第65話 災害竜を撃破しました! +25000pt
周辺の因子を消費されたテアライ。
どうやら非実体時にもゆるゆると因子を吸いながら存在していたらしく……。
それができなくなって、ついに実体化してきた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……と空が轟く音がする。
これはテアライの吠える声だ。
顔の近くまで行っていると凄まじい轟音なのだが……。
おっと、外に出ようとしたジュドクが音にやられてクラクラしたので、ノイズキャンセラーなヘッドホンを手渡した。
「すげえ! 全然音がしない! いや、体がビリビリしてる」
音は体には響くからね。
インビンシブル号から地面に繋がるケーブルの上を、ジュドクが走っていく。
「実体化するぞー!! テアライが実体化するぞー!! ブレスを使いながら! 栄養を補給しながら、テアライから距離を取れー!!」
大声でこれを伝えながら、ジュドクが人竜族たちの中を駆け回る。
駆け回りながら、背負ったエネルギーフード……チュロスをもりもり食べるのだ!
ジュドクが走るほど、彼のブレスが使われて大気中の因子が消費されるからな。
ほら、さらに因子が枯渇して、テアライの実体化が加速してくる。
その巨大というにもデカすぎる腕が突き出され、谷底に向かっていく……。
谷を掘り返し、川を溢れさせ、踏みしめた山を崩して因子を大気中に放り出そうというのだ。
「ではミアン、動きます! マキナ、後ろから俺を支えてて!」
「はい! ミアンが落っこちないように頑張りますよ!」
「クリカは? クリカはー?」
「ヨルカとお留守番をお願い! 何か起きたら、身振り手振りで知らせること!」
「わ、分かったー!」
ということで、ノイズキャンセルイヤホンを装着して外に飛び出す、俺とマキナ。
インビンシブル号の装甲を伝って歩き、車の前方にてウォーターランスを設置!
「ポチョ! いけー!!」
ポチョの返答は聞こえない。
だが、ウォーターランスが動き出した。
極太の高圧水流が槍のごとく放たれ、実体化完了前のテアライ、その眉間に穴を空ける。
そこに向けて、テラフォーミングマシン・ミニを設置……起動!!
既にテアライを構成する大気の成分は記録されている。
これを再現するだけ。
「さらに……テラフォーミングマシン・ミニを二台目設置!! 持ってけポイントーッ!!」
俺は!
必要だと思ったときには!
貯めたポイントを一気に解放できる男なのだ!!
凄まじい勢いで、テアライに流れ込む調整された大気!
実体化しようとしていた巨大な災害竜は、一気にその存在を希薄化させていく。
テアライの目が見開かれ、何かを吠えながら抵抗しようとする。
地上では大暴れかも知れないが、希薄化しているから被害は少ないと思いたい!
ノイズキャンセルヘッドホンのお陰で、何の音も聞こえないのだ。
分かるのは、俺を後ろからぎゅっと抱きしめて固定しているマキナの感触だけ。
それでも、眼の前のテアライの様子ははっきりと分かる。
人竜族のみんながブレスを使用することで、この一帯の因子は消費されていっている。
消費された因子がどうやって回復するのか不明だが、少なくともこの消費は、過去にデイダラボウが撃退されたケースを考えると、デイダラ属が撃退されるだけの時間の間回復しないことは確かだ。
そして人竜族のブレスによる因子消費は、巨大なデイダラ属が存在する空間全域に影響を及ぼすことも分かっている。
ということは~?
「因子を吸収できない! 実体化して地形を変えて、因子を大気中に満たすこともできない! 実体化にエネルギーを使うなら、これを邪魔し続ければエネルギーだけを消費していく!」
二台のテラフォーミングマシンは、猛烈な勢いでテアライの中に大気を送り込んでいる。
フルパワーで稼働させ、これをテアライの中に送り込むウォーターランスもフルパワーだぞ。
オーバーヒートでぶっ壊れてもおかしくない。
おやあ?
ウォーターランスから火花が散り始めていますねえ。
ヤバいヤバい。
壊れるか?
壊れるか~!?
と思ったが、ギリギリ間に合った!
体がビリビリと振動するほどの音圧が、突然俺に襲いかかる。
それだけでインビンシブル号から振り落とされそうになるが、マキナの腕がしっかりと俺をホールドしていた!
中空に浮かびながら、彼女の腕だけで固定される俺。
どうにか視線をテアライに向けると、この超巨大な亜竜は、ゆっくりとその形を失っていくところだった。
色が薄く、薄くなっていき……。
足元から消えていく。
持っていたエネルギーを使い果たしたのだろう。
因子を補給することもできず、実体化も邪魔され、エネルギーが枯渇し……。
災害竜テアライは消滅した。
『ウグワーッ!! 災害竜を撃破しました! 実績・大英雄!解除! 25000pt獲得!』
うおおおおおお!!
凄いポイントだ!!
そしてチャットボットの音声は耳を塞いでても聞こえてくるんだな……。
その後に、空からキラキラ光る何かが落ちてくる。
俺はヘッドホンを外しながら、ポチョに向かって叫んだ。
「あれ、拾うぞ!」
『ポピー!』
返事とともに、空飛ぶキャンピングカーが動き出した。
ドローンの性能を持つインビンシブル号は、正確無比な飛行!
落下してきたキラキラ光るものの真下に滑り込んだ。
それは車の屋根に当たって弾み、つるんと滑って地面に落ちる……。
というところを、
「えいやーっ!!」
飛び出してきたクリカちゃんにキャッチされた!
彼女の腰にワイヤーが巻き付いていて、それは操縦席の椅子にくくりつけられていたようだ。
いい仕事!
ワイヤーを、ひいひい言いながら魔女の姿になったヨルカが巻き戻している。
俺とマキナが戻ってきたら、ヨルカとクリカちゃんがいえーいとハイタッチしていた。
「すっかり仲良くなっている」
「あっ、お兄さーん! やるじゃーん!! さっすがクリカが認めた男なんだけどー!」
駆け寄ってきたクリカちゃんが、俺にジャンプして抱きついてきた。
「うーわー! 落ちる~!」
「あぶなーい!!」
俺とクリカちゃんを二人まとめてキャッチするマキナ!
うーん、素晴らしいパワー。
その後、扉をしっかりと閉める俺なのだ。
ヨルカは、クリカちゃんから落ちてきた物を受け取っている。
それを俺に見せてくれた。
「宝石? 拳大の……。なんだいこれ」
「テアライの核じゃな。これが、あの災害竜の本体ということじゃ」
「なんですとー!?」
ここで俺は思い出すのだった。
そう言えば、ケスタイン王国のザーマルスキー伯爵に、亜竜の素材を持ってきてくれって頼まれていたんだった!
これはそっちの依頼も達成したってことでいいんですかね?
『ウグワーッ! 王国の依頼も達成しました! 実績・確実に仕事をします! 解除! 1000pt獲得!』
◎現在のポイント:49372pt
貢献ポイント :95855ポイント(災害竜テアライの素材による貢献ポイント)
お読みいただきありがとうございます。
面白い、先が気になる、など感じられましたら、下の星を増やして応援などしていただけると大変励みになります。




