第72話 貢献ポイントでお買い物をしました! +1000pt
その前に。
『ようこそおいで下さいましたミアンさん、マキナさん。こちらは壁を生産する工場となっております。私はこの工場を管轄するロッペルフス子爵です』
「あ、どうもどうも」
身長2m近い堂々たる偉丈夫!
角刈りの頭にいかつい顔がくっついてる。
ムッキムキだけど……これ、AIのアバターなんだよね?
俺は頭二つ分大きな巨体を見上げながら、握手に応じた。
「私より大きい殿方って、人間の里だと少ないんですけど……はえー」
マキナまでポカーンとしているではないか。
女子で180センチあるのはなかなかだもんね。
さて、俺達がこの壁工場にやって来たのは……。
「リクス・タカードへ向かうルートに壁を作っているでしょう。そこに街を伸長していくミッションを受けたんですよ」
『はい。ザーマルスキーから連絡を受けていますよ。我が工場を訪れたということは……もしや、エッジユニットをお求めですか? 道を繋いでいくだけなら、壁の端を構成するエッジユニットは不要なはずですが』
「ええ。この工場が壁の端を作ってると調べてやって来たんです。流石、貴族の方々で情報共有されてますね。えーとですね、図に書くと」
俺はストレージからホワイトボードを取り出して説明する。
「壁をこうやって闇雲に繋げていっても、効率が悪いです。ですから俺達がまず、エッジユニットを橋頭堡として利用し、リクス・タカードへ向かうルートに点々と設置していくと。壁はここを目指して延長し、それぞれのエッジユニットがルートの中継地点として機能するようになるわけです」
『なるほど!! 外の世界にマーキングを施すわけですね! これは面白い。では専用のエッジユニットを生産させてもらいます。とは言っても、分かりやすく彩色するだけですからすぐに終わりますよ』
ロッペルフス子爵が工場に指示を出すと、作業員らしき人々が手を振って応えた。
作業員は人間なんだなあ。
『人が労働することで、そこに経済の流れが生まれます。それこそが街の血液ですからね』
「伯爵と同じこと言ってる」
『我ら貴族は、ケスタイン王国をつつがなく運営するために存在しています。ミアンさんの活動が、王国にとって良き刺激となることを願っていますよ』
温和な人なのだった!
というか、AIなのに物凄く人間的だな。
やっぱりシンギュラリティ起こしてるよなあこの人たち。
その後、先端を真っ赤に塗られたエッジユニットが二本送られてきた。
『めったに使わないものですから、在庫はこれだけです。後に必要本数を計算し、発注して下さい。注文から七日で生産が完了します』
「了解です! じゃあこれ、いただいていきます!」
特注品なので、貢献ポイントを一本一万ずつ払ってと……。
『ウグワーッ! ミッションに必要な重要物資を獲得しました! 実績・目印は大事だね、解除! 500pt獲得!』
『ウグワーッ! 貢献ポイントでお買い物しました! 貢献ポイントと連動したサービスで、使用したポイントの5%がUGWポイントに加わります! 1000pt獲得!』
「えーっ! 貢献ポイントを使うとポイントがもらえちゃうの!? お得~!!」
「なんだか分かりませんが、ミアンが喜んでいるなら私も嬉しいです! それはそうと……。私は何をしたらいいんですか? この仕事、ミアンだけしか動いてない気がして……」
「マキナは隣にいてくれるだけで嬉しいんだけど」
「えーっ!! 嬉しいー! で、でも私、こう、体を動かして働き続けてないと落ち着かないといいますか……」
なるほどー。
労働が習慣化している系女子だ!
「じゃあ、インビンシブル号にオプションを付けて、その操作を担当してもらおう!」
そういうことになった。
具体的には、インビンシブル号の上にロボットアームを設置したのだ。
そして二本の腕の間に操縦席。
筒に腕を突っ込んで、感覚的に動かせるぞ!
正門から外に出て、建設中の壁に沿って走りながらマキナに練習してもらう。
「ポチョ、このまま地図のこの地点まで走ってね」
『ポッピ!』
「最近、運転ばっかりさせて悪いね」
『ポピピ~』
ポチョはいい子だなあ。
さて、インビンシブル号の屋上。
マキナが神妙な顔をして、操縦席に座っている。
「どうすればいいんですかね、これ?」
「生身じゃない操作は初めてだもんね。ええとね、この筒に腕を入れると、機械が神経に反応するから……」
「あっ! 私がちょっと動いたら、この大きい金属の腕も動きました!!」
「そうそう! それで、自分の腕を使うイメージで動かすんだ。上手い上手い!」
「あのー、ミアンが後ろからそうやって支えてくれてると安心するので……」
マキナが可愛いわがままを言ってきている!
「了解! じゃあ俺は後ろからやり方を指示するね」
二人の共同作業的な感じなのだ。
なお、このロボットアームはなかなか有用で……。
『もがーっ!』
「ジャイアントグラスクラブだ!!」
「えいやー!!」
草むらから起き上がる超巨大な陸棲ガニを、ロボットアームが迎え撃つ!
繰り出されるハサミを受け止めると、そのまま引っ張って投げ飛ばした!
『もがーっ!?』
背中からドシーンと落ちるカニ。
ぶくぶく泡を吹いたあと、じたばたしてからどうにか起き上がった。
カニの目がじーっとロボットアームを見る。
わきわき動いて、どこからでもかかってこい! の姿勢を取るロボットアーム。
カニはさささーっと横向きに逃げていった。
勝てぬことを悟ったか。
『ウグワーッ! 謎の技で巨大生物をいなしました! 実績・柔の極み、解除! 1000pt獲得!』
「いきなり極みって言わないほうがいいんじゃないかなあ!」
こうしてインビンシブル号は、目的地へ向かうのだ!
◎現在のポイント:80520pt
貢献ポイント :105855ポイント
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