第52話 彼女の親に公認されました! +2000pt
「お見事ー!」「見事!」「やるじゃないか人間!」「不思議なパワーが凄かった」「ちょっとかっこよく見えてきたかも」
おやおや?
人竜族の皆さんからの視線がとても好意的なものになったぞ。
歓声をあげてくれているので、それに応えるべくエレベーターユニットでワシャワシャ近づく。
そしたらみんなウワーッと悲鳴を上げて逃げた。
怖がられている!
すぐにマキナが駆け寄ってきて、エレベーターユニットに飛び乗った。
「んもー、ミアン、注意してくださいね!」
「あ、ごめんごめん。怖がらせちゃった」
「さっきの野次馬の中に、ミアンを女の目で見てる子がいましたからね! ほんと、気を付けて下さい!」
「あっ、そっち!?」
独占欲がとても強いマキナなのだった。
わきわき蠢くエレベーターユニットが怖くて、集落の人々が近寄ってこない。
その中で、トコトコやって来る族長。
さすが。
「さすがは婿殿」
「婿殿!!」
「むふふ」
にやにやしながら俺を肘で小突くマキナなのだ。
親公認となってしまったか……。
まあ時間の問題というのは分かりきったことだったので、今更動揺はしない。
『ウグワーッ! 彼女の親に公認されました! 実績・これは完全にお義父さん解除! 2000pt獲得! やりますねえ!』
チャットボットが興奮してるじゃん!
なんなんだこいつは。
こうして俺は集落へ招き入れられることになった。
エレベーターユニットとインビンシブル号をストレージに入れると、人竜族の皆さんからどよめきが上がった。
「あ、あんなに大きな物が消えた……」「あの虫みたいなものもいきなり出てきたけど、それどころじゃなく、あの巨大な怪物まで消えるなんて……」「どういう力を使ってるんだ……!?」
ストレージに収納しただけだが?
いや、俺も原理はわからないなあ。
案内された集落は、大型の竪穴式住居みたいなものだった。
外に亜竜のパーツみたいなのが組み込まれている。
「夏は涼しく、冬は空気を含み暖かい。これが人竜族の知恵だよ」
はっはっはと自慢げな族長。
文明が滅んだ世界で新たに発見される生活の知恵。
車輪の再発明だこれ!
ケスタイン王国はかなり文明的だったが、あれは亜竜の素材が使えない分、スクラップ&ビルドを繰り返すことで技術が発展していったのだろう。
こちらはどうやら亜竜という素材が恐ろしく頑丈らしく、そうめったに壊れないから発展させる必要なし。
それに人竜族は、暑さにも寒さにも強い。
原始的に見える生活が最適解なので、利便性を上げなくても問題ないわけだ。
「ポポー」
おっと、ストレージの外にヨルカが放り出されてきた。
彼女はポテポテと駆け寄ってくると、ポチョの上に飛び乗った。
『ポッピ!』
なるほど、ポチョの上が一番安全ってわけね。
「鳥が出てきた」「丸々太って美味しそう……」「でもあの虫の上に乗ってるぞ」「あの虫は怖いなあ!」
「ポポー」
ヨルカにとって危険な環境!
人型に戻ってもいいのでは?
だが、今は俺がマキナのお婿さん認定なので、他に女性がいると話がややこしくなる。
ポチョの上を定位置にしていてくれ。
招き入れられたのは、族長の家。
代々、族長となる立場の者に受け継がれてきたものだ。
今の族長はおじいさんに見えるが、これは十年前に里を襲った強大な亜竜を撃破した時、力を使い果たしたかららしい。
まあ実際それなりのお年ではあるそうなのだが。
「わしも現役ならば、メギドアを直接腕試ししてやるのだがな。今では里で二番目の戦士になってしまった」
「力を使い果たしたのに二番目!?」
「お父様は人竜族の伝承上最強の戦士と言われていましたから!」
えっへん、と自慢げなマキナ。
「夫はとても凄いのです。ですからマキナを娶る殿方も凄い方でなくてはなりません!」
「あれっ!? マキナが二人いる!! あ、いや、片方はちょっと大人っぽくてもう少し胸元や腰回りが大きいマキナだ」
「お母様です」
「マキナの母です」
「あっ、これはどうもどうも……」
見た目若過ぎだろ!!
マキナ父と二十歳くらい離れてない!?
