第66話 集落の中でも公然の仲になりました! +1500pt
大変なお祭り騒ぎになった。
そりゃあそうだ。
里のみんなで協力し、災害竜テアライを撃破したのだ。
「俺達でもやれるんだ!」「すごい体験だったー!」「こんなの初めて!」「誰だって初めてだよー! 族長以外!」
わいわい、キャッキャと大喜びの人竜族の皆さん。
彼らをまた客車に収めて、集落まで運ぶことになるのだった。
不思議と他の亜竜や怪物たちの襲撃もない。
みんな、テアライの出現と消滅に驚いているのかも知れない。
到着した集落では、みんながワーッとめいめいの家に散り。
少ししたら、大量の食材を持って集まってきた。
「皆の者! 我らはかの災厄、テアライを退けた! それも、皆の力でだ! これは我らに取って得難き経験となり、より繋がりを深くするきっかけともなろう!」
火が起こされ、大規模バーベキューの準備がされている前で、族長が演説する。
衰えたりとは言え、凄い声量だ。
おっ、なんかマキナに話しかけに来た人竜族の男性が三人ほどいる。
「お母様が違うんですが、兄です」
「あっ、これはどうも」
マキナ兄たちとペコペコ挨拶をする俺なのだった。
みんなムキムキで、赤、青、緑の角の色をしているな。
それぞれ族長候補として、メギドアに対抗しているらしい。
だが、彼らは「血が濃くなるから」ということで一夫一婦制を守っており、メギドアほどの発言力がなかったと。
なるほど、人竜族も色々だなあ。
そうしたら、みんながワーッと盛り上がった。
なんだなんだ?
「お父様がお兄さんの名前を呼んで、今回一番の功労者で里の恩人で、英雄でお姉の夫だって話をしたんだよー」
「な、なにぃーっ!? それは本当かクリカちゃん!」
「クリカ嘘言わないしー?」
『ウグワーッ! 集落の中でも公然の仲になりました! 実績・もはや逃げ場はないぞ!分かってるな! 解除! 1500pt獲得!』
分かってるよ!?
そして始まるバーベキュー大会。
よく分からん肉や、見たことない野菜が大量に焼かれている。
あっちは巨大な鍋でスープを作っており、こっちは木製の容器で蒸し料理を作っている。
焼く、煮る、蒸すが基本的な調理法なんだな。
俺も何か料理を出そうとしたら、タリアさんに止められてしまった。
「ここは私たちがミアンさんをもてなす場ですから。いただいてばかりでは示しがつきませんし、マキナの夫となるあなたと里は、仲間ですからね。互いに与え合うのも仲間なのです」
「な、なるほどー。含蓄あるお言葉ありがとうございます」
「それはそうとミアンさん、それにマキナも。今夜は時間を作って、私達の寝室にいらっしゃい。教えることがあります」
「教えること……?」
「なんでしょう……?」
俺とマキナが首を傾げていると、クリカちゃんが「えーっ! 気付かないの本気~!?」とか驚くのだった。
「知っているのかクリカちゃん!」
「知ってるしー。ほら、お姉は誰ともくっついたことないし、お兄さんも見た感じ経験ないでしょ? そういう二人が夜に上手く行かないでギクシャクしないよう、本当なら男の人は年上の女の人が手ほどきして、女の人は年上の男の人の手ほどきを受けるんだけどー。その余裕もないしー」
「そ、それはつまり……!!」
タリアさんのいつもニコニコしている目がカッと見開かれた。
「実践しているところを見て、学んで行くのですよ!」
な、なんだってー!!
まあ、男女が年上の異性に手ほどきをされ、やり方を学んでから夫婦としての営みを行うというのは分かる。
共同体での婚姻関係はそんな風に、集落全体でサポートするものだったらしいし。
なんなら、奥さんの方はその年上の男性の子供を産んで、子作りする能力を証明してから結婚するみたいなのもあるらしい。
そしてその奥さんは若い男子に手ほどきをする……。
寝取られの気配を感じる……!!
『ウグワーッ! 特殊趣味に目覚めそうになりました! 実績・おい、そっちに行くな! 戻れなくなるぞ!! 解除! 1000pt獲得! お前そっちに目覚めたらこれだからな!!』
うわっ、チャットボットが怒った!!
画面内に青筋の浮かんだ拳が表示されている。
このチャットボット、カッとなったら何をするか分からんな。
特殊性癖からは距離を置いておこう……。
「ま、クリカはお兄さんが経験を積んでくれれば安心だし?」
「そうですねえ。姉妹婚のいいところはそこですね。手ほどきをする安心できる男性を探す必要がありませんから」
クリカちゃんもタリアさんも、価値観はなるほど人竜族なのだ!
いや、クリカちゃんはなんかそういう打算があった可能性がある。
「じゃ、じゃあ夜は一緒に見学しましょう、ミアン」
「そうしようそうしよう。……マキナが妙に緊張している……」
「お姉は自分かアプローチするけど、実はそっち方面はからっきしですっごい恥ずかしがりなの」
「クリカ~っ!?」
「えーっ!! そうだったの!?」
『そうだったんですか!? ガーン!! ウグワーッ! 今真実を知りました! 実績・据え膳ではなかったか、逸らなくて結果オーライ、解除! 1000pt獲得!』
チャットボットまで驚いてるじゃん!
つまりマキナが積極的に仕掛けてきてたのは、実はポーズだけで……。
俺が本当にカッとして襲いかかっていたら、やり方を知らないので後はおまかせでどうにかなるかなーっと思っていたらしいのだ。
なんという行き当たりばったり。
「い、いいんです! 結果的にお母様が教えてくれることになりましたから! これで安心です! なので、これを見たらインビンシブル号に帰ってやりますよ! 実践しますよー!」
「ノータイムで!? 今夜!? うわあ、食べ物が喉を通らなくなる……」
「食べて下さい! 体が持ちませんよー!!」
『ウグワーッ! 決行は今夜! 実績、万感の思いを込めて、ついに……! 解除! 5000pt獲得!』
それお前の感想だろチャットボット!!
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