第53話 みんなでテアライを見に行きます! +1000pt
この日は、マキナの実家のお世話になったのだった。
というか、俺を迎えた人竜族の里が、盛大にパーティーをやってくれた。
集落の中心で巨大な焚き火がされて、ドンドコドンドコ亜竜の皮と骨で作られた太鼓がかき鳴らされ、亜竜の骨を使った弦楽器が妙なる調べを響かせる。
出される料理は、保存してあった亜竜の肉を水で戻し、蒸したもの。
これに岩塩とハーブで味付けがされている。
肉茹でて、茹で汁をスープに……?
いい出汁が出てるねえ。
山菜みたいなのもどっさり入っている。
「豪快な料理だ」
「でしょう! 食べ応え抜群なんですよ! あ、ミアン用のは私が言って薄く切ってもらってますから」
「マキナの心遣いを感じるー」
「ええーっ? 人間の男って塊肉も食べられないのー? よわよわー。でも食べる力と戦う力は別物だもんねー。お世話してあげないといけないなんて、母性本能くすぐられるー?」
マキナの妹のクリカちゃんはあれなの?
メスガキ属性なの?
俺よりも背が低いのに、大きな塊肉を掴んでガブッと食いちぎる。
おお、人竜族の咀嚼力!
まだ子供でも、人竜族のパワーみたいなものを感じる。
「私達の歯は人間とは違いますからね。人間は前歯が平たいじゃないですか。私達はちゃんと食いちぎれるようになってますし、摩耗したらすぐ生え変わるんですよ」
「ギザ歯だ!! マキナが結構上品に笑うからあんまり歯が見えなかったけど、ギザ歯女子だったんだなあ……。そしてサメ方式とは……」
俺はもぐもぐと薄切りにしてもらった肉を食いつつ、マキナの口の中を見せてもらうのだった。
「え、えっち過ぎる! お姉、そこまで進んでたんだ……」
なんか妹ちゃんが赤くなってるんだけど!?
人竜族の口の中を見せてもらうのってそういう意味合いがあったりする!?
『ウグワーッ! 特別なコトをしました! 実績・気付かぬ内に種族のそういう行為解除! 1000pt獲得!』
チャットボット!
なんかはぐらかさないでどういう意味か教えてくれ!
『フフフ』
フフフじゃなーい!
なお、ヨルカは俺の横で肉をついばんでおり、ぴったりくっついて離れない。
ちょっと動くと獲物としてゲットされそうだからね!
そこへ、メギドアがやって来た。
一人である。
「おい、人間」
「ミアンです」
「そんなことはどうでもいい! いいか? 俺は負けたわけじゃない。お前の訳が分からない攻撃を食らって、驚いただけだ! いいな? くそっ、俺が一回負けただけで、女たちが離れて行きやがった。お前のせいだからな!?」
「それはあれですよ。メギドアが強さだけで相手を従えていたからじゃないですか。ミアンは戦えますし、甲斐性もありますし、私をとっても大事にしてくれるんですよ。うふふ」
「くっそー! のろけるな! 俺の前でのろけるな! ぐおおお、お前が来てから、マキナは奪われる、女たちは離れていく、悪いことしか起きていない!」
「はあ、ご愁傷さまです」
八つ当たりをされても、俺は降りかかる火の粉を払っただけである。
こちらも危険な状況を突破してメギドアに勝ったわけだし。
「まあねー。お姉がいなくなってから、メギドアったらまだ子供のクリカに粉かけてくるくらいだったからねー」
「なんですって!?」
あっ、マキナのツノがバリバリ言い始めた。
怒った、怒った!
「メギドア~っ!! クリカに手を出そうとしていたんですか!? それが本当なら……ぜーったいに許しませんからねっ!!」
おお、ツノとツノの間に雷球が生まれつつある……。
ポチョがトコトコ駆け寄ってきたので、俺は彼に避雷針ユニットを取り付けた。
これでよーし。
「お、落ち着けマキナ! 人竜族トップクラスのブレス能力があるお前が、エレクトロブラストを使うのがどういう意味があるのか分かっているのか!? や、やめろー!」
「この期に及んで自分の身の心配だけですか!? 何か言うことはないんですかーっ!! ごめんなさいって言えーっ!!」
「ウグワーッ!?」
おお、バリバリやられてる。
でもピンピンしてる辺り、人竜族は頑丈だなあ。
「それでぇー。クリカってばお姉とお兄さんの関係が気になっちゃうんだよね」
「お兄さん!?」
「あれえ? お姉の旦那様になるならお兄さんでしょぉ? だから、クリカ、いいこと思いついちゃった! お姉とお兄さんのテアライ退治、クリカもついてってあげる!」
「ええーっ!?」
とんでもない話になってきたぞ。
そこにパタパタと、マキナ・クリカ姉妹のママさんが走ってくる。
「危険だからいけませーん!」
「お義母さんがいらっしゃった」
「あらまあ、ミアンさん! お義母さんなんて呼ばないで、タリアさんって呼んでいいんですよ」
「じゃあタリアさん。流石に危ないですよねえ。クリカちゃん、これは遊びではないのでついてきてはいけないよ」
「ええーっ? クリカだって、お姉が見初めた旦那さんがどれだけいい男なのか見たーい。見てみたーい。ねえ、いいでしょぉー?」
おっ、お義母さんことタリアさんにおねだり作戦だ。
どうもお義母さん、甘えられると弱いらしい。
「うーん、そうですねえ。マキナが好きになったほどの殿方ですし、お話を聞いたら人間の都市を一つ復活させるほどの力を持っているようですし」
「あくまでポイントシステム頼みですけど」
俺を凄く大きな存在だと思ってない!?
そんなコト無いからね?
「少しだけなら同行してもいいですよ。ただ、本格的に危なくなるようなら帰って来ること! いいですね?」
「はぁい!」
クリカちゃんがとてもいいお返事をするのだった。
「おっ、俺も! 俺も行くぞ!!」
あっ、髪の毛がチリチリになっているメギドア!!
マキナのブレスを食らってもピンピンしてる。
これは頑丈だなあ……。
「駄目です! メギドアは来ては駄目です!! 邪魔ですぅー!!」
まだ怒ってるマキナ!
ただ、ブレスを使いすぎてお腹が減ったようで、もうツノがバリバリ言ってない。
俺が肉塊を差し出すと、それを受け取ってガツガツ食べ始めた。
「勝手についていくからな! 俺以外にも、災害竜テアライを見たいやつは多いんだ! いいな? 許可なんか無くても勝手に行くからな!」
「もごもごごー!」
肉を食べながらマキナが猛抗議している!
なお、これについて族長は、
「いいのではないか? より強い存在に挑むが人竜族のあり方。災害竜に立ち向かうのが、我が部族の男たちであるのは良きことじゃ。わしは構わん。ただし、娘たちと寝所を一緒にすることは許さん」
「インビンシブル号に乗ってこないなら、私もいいですね」
「あのおっきな怪物に乗り込むの!? クリカ、楽しみなんだけど!」
「なるほど、お嬢さんたちの貞操が守られればOKと……」
俺が頷いていると、タリアさんがこそっと教えてくれる。
「メギドア以上の男がいなかった時は、マキナは彼の妻になるしかないかと諦めてたんですよ主人。ですけどミアンさんが来てくれたから、マキナの未来が広がったって嬉しいんです」
な、なるほどー!
複雑な親心だったのだ。
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