そう思ったら実際にそうらしく、マキナ父は再婚。
最初の奥さんとの間には男の子供が三人いるのだそうだ。
なお、マキナには妹が一人……。
「ふーん。お姉が男を連れてきたからどんなのかと思ったら、なんかしょぼいのー。……って思ってたけど、さっきの決闘見てたら明らかに謎の強さを発揮してあのメギドアを圧倒したから見直したかも。ちょっとリスペクト」
ツインテールの生意気そうな女の子が現れた!
髪の色は赤銅色、マキナと違って、まだお子様だなーという外見だ。
でも、かなりかわいいぞ。
「クリカったらもう。妹はとっても生意気盛りなんです。私は礼儀正しいんですけどねえ」
「お姉が口調で得してるだけじゃない! ってか、どこで知り合ったの? どこまで進んだの? もう夜は一緒にしてるの? ねえねえ」
「うふふ、秘密です」
「お姉ー!」
わちゃわちゃしながら家の中に入っていってしまった。
仲良し姉妹だなあー。
「ではミアン殿も中へ。話を伺いましょう」
「あっはい、どうもどうも」
『ウグワーッ! 綺麗なお義母さんと可愛い義妹ちゃんができました! 実績・ビューティー家族解除! 1000pt獲得!』
そんなもんも実績になるのか!?
「なんだか不思議な声が共鳴して聞こえてきましたけど……」
いかん、お義母さんにもチャットボットの声が聞こえるぞ!
どうもこいつの波長は、人竜族の女性には聞こえやすいようだ。
家の中は幾つかの部屋に分かれており、奥にある子どもたちの部屋でマキナとクリカの姉妹がお喋りしているようだ。
その間に、俺は居間兼応接間に当たる、囲炉裏っぽいところの前で族長と向かい合った。
床には亜竜の毛皮が敷かれている。
これに座るザブトン形式ね。
「ふむ、亜竜を狩りに? 婿殿の実力ならば、問題なくそれが行えるじゃろう。だが、せっかくの来訪、小さな亜竜なぞ狩っても仕方ないじゃろう」
「ははあ、何か実入りのいい亜竜に心当たりが……?」
「婿殿の底知れぬ実力ならば、やれるかも知れぬ。わしが十年前に撃退した強大な亜竜、デイダラボウ。彼奴めはわしのブレス、天雷にて焼き尽くしてやったのだ。じゃがわしは代償にブレスの力を失い、肉体も老いた。デイダラボウは倒れたが、この度は奴の血族の亜竜が近くまでやって来ておるらしい」
「話が大きくなってきましたね……」
「山と山に脚を乗せ、谷間の大河にて手を洗う。その行為が山崩れを引き起こし、大河が洪水となる。災害竜テアライと呼ばれる強大な亜竜こそがそやつだ!」
「手洗い鬼だ!」
「メギドアが討伐してやると息巻いておるが、里最強の男とは言え、わしが見るところせいぜい十年に一人出る程度の傑物」
「十年に一人はありふれてるんだ」
そこでお義母さんが自慢げに、
「夫は百年に一人と言われていましたから」
なーるほど!
奥さん、旦那さんにベタ惚れですね!
その、百年に一人の戦士である族長が、戦士生命と引き換えに命がけで倒したデイダラボウ。
そんな怪物に匹敵する亜竜が近くまで来ているのだ。
「俺にそいつを狩ってほしいわけですね」
「うむ、頼む!」
これは拒否権とかなさそうである。
というか、俺も意を決してここまでやって来たわけだし、マキナの故郷を助けるためにひと肌脱ぐというのは全然ありだ。
「よし、やりましょう! できるだけのことをしてみます!」
「やってくれるか! おお、おお! マキナは良い婿を見つけたようだ!」
族長は相好を崩し、俺と固く握手したのだった。
よし、やるぞやるぞ!!
『ウグワーッ!! 人竜族の里を救うミッションを受領しました! 実績・これは里を救う戦いである、解除! 2000pt獲得!』
あっ、このミッションはポイント高いぞ!!
『ここから特別ポイントプログラム、ミッションモードに突入します! 標的は第一級災害認定、ディザスタードラゴン・テアライ! 健闘を祈ります!』
なんか話がデカいことになってないか!?
◎現在のポイント:49602pt
貢献ポイント :75855ポイント
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