第57話 デイダラ属の生態を明らかにしました! +2000pt
ぐるりとテアライの脚の周辺を回ってみる。
窓から顔を出して見上げてみるけど、アホみたいにでかい。
「デカすぎない? なんか目が合ったんだけど」
「父曰く、あまりに大きすぎて私たちのことを認識すらできてないみたいですよ」
「規模感が違いすぎる……。よく族長、これの同類を撃退したね……」
「父のブレスはアークサンダーって言って、雷を降り注がせるものなんです。これで雲の中に頭を突っ込んでるデイダラボウを一時間攻撃し続けて倒したそうですよ!」
「きっとマキナがぶっ倒れるような攻撃を一時間やり続けたんだろうな……。そりゃあ力を失う」
これは多分、ケスタイン王国では認識してない種の亜竜なのではないか。
「仮に、この物凄く大きな亜竜種をデイダラ属と名付けよう」
『ウグワーッ! 亜竜を分類しました! 実績・竜種鑑定、解除! 500pt獲得!』
今まで分類されてなかった!?
いや、このデカいのが複数種いるとか誰も思ってなかったんだろう。
そしてテアライだけど、周りをぐるんぐるん走ってると、時折この巨大な柱めいた脚が薄い半透明になる。
「これはどういうこと?」
『とてもいい質問ですね! 抽象的っぽいですが、この状況下で質問が指す内容がひとつなので分かりやすいです!』
「それはどうも! それでどういうことなんだい? なんで半透明になるんだ?」
『デイダラ属の亜竜は、体の密度がとても薄いのです。因子を呼吸して存在しているので、半ば実体を持つ霧のような構造をしています』
「ああ、なるほど! 確かに霧ならとんでもない範囲まで広がっていてもおかしくない。亜竜の一種が、意志を持った霧になったタイプなんだな」
だから、こいつらは風や雲と一緒に移動する。
豊富な因子を蓄えた地域にやって来ると、そこをかき回して食料となる因子を大気中に放出させるのだ。
その作業のために実体化する。
実体化したデイダラ属を見た人類は、突然巨大な亜竜が眼の前に現れたように思うわけだ。
『ウグワーッ! デイダラ属の生態を明らかにしました! 実績・亜竜診断ケツァルコアトル級、解除! 2000pt獲得!』
「いきなり凄いポイント来たんだけど!?」
『今まで誰ひとり解き明かすことが出来なかった生態の謎ですので』
「俺がいきなり解いちゃっていいんだ?」
そんな感じで、身動きしないテアライを観察していたのだが、こいつは雲の合間から巨大な頭を覗かせつつ、徐々に腕を実体化させているところだった。
完全に腕が出来上がったら、谷でじゃぶじゃぶ手を洗って大洪水を引き起こすのだろう。
ここの下流にライズミがあるので、人竜族の里が危ない。
確かにどうにかしなくちゃなのだ。
「おっきすぎる~。ウケる~」
あっ、クリカちゃんがあまりのことに、完全に思考停止している。
俺にしがみついてプルプル震えながら、引きつった笑顔になってるぞ。
「こ、こ、これは流石に私も……どうしたらいいか分からないです」
マキナも気弱だ。
テアライとは大自然の脅威そのものだ。
強力な人竜族と言えど、その前ではただの人間でしかないわけだ。
「本当にどうにかできるのですか、ミアン」
「どうにかできる手段を探そう。でも、あいつはこっちを認識して攻撃してくるわけじゃないってことは……あくまでそういう自然現象だってことだよね」
デイダラ属は、この世界の中で果たしている役割があったりするんじゃないか?
大地が蓄えていく因子を、常に大気中に放って拡散するとか。
山や川を崩し、新しい地形を作るとか。
山ってのは植生が安定してたりするから、そこを崩すと全く新しい生態系が生まれることもある……気がする。
世界を常に安定させず、動かし続ける役割を担っているかも知れない。
「ってことは、テアライをびっくりさせて、ここから移動させればいいんじゃないかな」
『ウグワーッ! 大局を見据えた思考をしました! 実績・世界のバランサーの器、解除! 1500pt獲得!』
「最近、俺の生活以外の内容でもポイント高くなってきてない?」
『あまりにポイント判定が偏っていたとお叱りを受けまして』
どこから!?
なお、俺達と並走していたはずのジュドク。
かなり遠くで立ち止まっているのだった。
走竜が怯えて近づかないらしい。
ちょっと遅れて、メギドアたちもやって来ているな。
みんな呆然と、雲間から顔を覗かせるテアライを見上げる。
人間、デカすぎるものを見ると思考停止するもんだ。
あの頭だけで、集落の半分が埋まるもんな。
さらに、全長が2000mあるということで……。
雲の中に隠れた本体はどれだけデカいのか、気が遠くなる。
「これにて視察は終了! 戻ります! 戻りまーす!!」
俺はみんなに声掛けしながら、キャンピングカーを走らせた。
ポチョが気を利かせて、『プップー』とクラクションを鳴らす。
ハッとする走竜たち。
乗り手の意思も確認せず、みんなインビンシブル号に続いて走り出した。
「完全にインビンシブル号を親分だと思っているのではないか」
『災害竜テアライを前にして、堂々と行動するインビンシブル号が彼らには頼れる存在に見えているのでしょう。おっと! ウグワーッ! 走竜たちの信頼を集めました! 実績・走竜のニューリーダー、解除! 1000pt獲得!』
「おっとってなんだ」
『つまりこれからは、インビンシブル号……ポチョが走竜たちに直接指示を下せるようになります』
「なるほど! ポチョ、凄いことになったなあ」
『ポッピピ!』
テアライから離れて、人竜族の里へ。
対策を考えていくぞ。
「竜殺しの魔剣、ゲルムンクをゲットすればいいかなーとか考えていたが、テアライもが霧ならば、物理攻撃が通じない気がする。よし、撃退する対策を考えよう」
「あのとんでもない怪物を本当に撃退……!? ミアンの器が大きいです。果てしなく大きい……」
「すっご……でっか……」
姉妹からキラキラの眼で見つめられてしまうのだった。
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