第42話 月を見ながら一献傾けました! +1500pt
都市を蘇らせたのに、ポイントそこまででもなくない?
と思いはしたものの、何も言わないでおこう。
ポイントプログラムのポイント配分は、大変に恣意的なのだ!
「えー、それでは予定を果たしたので、後はのんびり帰ります。俺とマキナでちょこちょここうやって外出すると思うので、お二人は国とギルドにそう伝えていただけると……」
「わ、分かった……。とんでもないものを見せられた気がする……」
「ふええどうやって報告すればいいのこれ」
デリアもアイラも、帰った後のことを考えて大混乱。
何が起きたかは理解できないだろうなあ。
彼女たちが報告しやすいように、旅の間は今回起きたことをまとめ、言語化しておこう……!
ワイワイと戻ると、あちこちからマンハンターアントが顔を出しているところだった。
急に都市に灯りがついたので、びっくりしているようだ。
あちこちでアリが、街灯を見上げている。
「ああやって見てるとなんだかかわいいですね」
『ポピピー!』
「ああもう、ポチョはもっとかわいいですからね!」
『ポッピ!』
なんだポチョ、マキナがアリを褒めたから嫉妬したのか。
今は抱っこされて、ごきげんなポチョなのだ。
デリアとアイラは、マンハンターアントが今にも襲いかかってくるのではないかと戦々恐々。
エネミーサーチでは黄色い点になってるから、大丈夫。
全くこっちに気がつく様子がない。
キャンピングカーが見えてきたところで、ヨルカが小走りで俺達の前に来た。
「さて! わしはここまでじゃ。皆、ケスタイン王国に戻ったらきちんとこの都市で起きたことを伝えるのじゃぞ。滅びた文明が、またその火を取り戻そうとしているのじゃ。都市と都市が繋がり、人々が行き来し、文明の輪が広がっていく。わしはこの世界、ファールディアを再生させたい!」
ヨルカが夢を語った!
彼女の最終目的はそこなんだなあ。
ずっと一人で、過去の記録を守り続けてきたんだもんな。
「こんな危険な都市で、一人で大丈夫なのか?」
「私達と一緒に行こうよ!」
デリアとアイラが優しい。
ヨルカは首を横に振り、
「さよならじゃ。また会うこともあるじゃろう」
そう告げて、闇の中に消えていった。
そしてキャンピングカーの逆側からカカポが「ポポー」と出てくる。
再会してしまったな。
なんかデリアとアイラが浸ってるので何も言わんとこう。
さあ、キャンピングカーに帰還だ!
『ウグワーッ! 懐かしき我が家に帰りました! 実績・やっぱりおうちが一番解除! 1000pt獲得!』
都市が蘇ったのと、おうちに帰るのが同じポイントなのだ!
まあ、貢献ポイントがめちゃくちゃ入ったからよしとしよう。
一年間何も仕事しなくてもいいレベルだぞ。
「そもそも貢献ポイントってなんなんだ?」
『とてもいい質問ですね! ケスタイン王国のサーバーは、今はその機能の大部分を停止しています。その残された機能が、貢献ポイントという無形通貨のシステムを作り出しているのです。サーバーが動きませんから、王国側でポイントを徴収するとかのシステムが働かないわけですね』
「なるほどー! じゃあ、リクス・タカードのサーバーが接触してきて、ケスタイン王国のサーバーも復帰したら?」
『とてもいい質問ですねえ~。税としての貢献ポイントが、自動徴収されるようになります。便利になりますね! もう逃げられませんよ』
「こっわ」
俺は、王国のシステムを根幹から変えてしまったかも知れない。
そんなことはつゆ知らず、女子たちは緊張から解放され、みんなでワイワイとお風呂に向かうのだ。
「ミアーン! 一緒に入りましょうよー!」
「うむ。今回の仕事の一番の立役者はお前だ。私が背中を流してやろう」
「えーっ!? お二人とも正気ですか!? 男性と一緒に入浴なんて、もうそれはそういう関係だってことでしょー!?」
「ポポー」
賑やかだ!
アイラがまともな倫理観を持ってて助かる……。
「女子たちだけで仲良く入っていればいいんじゃないかな」
「ダメです!! 私は! ミアンの体を洗って労います!」
「そうだそうだ。それに、風呂で酒を飲むというパーティもあるそうじゃないか。さっきのヨルカという娘から聞いたぞ。ミアン、酒を風呂場に取り寄せろ! パーティーするぞ!」
「ええっ!? お風呂でお酒を!? 温まりながら解放感の中でお酒を!? ああ~」
アイラが想像だけでとろけた!
いかーん!!
「ポチョ、助けてくれ!」
『ポッピ!』
ポチョが前足を持ち上げて、肩を竦める動作をした。
な、なんだってー!
ガシッと真横からマキナにキャッチされてしまう俺!
「うわー!」
「捕まえましたよミアン! デリアさん、ミアンが暴れないように足を掴んで下さい!」
「よし! 大事な大事な酒担当だ。丁重に扱ってやるからな」
「助けてー」
誰も助けてくれないのである!
『ウグワーッ! 女子たちとお風呂で宴会をします! 実績・酒池肉林!?解除! 2500pt獲得!』
「早い!! 判断が早すぎるよ! あとなんだそのふしだらな実績!! 誤用じゃないの!? うーわー」
マキナとデリアに服をひんむかれて、浴室に連れ込まれてしまった。
な、なんたることだーっ!!
そして二人とも全然裸を隠す素振りがない。
恥じらいという感情はどこに……!
あっ!
アイラがタオルで胸元を隠している。
恥じらいがある~。
というか、このキャンピングカーには湯船に浮くサイズの人しかいないのか!?
俺はそういう人を引き寄せる力でもあるのか!?
掛け湯の後に風呂に入り、三対の浮かぶボリュームに囲まれる俺。
うおおおおおっ。
「さあミアン! 出してくれ! 風呂場でやれるやつだ! 頼むぞ!!」
デリアが俺の手を握って、目をキラキラさせている。
お風呂大好きハーフエルフめ!
「酒出し風呂ができるセット!」
『こちらにラインナップしております。この人数がいるから、酔っても安心ですね』
ということで。
富士山の描かれた壁面が変化する。
パネルになってたのか。
見えるのは、インビンシブル号の上に浮かぶ月だ。
見事な月を眺めながら、浮かぶお盆に乗ったお酒を楽しむわけだ。
『ウグワーッ! 月を見ながら一献傾けました! 実績・月見酒解除! 1500pt獲得!』
俺は精神衛生上、酒を飲むどころじゃないよ!
◎現在のポイント:30202pt
貢献ポイント :37855ポイント
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