第55話 自分に言い訳しました! +50pt
チャットボットに叱られながら目覚めた朝。
据え膳とか言われてもなあ!
そっち方面の成功体験とかないと無理だぞ!
『ウグワーッ! 自分に言い訳しました! 実績・女々しい!解除! 50pt獲得です! 言い訳するな!!』
「また怒った!! お前自我出しすぎだろ!」
チャットボットとわあわあやっていると、横でぐうぐう寝ていたマキナが目を覚ますのだった。
「あー、おはようございますミアン。チャットボットさんとお喋りしているんですね。ああ~、お腹すいた……」
ぼんやりした顔のマキナは、チラッと俺の下半身を見た。
「元気ですねー」
「し、自然現象……!」
「脚にクリカがしがみついてるし」
「ほんとだ!」
この姉妹、抱き癖があるんじゃないか?
というか、マキナは寝る時裸だったのに、クリカちゃんは普通に寝間着みたいなの着てるんだよな。
可愛いパジャマとかあげると喜ぶ気がする。
その後、朝食なのだ。
なんとこの集落は温泉で顔を洗える。
贅沢というかなんというか。
そこで、姉妹のママであるタリアさんがおられた。
「川が近いでしょう。だから、私達はここに住居を構えたんですよ。まだ私がほんの子供の頃ですけれども。たまたまこの広い平地が空いていてですね」
「そうなんですねー。温泉もあって、割と過ごしやすい感じでしょう」
「ええ。一仕事終わった後に温泉に入れるのは本当に最高ですもの」
タリアさんの水汲みに付き合う俺である。
もちろん、俺はパワーが無いのでバケツ一杯が精一杯。
横でポチョが頭の上にバケツを乗せて、キュラキュラと走っている。
「俺とポチョで一人前だな」
『ポッピ!』
「ミアンさんの強みは力じゃないでしょう? だったら気にしなくていいのですよ。人竜族は色々な種族の血を取り入れ共生していますもの。それぞれ役立てる場所が違うのは、みんな分かっています」
「なんて先進的な集落なんだ……」
合理的過ぎる!
水を運んで家に戻ると、入れ違いでマキナとクリカちゃんが顔を洗いに行く。
二人ともまだ寝ぼけた顔をしているではないか。
あっ、クリカちゃんがヨルカを抱っこしている。
ぬいぐるみ代わりにされているな……?
「どうだ? ……とは言ってもその様子では、何もなかったようだな」
族長が笑う。
「いやあ、まあ」
「気にするな。そういう段取りを重んじる者もいる。焦ることはない。真の強者なら、奪われることはないからな。ところでだ」
族長の目が光る。
「わしはマキナから、婿殿が出す食事が大変美味だと聞いている。一つ、馳走願えんかな?」
「それは私も楽しみだったんです! お願いします!」
タリアさんまで目をキラキラさせている!
義父と義母に期待されちゃったんじゃ仕方ない。
「ではケータリングサービスで、ガッツリした料理を……」
人竜族が、日本人の三倍くらい食べるのは良く理解している。
クリカちゃんだって、あの小さい体で俺と同じくらい食べるもんな。
どうやらあれで少食な方らしい。
「ではこれでどうでしょう。ヨネダ珈琲からお取り寄せしたサンドイッチセット。食品サンプルは常識的なサイズなのに、本物はわらじカツみたいなのが入った特大サンドイッチという……。一般日本人には致命的な大きさだが、人竜族なら朝食で軽く食べるレベルでしょう」
「ほおー!」
「あら美味しそう!!」
「この匂いはミアンが食べ物を出しましたね! 私のものですよー!」
「あーんお姉待ってー!」
「ポポー」
賑やかになってきたぞ。
人竜族一家が、ガツガツと巨大サンドイッチを食べるのを眺めつつ、俺はモーニングのハーフトーストとかを齧って珈琲で流し込むのだった。
族長とマキナがサンドイッチ三枚、タリアさんが二枚にフライドポテト山盛り、クリカちゃんですら一枚食べきったな。
恐るべき健啖。
『ウグワーッ! 家族にご馳走しました! ウィークリー実績・朝の甲斐性、解除! 300pt獲得!』
色々あるなあ実績。
「いやあ、美味かった。食後の茶も素晴らしい。なるほど……得難い才能だ。マキナの目は確かだったな」
ポイントプログラム使ってるだけだけどね!
「それでだ。婿殿は今日、テアライの姿を見に行くといい。狩る相手がどれだけの化け物なのかが分かろう。わしが現役であっても、正直遠慮したい相手だ」
「そんなのを俺に狩らせるんですか!?」
「マキナの話を聞くに、婿殿にはそれだけの力があるとわしは睨んだ。頼むぞ」
頼まれてしまった。
さて、出発の時間。
人竜族の活動開始は早い。
朝食の後三十分くらいしたらもう行動開始なのだ。
「俺の体感、まだ朝七時半」
『おおむね合っています』
やっぱり!!
早寝早起きなのはいいけど、何かに取り掛かるのも早いんだよなあ。
インビンシブル号を取り出すと、集まっていた人竜族が「おおーっ」と驚いた。
昨日も見たでしょ!
そして、俺達に並走する人竜族の若者たち。
メギドアを筆頭に、なんかムキムキの男たちばかり四名もいる。
「みんな人竜族の若手では期待されてる男子なんですよ」
「ははーん、体育会系のにおいがする」
というか、人竜族は若者の割合が多いな。
年を取った個体が少ないと言うか。
もしかして、年を取って戦闘力が落ちると狩りで命を落とす?
『正解!』
過酷な世界過ぎる~!!
逆を言えば、若くて戦闘力があるうちは生き残るわけで。
そんな優秀な彼らは、二脚や四脚の搭乗用っぽい亜竜にまたがった。
ほー、アノンガロスというのか。
雄は乗騎用、雌はちょこちょこ卵を産むので、これを食用にしてるそうな。
そういうのもあるのか……!
「クリカねー、メギドアのアノンガロスに乗せてもらったけど、速かったよー! ま、後ろからクリカの体たくさん触ってきたんだけど!」
「なんですってー!!」
「マキナ、落ち着くんだ! ステイ! ステーイ!」
「ふーっ! ふーっ! ミ、ミアンに免じて見逃してあげます!」
ということで、インビンシブル号に乗り込む俺達なのだ。
ミニガンは車の上に。
周辺に小さい怪物が接近してきた時のため、ウォーターバズーカを設置。
そして操縦席にポチョ!
『ポピー!』
「よし、出発!」
俺の掛け声とともに、車が走り出した。
いざ、災害竜テアライ!
今回は見るだけ!
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