朴な感じだからなあ」
ヨルカとパン談義などしていると、大浴場でなんか艷やかな声が聞こえるではないか。
なんだなんだ。
マキナとデリアが入っているはずだが、何かあったのだろうか?
「なんじゃ、夫のくせに見に行かんのか。別に咎められることもあるまい。一緒に行くぞ」
「えーっ」
ヨルカに引っ張られて様子を見に行くと……。
富士山の壁画兼、夜空を見られる窓が今はスクリーンになっている。
そこに映し出される、俺とマキナの夜の参考用動画!!
いわゆるアダルトなやつですな。
正しい行為のやり方を学ぶ、教育用ソフトらしい。
『そうですよ。この生殖方法を採用する種族全員が参考にできるように作られています。行為には正しい快感があるべきですので、快感の作り方と受け取り方もレクチャーしていますね!』
「な、なるほど……」
マキナもデリアも、ポカーンとなって動画に見入っている。
そう言えば忙しくて、マキナと一緒に見る約束だったこのビデオ、全然見れてなかったな。
「こ……これは……殿方がいないと確認できませんね」
「ああ……頭の中で練習はしたことがあるが実践となると話が違うな……」
座学主義だ!
こ、このままでは参考のために搾り取られてしまう!
「いいことなのじゃ。ほれ、サイズ感を合わせてやって協力するといいじゃろう」
「ハッ、ヨルカの声! あっ! ミアンがいますよ!」
「確保だーっ!」
「うわーっ!!」
『ウグワーッ! 何も言わず5000pt獲得!!』
「くっそ、チャットボットがなんか万感の思いでポイントプレゼントしてきた! 助けてくれー!」
ということで、マキナとデリアが知見を得てしまった。
翌朝腰が抜けて立てなくなったらどうするんだ……!
あ、いや、大変凄かったです。
ギリギリ足腰が立つレベルで勘弁してもらった。
「ミアン、なんか凄く大きくなってませんでした!? どういうことです!? あ、あれはちょっと自信がなくなります」
「そっち方面のスキルツリーで変更できるようになったんだ。チャットボットの甘言に騙されて他のスキルを取れなくなったけどね……」
「えっ!? あれは大きくしていたのか!? ミアンであれなら他はとても無理だからミアンしかいないなと思ったのだが……」
うちの女子たちはどうなっているんだね?
そんな下世話な話をしつつ、朝イチでパンを買いに行くのだった。
おかずの方はこっちで用意してある。
パン屋の前には、作業員たちが既に並んでいた。
あっ、パン屋で簡単なおかずも用意してあるのね。
ハードパンに切れ込みを入れて、干し肉と漬物を刻んでブレンドしたやつを挟んでくれるらしい。
これはこれで美味しそうだな……。
「せっかくだからあれ食べましょうよ!」
「そうだなあ……」
ということで、お店お勧めの朝食にするのだ。
朝のスープは隣で煮込み屋が出してくれる。
昨夜の具材の残りを一晩煮込んだスープで、これはこれで美味い。
飲みやすいように薄めてくれてるんだな。
店員いわく、
「工事は朝からやるでしょう。だから作業員の方も朝から力をつけたい! それなら一晩煮込んで、これを朝食で出せばいいわけですよ。いやあ、食材が無駄にならずに助かってます!」
「隣が煮込み屋さんなんで、お互いにシナジーを生み出すべく考えてるんだよね。こっちがパン、向こうが汁物。相性絶対にいいじゃない」
むうーっ!
現場監督である俺が知らぬところで、新たな関係性が生まれている!
ちょっと感動してしまった。
『ウグワーッ! 人と人が繋がり新しい関係が生まれました! 実績・人間関係は有機的なものですからね、解除! 1000pt獲得!』
「うまいうまい」「朝からこんな満足できる飯食えるの最高」「パワーが湧いてくるぜ!」「これで夜に酒が出たらなあ」
「出しますよ!」
煮込み屋の人が断言したので、作業員たちがざわついた。
「なんだって!?」「じゃあ仕事終わりはここで宴会するしかないじゃないか」「ポイントの実入りがいいから、ちょっとくらい使っても問題ないもんな!」「うおおお帰れなくなるまで飲むぞ!!」
これは……!
作業員用の簡易宿泊所を作るべきではないか。
酔っ払って帰れなくなってもいいように、ベッドを横に並べた施設を……。
天井と風よけだけあるような簡易施設だが、これで問題あるまい。
大浴場の横にズラーッと横一列に並べておいたのだった。
「なんかこう……ここだけで生活が完結するようになってきたのう」
ヨルカの言う通りかも知れない。
既に作業員用のトイレも設置してあるし、風呂と寝床と食事があるなら、そこは即ち生活空間なのだ。
なんか無言でめちゃくちゃ食べてるマキナと、俺の1.5倍くらい食べてるデリア。
うちの女性陣はとにかく食うなあ……。
「おはようー! ここでミアンが監督やってるって聞いたから働きに来たぜ!」
あっ、懐かしい顔が!
ジュドクである。
彼もここで煮込みとパンを買うと、モリモリ食べ始めた。
「冒険者はどうなの?」
「順調順調。でもさ、俺のスタイルが他の人と相性あんまよくなくて。早すぎるってさ。あとブレスを全力で使うと、一時的にその場所では魔法も使えなくなるから」
「あー、因子を消費するからねえ」
「ジュドクが元気で何よりです! ちなみにこのパンをスープに付けると美味しいですよ!」
「ほんとかマキナ!? あ、うめえー。ってかマキナは雰囲気あんま変わってないなあ。ミアンと上手く行ってるのか?」
「ちょ、ちょっぴりずつ進展してます! 昨夜なんか……」
「うわーっ、夜の生活の話はやめよう!!」
俺は慌てて止めたのだった。
こうして現場に、ジュドクという強力な助っ人が参加した。
作業を進めながら、俺は今日は造園職人に声を掛けに行くぞ。
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