第58話 調査を開始しました! +500pt
「聞いてない……聞いていないぞ! あんなとんでもない化け物だったなんて……!!」
焚き火の前でわなわな震えるのはメギドアだ。
今回、俺達についてきて、あわよくばテアライを倒して手柄を横取り、マキナとクリカちゃんをゲットする算段だったようだ。
マキナは絶対渡さないのはもちろん、クリカちゃんはまだ子供だろう。
凄い執着だ。
「一応クリカはあと何年かで成人なのでー」
「あ、これは失礼しました」
俺が年齢確認したら、彼女は小学校高学年くらいの年齢だった。
アウトー!
メギドア、アウト!
「なのでもうちょっとおっきくなるまで、お兄さんは楽しみにしているといいんじゃない? むふふ、乞うご期待!」
「難しい言葉を知ってるなあ」
「すっかりクリカもミアンに夢中ですね。絶対、力よりも知恵に惹かれるタイプの子だって思ってたんですよね」
うんうん頷くマキナなのだった。
「こう、マキナさん的に妹は恋敵にならないと」
「それはそうですよ! やっぱり二人きりの姉妹ですし、好みも似てますからいちいち喧嘩するのも間違ってます。ミアンは懐が深いって、私も信じてますし」
「おおーっ、凄い期待がのしかかる」
俺達が大変呑気な会話をしているので、これを見たメギドアは目を吊り上げるのだった。
「お、お、お前ら! 状況が分かっているのか!? あのとんでもない怪物が、集落にやってこようとしているんだぞ! デイダラボウ以来の脅威だ! マキナも覚えているだろうが! デイダラボウは里の戦士たちによるあらゆる攻撃を跳ね除けて、集落を踏み潰そうとした……! 俺は……俺はまだ、覚えている……!!」
「お父様が全ての力使って討ち果たしたんですよね。覚えていますとも。とってもきれいな光景でした……」
おお、同じものを見ていたのに、受け取ったものが違うのだ。
メギドアは、絶対に勝てない強大な存在への畏怖と絶望を。
マキナは、人の可能性的な希望を。
「それに、ミアンなら絶対大丈夫! やってくれます。私、ミアンのこと一番詳しいんですから」
のろけるマキナに、人竜族の若者たちがワッと沸いた。
「なるほどなあ。このテアライ狩りが、マキナとの結婚を認める条件みたいなもんなんだな」「この人、あんな化け物もどうにしかしちまうって族長が思うほど信頼されてるのか!」「メギドア、こいつは負けだぜ。実力だけじゃなく器まで違う」
わあわあ言われて、メギドアがなんかわなわな震えるのだった。
「お、お、俺は! 今まで欲しい物は全て手に入れてきた! なのに、マキナ! お前が集落から逃げて、それ以降けちのつき通しだ!!」
「それは八つ当たりですよ! 私はちょっと外の世界も見てみたくなっただけです! ついでにちょっとウザかったメギドアから離れられればなーって」
「おいぃー!!」
だが、テアライを見て心を折られたのか、メギドアも声を張り上げるだけで手は出してこないな。
なお、他の人竜族の若者についても、「ぼくにはとてもできない」みたいに割り切っており、いっそ清々しい表情だ。
「全部任せるぜミアン!」「たのむぜミアン!」「人竜族の未来はあんたに掛かってるんだミアン!」
ジュドクまで、「ミアンならやってくれる。俺はそう信じてる」とか根拠無く頼ってくるのである。
仕方ないなあ。
「それじゃあ、みんなの期待に応えて、テアライをどうにかするための調査をやって行こうか」
『ウグワーッ! 調査を開始しました! 実績・調査フェイズ突入、解除! 500pt獲得! ミッションモードが調査フェイズに突入しました。ディザスタードラゴン、テアライに関する情報の重要度が高まるほど、横のメーターが上昇します。これが100%に達した時点で、テアライの撃退が可能になります。張り切って情報を集めていきましょう!』
「ほうほう、かなりゲーム感覚なんだなあ」
「あー、小さい青いものがありますけど、これがメーターなんです? これがどうなるんですか?」
俺とポイントプログラムの視界を共有しているマキナは、ちょっとだけ状況が分かるのだ。
恐らく、俺達がテアライを確認し、その場で俺がテアライについて考察したのでメーターが増えている。
現在10%だ。
テアライが因子を呼吸する、世界にとっての調整役ではないかという考察はかなりいいところ突いていたようだ。
さらに情報を集めていかねば……。
「ねえねえ! お兄さんとお姉、何見てるの? クリカも見たい! みーたーいー!」
「ウワーッ、クリカちゃんが正面からしがみついてきた!」
「クリカ、ミアンは筋力があまり強くないのでそうやって押し倒してはいけません! うーん、ミアンを鍛える必要もありそうですねえ」
メギドアを始めとする人竜族の若者たちは、展開に置いていかれてポカーンとしているではないか。
君たちにはポイントプログラムの視界は共有できないからな。
なにかこう、魔法みたいなのを使っていると思ってもらえると嬉しい。
「うーん、クリカちゃんへの視界共有はどうしようかなあ」
「してあげてください! 私が全責任を持ちます!」
マキナが胸をどーんと叩いて宣言した!
おお、揺れている。
人竜族男子たちも、それをじーっと凝視している。
男たちが考えることは同じなのだ。
「お兄さんの、すけべ」
クリカちゃんにぼそっと言われてしまった。
本能みたいなものなのだから、許して欲しい。
ということで、クリカちゃんにも視界を共有する。
『ウグワーッ! パートナーの許諾を得て妹ちゃんにもプログラム参加を許しました! 実績・公認ハーレムというのもいいものじゃないですかね、解除! 2500pt獲得!』
「うおおおチャットボットやめろやめろ教育に悪いことを口にするのは!」
何も無い空間を必死に手で払う俺なのだった。
「お姉、はーれむってなあに?」
「なんでしょうねえ?」
二人とも単語を知らなかった!
セーフ!
◎現在のポイント:65152pt
貢献ポイント :75855ポイント
お読みいただきありがとうございます。
面白い、先が気になる、など感じられましたら、下の星を増やして応援などしていただけると大変励みになります。




