第38話 喧嘩を仲裁しました! +1000pt
さて、リクス・タカードを散策しよう。
「グググールによると、あの木々に覆われているビルの地下にサーバーがある。ファンタジー世界じゃなくて、アポカリプス後にファンタジー化した世界なら納得できるね。ええと……自己再生型のサーバーがアポカリプス中に自己凍結処理を行い、都市機能が麻痺したと……」
「難しいことが書かれてて何も分かりません!!」
マキナはSFの知識とか無いだろうからね!
それに、ここで全説明を読んで事態を理解した気になるよりは、自分の足で歩き回って調べる方がきっと有意義だ。
「よし、それじゃあ行こう。えー、では皆さん、本日はよろしくお願いします!」
『ウグワーッ! 元気に挨拶しました! デイリー実績・元気な挨拶解除! 200pt獲得!』
挨拶は全ての基本!
「早速お出ましだぞ! やれやれ、まさか本当に剣を振るうことになるとは……」
デリアがぶつぶつ言いながら剣を抜く。
レイピアみたいな細い剣なのね。
「女の私がむくつけき男どもと打ち合ってどうする。力負けして当然だろう。相手の攻撃は躱す。剣は攻撃するためだけの手段だ」
そう言いながら、彼女は俺達の行く先を見つめる。
そっちからやって来たのは、人間ほどの大きさがあるアリだ。
カサカサと来て、触覚をひくひく動かした。
こちらに気付いたようで、移動速度を上げて向かってくる。
「我々が風上だったようだな。奴ら、鼻がいい」
巨大なアリが次々に現れる。
「ひーっ」
アイラが悲鳴をあげた。
戦意喪失?
「私が足止めする。マキナ、奴らのとどめは任せるぞ! 構成式・拡散に五、風に一、雨に二、凍結に二! アイスバインド!」
デリアの切っ先が真っ青に染まる。
そうしたら、びゅうっと風が吹いた。
それがあっという間に視界いっぱいに広がり、何も無い空間から雨が降り注ぐ。
戸惑うアリ達。
そして彼らにまとわりつき、あるいは地面に降り注いだ雨が、瞬時に凍結していくのだ。
アリ達がキシキシと音をあげながらもがく。
動きにくいようだ。
「では! 殲滅しまーす! エレクトロブラスト発射!」
マキナの角の間から、電気のボールみたいなのが押し出される。
今回は速い!
ものすごい速度で飛んでいって、直線上にいた巨大アリを十匹くらい巻き込んで灰にした!
「今回は速射重視、威力抑えめです! 第二射行きます! 発射ー!!」
どんどん放たれる、エレクトロブラスト。
アリ達は慌てて逃げようとするが、足元が霜に覆われていて上手く動けない。
さらに、無理に移動してもツルツル滑る。
あっという間にその数は減じ、残った数匹もマキナが放ったショット薙刀の切っ先で、頭や胴体を断ち切られて動かなくなった。
「ふーっ、疲れました! これにて殲滅です。お、お腹が空いた……」
俺は素早くビッグサイズのハンバーガーを注文し、マキナに手渡した。
「どうぞ!」
「わーい!! 欲しい時に欲しいものを出してくれるミアン、大好きです!」
とんでもない威力のエレクトロブラスト。
連射したらそりゃあエネルギーを使うよなあ。
そしてデリアも凄かった。
「デリアさんのあれはなんですか」
「魔法剣だ。剣を魔法の発動体とし、これで標的を指示する。さらに切っ先で魔法陣を描きながら、口頭で内訳を補強する。術者が持つ因子が多いほど、使用できる魔法のバリエーションが増えるぞ。正直、私は文官希望なのでこうやって矢面に立ちたくはないのだが」
「ほほうー! 大したものじゃ! 厄災が世界中にばらまき、獣たちを変異させた因子をこうも見事に扱うとは! さすがは因子持ちじゃな!」
「小娘、それは私達異種族に対する愚弄の言葉だぞ」
あっ、なんか空気がピリっとした!
俺はデリアとヨルカの間にスーッと挟まった。
「まあまあ、お疲れでしょう。甘いものでも飲みながら行きましょう。敵対反応は俺のThe・探索で調べながら行きますから」
新しいシステム、エネミーサーチを課金開放!
これは周辺の生物が光点で表示され、中立なら黄色。友好なら青色、敵対なら赤色になる便利な機能なのだ。
「えーと、視界をデリア、アイラ、ヨルカに共有」
『The・探索エネミーサーチの画面を、御三方に共有しました! それと……ウグワーッ! 喧嘩を仲裁しました! 実績・みんな仲良くね!解除! 1000pt獲得!』
でかいぞ喧嘩仲裁!!
人生にとって重要な出来事だったらしいな。
「ふむ、因子持ちはこの時代ではそういう言葉になっておるのか。それは知らんかったな。済まぬ事を言ったな」
「いや、いい。国が変われば常識も変わるのだろう。私も大人気なかった」
よし、仲直り!
「私、いる意味ある? 無いよね? 車の中に引きこもってていい?」
「アイラさんがすっかり怯えている」
「そりゃそうでしょー! 壁の外に出るだけでも怖いのに、別の国なんて! しかも滅びてるし、いきなりモンスターのお出迎えでしょー! ひぃーっ、怖すぎるストレスで葉っぱが枯れてしまう~!」
「しかしアイラ、お前は冒険者ギルドの見届け役なのでサボるわけにはいかんぞ」
デリアがにっこり笑いながら、アイラの肩を叩くのだった。
「うわーん! 帰ったらギルド辞める~!! い、いや、それだと貢献ポイント稼ぐ手段が減るから、ええと、ええと、もっと大人しい職務に回る~!」
ケスタイン王国も難しいなあ。
ということで。
動き出した俺達一行なのだ。
エネミーサーチとグググールの二刀流で、俺は大忙し!
「ええと、あっちが居住区画で、黄色い光点がいっぱい。多分アリの巣になってます!」
「ひーっ」
アイラがか細い悲鳴をあげる。
大声出すとアリが寄ってくるからね。
「居住区画の向こうに商業区画があって、そこはアリが少なめなんだけど……大きな黄色い光点が居座ってる。大物モンスターがいそうです。でも、商業区画なら何か残ってたら、王国にお土産ができるかも」
「ふーむ……」
デリアは少し考えて、
「いや、やめておこう。私達の仕事はあくまで外の調査だ。欲を張れば命が危ない」
クレバー!
「そしてさっきから、ミアンがずっと案内していて、そこの小娘は何もしていないのだが?」
「わしか? ホホホ、そんなこともあったかのう!」
ヨルカが笑って誤魔化す!
「まあまあまあ。彼女はあの中央ビルに入ってから仕事してもらうので……」
「うむ、わしがおらねば、サーバーとやり取りすることは困難を極めることになるじゃろう。具体的には、ミアンが過労死するくらい働くことになる」
「だめですー!! ミアンは死んではだめですー!! 私、ミアンが無茶しないようにギュッてしてますから!」
「うわーっ」
マキナに抱きかかえられてしまった!
いや、これでも移動はできるけど、戦闘できなくなるよね!?
『ウグワーッ! 重い愛に包まれています! 実績・守られたい願望達成!解除! 1500pt獲得!』
別にそんな願望はないけどポイント高いね!?
『ポッピポピー!』
なお、マキナの分の戦いは任せろー!
と頼もしく宣言しているっぽいポチョなのだった。
ではでは、中枢ビルに行ってみようか。
◎現在のポイント:24672pt
貢献ポイント :7555ポイント(マンハンターアントを討伐)
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