第45話 ハッピーな未来予想図を描きました! +2500pt
えーっ!?
王家も貴族も全部AI!?
という衝撃の事実を知りはしたものの、そういう概念を共有できる相手がヨルカしかいない。
そのヨルカはエネルギーを使いすぎたのか、ずーっとカカポだし。
「ポポー」
「ヨルカが日向ぼっこしてますねえ。私もお日様に当たっていると眠くなってきます」
既にキャンピングカーから、借家へ戻ってきている俺達。
施設を元通りに直し、今は庭を購入し、そこで日光浴をしているのだ。
『ウグワーッ! 穏やかな午後を過ごしました! 実績・日差しの下の団らん解除! 1000pt獲得!』
「俺のプライベートが充実することに関してはポイントが高い!」
チャットボットの実績判定、あまりにも恣意的である。
マキナはヨルカをお腹の上に乗せて、うとうとしている。
彼女用の尻尾穴が空いたパイプとビニール製の椅子……ビーチバルコニーとか言うやつは、大層座り心地がいいらしい。
「ふわふわしたソファもいいんですが、私はやっぱりこうやって、張りがある布で受け止められるのが好きですね! あ、でもミアンと一緒に寝るベッドのふわふわは大好きですよ! ですから夜はもっとミアンと親睦を深めて、ベッドをもっともっと好きになりたいところです」
誘ってくる誘ってくる!
「しかしマキナ、話が早いんだけど、赤ちゃんができてしまうと自由に旅ができなくなるのでは」
「ハッ! そ、それは盲点でした……!! 私、集落にいた時は早くいい男と番って子を産めってずっと言われてたんで。考えてみたら、子供が出来たらその子を連れてあちこち旅するのは大変ですよねえ」
「そうそう。まずは満足するまで旅をしてからでも……」
うおっ、これはマキナとそういう関係になる予約みたいなもんじゃないか。
『ウグワーッ! ハッピーな未来予想図を描きました! 実績・あなたの隣を予約します解除! 2500pt獲得!』
多い多い!!
「おーい、ミアン、いるかー? いるな? 入るぞ」
デリアが当たり前みたいな顔をして入ってきた。
声を掛けるだけでノックもしないな!
まあ、三日に二日くらい我が家のお風呂に通ってきてるしなあ。
「どうしたんです?」
「ああ、それはな……って、また借家が広くなってる! 庭が! 庭に続く透き通った板張りの引き戸が付いてる! 庭に観賞用の植物が!? どうなっているんだ……。いや、ミアンのことだから召喚したのか」
自己解決したらしい。
「むにゃむにゃ」
「マキナもいたのか。静かだと思ったら寝ているなあ。まあ、壁の外と比べればケスタイン王国は平和だからな。選ばれた民しか住むことは許されない」
あとは貢献ポイント稼ぐのに必死で、悪いことをする余裕がないのだ。
通貨がポイントだと、盗むこともできないもんなあ。
「ザーマルスキー伯爵からお前たちに直接依頼をしたいそうだ。貴族が指名依頼をして来ることはめったにない。これは誇らしいことだぞ」
「なるほどー」
特に興味がないなーと思っていたが、ザーマルスキー伯爵という名前には聞き覚えがある。
誰だったかな……。
あっ!
「マキナと俺でコーラルベアーを狩った時、たまたまそれを募集しててポイントを跳ね上げてくれた人だ!」
「そうなのか? ほう、縁というものはあるのだな」
全くだ。
一方的にだが恩義を感じている人物だ。
その人から依頼ならば、聞いてみるくらいはいいかも知れない。
ザーマルスキー伯爵家に直接訪れ、依頼を受けることになるようだ。
マキナを揺り起こし、ベッドに転がっていたポチョをドローンモードにし。
『ポピー』
「ヨルカは留守番してるか?」
「ポポー」
留守番希望のようだ。
では、マキナとポチョと三人で行くことにしよう。
案内はデリアがやってくれる。
「失礼が無いようにするんだぞ? まあ、お前たちは冒険者ギルドでも特別な立場になっているから、多少は許されると思うが……私の出世が危なくなるからな。頼むぞ……!!」
常に出世のことを気にしている人だ。
デリアは壁の外を探索し、リクス・タカードを発見した功績を認められた。
次の考査での昇格は確実になっていて、お給料も大きくアップするらしい。
「お前たちのお陰だ。これからも頼むぞ! 私からは国絡みの特別な仕事を持ってきてやるからな」
「いやあ、別にそういうのは無くてもいいんですが」
「私達はちょこちょこ旅に出ますから、その時にお手伝いしてくれるだけでいいんですよ!」
そうそう。
欲しい物はポイントでお取り寄せするし、貢献ポイントはもう四年分稼いだ。
仕事なんか何もしなくてもいいくらいなんだが……。
仕事をすると、UGWポイントが稼げそうだからね!
ということで、徒歩にて案内してもらうのだ。
ケスタイン王国そのものはかなり広大な王国だ。
山やリアス式海岸を削り、埋め立てて国土を確保した上、そこを大きく壁で囲っている。
大半は農地と果樹園だが、放棄された地域が森になったり廃棄区画になったり……。
外側に国土を拡張すること最優先で、国内に生まれている歪みまでは対処しきれていない。
これも、国を運営するサーバーでありAIである王家が、拡張最優先のプログラムで動いているからではないだろうか。
で、多分内政を担当するのは他の貴族たちだとか。
このあたりのことも、ザーマルスキー伯爵に聞いてみよう。
いつもの大通りを王城方面まで向かう。
そこから道が枝分かれしており、俺達が向かったルートには武器や防具、装飾品、衣類を売る店が並んでいる。
「あっ! あれって、私達が狩ったコーラルベアーですよ!」
「分かるの?」
「分かります! だってあれだけ、傷がほとんどなくて綺麗ですから!」
「なるほどー。あ、The・探索の鑑定機能でもそういう結果が出てる。値段は……ひええーっ! 100000貢献ポイント!? 俺達が狩った時は2000ポイントだったのに!!」
暴利が過ぎるー!
こ、これはザーマルスキー伯爵への見方も変わってきそうだなあ。
「何を言っている。外と内では貢献ポイントの換算が十倍違う。つまり壁の中なら、お前たちの貢献ポイントは20000ポイント相当だったということだ。そして間に入った職人の手間賃と、伯爵の取り分、店の利益が乗ってあの価格ということだ」
「な、なるほど……市場経済……」
ザーマルスキー伯爵は、国内における装備や被服の流通を担当する人物なのだそうだ。
だから、彼の館へと向かう道は装備品の商店街。
全ての商店が、彼に従属する立場にあるわけか。
さて、今回のお仕事はどうなることやら……。
◎現在のポイント:37902pt
貢献ポイント :75855ポイント
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