第61話 提案という名の出来レース! +500pt
「では今度は、実際にテアライの周りを走り回ってみようと思う」
「賛成です! 敵を知らなければ何も始まりませんものね!」
「クリカはお兄さんの考えに全面的に賛成~!」
『ウグワーッ! 提案という名の出来レース! 実績・定められた勝利、解除! 500pt獲得!』
なんでそんな仰々しい実績名なんだ。
俺達の他に、ジュドクが同行してくれることになった。
女子たちの貞操上、彼をキャンピングカーの中に住まわせることは出来ないので……。
「すまんね。エレベーターユニットの上のキャンプで寝泊まりしてくれ」
「いやいや! 全然構わないよ! ってか、俺の脚を使わなくても現地まで移動してくれるとか本当に贅沢させてもらってるよ!」
気のいい人だなあ。
心が折れて同行しないメギドアとは大きく違う。
メギドアは、テアライの強大さに自分の攻撃が通じるビジョンが描けず、引きこもってしまったらしい。
里一番の戦士の凋落ぶりが激しいぞ。
「これはあれじゃな。強さ以外に拠り所が無かった者が、その強さをくじかれたために全てが崩れてしまった状態じゃ」
「わあーっ! ヨルカが喋ったんだけど!!」
ずっとヨルカを抱っこしていたクリカちゃん、腕の中のカカポが流暢に話しだしたので驚愕したようだ。
さては知能を取り戻すだけのエネルギーを充填し終わったな?
「わしはたまに喋るのじゃ! いや、元の姿は全然違うんじゃが、この姿の方がコンパクトであちこちに収まれる……。それはそうと、腕に覚えがある者なぞ足手まといでしかないのじゃ。あれは、気象操作システムと同化した生けるテラフォーミングマシンじゃからな。人間サイズではどうにもできまい」
「知っているのかヨルカ!」
「うむ、ああなる前の姿は知っておる。地に突き立った二本の柱じゃった。それが共鳴しあって気候を操作するのじゃ。じゃが……災厄の到来とともにそれは破壊されたはず。それに星渡りの竜の因子が混ざり込んで命を持ったのじゃろう」
『ウグワーッ! さらに情報が集まりました! 実績・メーター40%、解除! 1000pt獲得!』
なーるほど。
あれ自体が星の気候をいじるためのシステムだったのだ。
そりゃあ強大なはずだ。
では、それをどうすれば停止できるだろうか?
「現地に行くしかあるまい。ではゴーゴー!」
「行きましょうー!」
「えっ、えっ? ヨルカ、すっごく頭良さそうなんだけど?」
「ポポー」
「あー、またふかふかなだけの鳥に戻ったー」
知能を使えるエネルギーが尽きたな。
こうして半日ほど走ると、現地が見えてきた。
この間と明らかに場所が変わっている。
川の水量が増えてる当たりだな。
テアライの脚は、まだぼんやりとして実体がない感じだ。
これは、状況によって実体化したり、非実体になったりするのかな?
試しに突っ込んでみる。
「あーっ! 危ないですミアン! あぶなーい!!」
「大丈夫大丈夫。脚の下にあるはずの森が、普通に踏み潰されてないから。ほら!」
インビンシブル号は、スポーンと非実体なテアライの脚に突っ込んでしまった。
そして少し走ってから突き抜ける。
直径数十メートルという脚だ。
人間の脚というよりは、円柱みたいな感じかな。
見上げると、空にはぼんやりとしたテアライの顔面が浮かんでいる。
そこから山奥に向かって、全長二千メートルの体があるわけだ。
遠ざかるほどぼやけるから確認はできないな。
「じゃあ、The・探索でこの脚の要素を解析とか……」
扉の外に出て、非実体なテアライの脚に向けてスプーンをぶんぶん振った。
「ミアンって凄く度胸ありますよね……」
「うんうん。お兄さんって私たちが出来ないようなこと、平気な顔してやるの」
「実体がないんだから今のところは安全だよ。ほら、向こうで動物も生きてるし……っと。これでどうかな? 解析できる?」
『テアライの因子の採取を確認しました。分析を開始します』
「頼むよー!」
ステータス画面もとい、実績確認画面みたいなところに目に見えない因子が吸い込まれていくのが分かる。
視界にエフェクトを+してくれるので、便利便利。
これはマキナ・クリカ姉妹にも共有されているので……。
「キラキラしたものが吸い込まれていきますー!」
「なにこれなにこれ!? こんなの見たことないんだけどー!!」
キラキラは女子に人気だなあ。
そう言うふうに見えてるだけで、実際は無色で無味無臭だからね。
『ウグワーッ! 調査材料を採取しました! 実績・メーター50%、解除! 1000pt獲得!』
「よしよし、着実にクエストメーターが上がっていってる。これが100%に達したらテアライを撃破できるぞ」
今のところ、コツコツとした作業ばかりで、全く実戦に影響がなさそうなんだけど。
だが、俺はこのプログラムを信じる。
データを積み重ねていくぞ。
「分析終了までどれくらい掛かりそう?」
『一時間くらいですかね』
チャットボットがなんかファジーな返答をしてきた。
ではその間に、俺達はおやつを食べよう。
インビンシブル号の外に出て、ジュドクも招いてケータリングしたおやつを展開。
ヨネダ珈琲のシロガネールという特大のスイーツだ。
焼き立てでサクサクあま~いパイ生地の上に、巨大なソフトクリームが乗っている。
商品サンプルは標準サイズに見えるが、現物はそれよりも一回りでかいという、逆詐欺みたいなスイーツなのだ。
これを見て、マキナとクリカとジュドクが驚愕した。
「な、な、な、なんですかこれはーっ!? あっ、生地の焼けている甘い香りがします……」
「ふわあーっ!? 冷たいんだけど!? 冷たくて甘い!? なにこれ!? 雪じゃないし!」
「なるほど、これがメギドアを退けた甲斐性の勇者、ミアンの力……!! 冷たいのとサクサクのを合わせて食べるとまた美味しいね。恐るべし……!! メギドアに勝ち目なし!!」
「えっ!? この白いのとサクサクしたのを一緒に食べるんですか!? うわーっ! うわーうわーっ!! なんですか! なんなんですかこれーっ!!」
マキナが半分怒ったような声を出しながら、シロガネールをもりもり食べた。
クリカちゃんはソフトクリームを食べすぎて、
「うわーっ、クリカの頭が割れちゃう~っ! お兄さん助けてーっ!」
冷たいものを一気に食べると頭がキーンとするからね。
俺は熱いお茶などを用意して中和してあげるのだった。
『ウグワーッ! 楽しいお茶会です! ウィークリー実績・お菓子もお喋りも美味しいお茶会、解除! 200pt獲得!』
さてさて、もうそろそろ解析の結果が出る頃だろうか……?
◎現在のポイント:71397pt
貢献ポイント :75855ポイント
お読みいただきありがとうございます。
面白い、先が気になる、など感じられましたら、下の星を増やして応援などしていただけると大変励みになります。




