第50話 決闘することになりました! +1500pt
せっかくなので、インビンシブル号に乗せて集落まで向かうことにした。
「うおーっ! うおおーっ! うおおおーっ!!」「なんだこれ! なんだこれ!」「おかしな怪物の中に快適な居住スペースがある!」「トイレきれー!!」
人竜族のお兄ちゃんたち大興奮。
トイレでウォシュレットの洗礼を浴び、キャッキャと騒いでいる。
男子小中学生めいたムーブだ。
「これ食えるのか?」
「ポポーっ!」
「いかーん、ヨルカが危ない! それ、うちの家族みたいなものなんで」
「あー、犬みたいなもんか! 悪い悪い」
返してもらった。
ヨルカが必死で俺にすがりついてくるな。
怖かったなー!
カカポ形態、やっぱよくないんじゃないか?
人竜族の集落に到着すると、わらわらと部族の戦士がフル武装でお出迎えしてくれた。
まーた勘違いされている。
今度はこっちに乗り込んでいる兄ちゃんたちが飛び出て、「おーい! おーい!」「俺達だー!」「これは危なくないぞー!」「味方だー!」と説得してくれたのだった。
マキナがヒョコッと顔を出したら、どよめく人竜族の人々。
みんな体が大きくて、色とりどりのツノと尻尾を生やして、亜竜を加工したらしい武器を身につけている。
服装は軽装で、胴体を守る最低限の鎧を身につけ、あとは筋骨隆々の手足が剥き出し。
その中から、一際大柄な男が歩み出た。
真っ黒なツノと尻尾に、炎のような赤い髪をした褐色肌の男だ。
顔もいい。
「それはなんだ! なぜお前たちがそれに乗り込んでいる!!」
「これは客人の乗り物だ!」「凄いぞ! 中に住めるぞ!」「乗せてもらったんだ!」「トイレが凄いぞ!」
一人、トイレが気に入っちゃった人がいるな……。
「マキナが連れてきた男だ!」
マキナの名が出た途端、真っ黒なツノの男の目つきが変わった。
「なぁにぃ~っ!? マキナだと!? マキナがそこにいるのか!!」
呼ばれた途端、マキナが外にヒョコッと現れる。
「久しぶりです、メギドアー! 一旦戻ってきましたよー!」
彼女を見たその男……メギドアの反応は凄かった。
顔が怒り、驚き、喜びを全て表現して……。
「マ、マ、マキナ!! 本当にお前なのか!! どこに行っていた!! いや、無事に帰ってきて何よりだ!! さあマキナ!」
メギドアが両手を広げる。
ひろーい。
「俺の腕に飛び込んでこい! 夫である俺の腕の中に!」
「あのー、えーと、とても言いづらいんですが……。私、未来の夫になる殿方は別で決めちゃったんですよね」
「は?」
きょとんとするメギドア。
そのこめかみに青筋が浮かび、真っ黒なツノが炎を吹き上げた。
一瞬で憤怒の表情になったな!?
「だっ、だーれだぁぁぁ、それはぁぁぁぁぁ!! この人竜族最強の戦士である、メギドアよりも強い男なのかぁぁぁぁぁ!!」
ざわざわする人竜族。
集落の奥に隠れていた女性たちも、どうやら恋バナらしいと分かってニコニコしながら次々に出てくる。
みんな体格がいいなあ!
あ、ちっちゃい子供もいるではないか。
それに、人竜族ではないっぽい女性も混じっている。
なるほど、血が濃くなり過ぎないように、外から迎え入れた人か。
「甲斐性です! この大きなキャンピングカーも、毎日の美味しい食事も、素敵なトイレも広いお風呂も、全部用意してくれる素晴らしい人なんですよ!」
「な、なにぃぃぃぃぃ!?」
甲斐性とその説明に、どよめく人竜族。
強さとは別のベクトルの魅力だもんな。
俺の場合、ポイントプログラムのお陰なんだが?
『ウグワーッ! 彼女に自分のいいところを紹介されました! 実績・私の彼氏紹介します解除! 1500pt獲得!』
「紹介されただけなのに! それにこれはポイントを使ってるだけというか」
「そのポイントをお主しか使えぬのじゃから、お主の能力じゃろそれはポポー」
「そっかー」
他人事みたいにヨルカとやり取りしていたら、マキナに襟首を掴まれた。
「ほらミアン! 挨拶しましょう!」
「うーわー」
マキナにひょいっとつまみ出された俺。
そんな俺の姿を見て、人竜族が静かになった。
「えっ」
メギドアが呆然とする。
「そ……その小男が、お前の未来の夫だというのかマキナ!」
「そうです!!」
断言するマキナ。
ガーン!! とショックを受けた顔をするメギドア。
「そ、そんな小さくて、手も足も細く、ツノも尻尾もない人間の男がか!? 武器を手にとって戦うとも思えない! 魔法を使うのか? そんなもの、我ら人竜族のブレスの前では児戯のようなものだぞ!? なんだ! その男の何がそんなにいいんだ!! マキナ!!」
「甲斐性です!! とっっっっっても美味しい食事を、常に用意してくれるんです!! それから安全、安心な住処と、清潔で快適な環境を用意してくれます!!」
今度は人竜族の女性陣がどよめいた。
なんだなんだ。
「俺等が知ってる強さとは全然別方向の強さなんで、混乱してるんだ」「女どもは結構あんたの強さが好きかも知れないなあ」
人竜族の兄ちゃんたちが教えてくれた。
なるほど、カルチャーショックというやつだ。
混乱する人竜族の里!
その中から新たな人物が登場した。
全身傷だらけの、白い髪をした男性である。
「お父様!」
なにぃーっ。
マキナパパ!!
『ウグワーッ! 彼女の父親と顔を合わせました! 実績・もしやお義父さん解除! 1500pt獲得!』
まだお義父さんじゃないよ!!
「族長!」「族長!」「族長だ!」
族長!?
マキナって、族長の娘だったの!?
「マキナよ。婚約が決まる直前に集落を飛び出したお前を、愚かな娘だと思っていたが……。なるほど」
インビンシブル号を隅々まで眺める族長。
「新たな豊かさを我らにもたらす男……。なるほど、なるほど。いいね」
にやりと笑う族長!
「族長~!!!!!!!」
悲鳴を上げるメギドア。
「お父様公認になりましたね!」
「ああ、うん。でもメギドアさんはめちゃくちゃ怒ってるけど」
おお、メギドアのツノから吹き上がる炎が、三階建の建物くらいの高さになっている。
「決闘を!!」
メギドアが吠えた。
「マキナを懸けて、決闘をお前に申し込む! ええと、ええと……」
「ミアンです。平和的に解決するわけには……」
「いかん!!」
行きませんか……!
『ウグワーッ!! 決闘することになりました! 実績・恋の鞘当て解除! 1500pt獲得!』
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