第36話 目的地を発見しました! +800pt
マイクロバス型キャンピングカー、インビンシブル号。
こいつは外見もまあまあデカいが、中身は空間の制限を無視した広さだ。
具体的には、キングサイズのベッドが置けるくらい広い。
俺とマキナの寝室は、彼女の熱い希望によりキングサイズのダブルベッドになっております。
「今更だけど別々ではいけなかった……?」
「ずっと同じ寝床でやってきたじゃないですか! 何を今更変える必要があるんですか!」
「いや、毎朝マキナが抱きついてきたり、素っ裸のまま俺の上に乗っかって寝てたりするので……」
「遅かれ早かれ裸でそう言うことをするようになる予定なんですから、今から慣れておきましょう!」
「ひいーっ、内堀まで埋め始めてきた」
そんな話をしていたら、底面から「うるさいぞーっ!」「イチャイチャしてないで寝なさーい!!」とブーイングが起こった。
いかんいかん、あと二人いるんだった。
ロフトタイプのベッドがキングサイズで、底面ベッドにはパイプベッドが並べてあるのだ。
三人宿泊できるぞ。
今は、デリアとアイラが寝ているが。
なお、空いているベッドにはヨルカがよじ登って鎮座しているらしい。
まあ、定員が埋まったとは言えるか。
「寝るかあ。明日も大変そうだし」
「そうしましょうそうしましょう!」
ということで消灯。
この世界、ファールディアに来てからの毎日はとても刺激的で、一日一日が短い。
初体験のことばかりだ。
お陰で夜にはぐったり疲れているから、横たわると一瞬で気絶して……。
夢の中で、花嫁姿のマキナにお姫様抱っこされてヴァージンロードを歩いていた。
おや?
俺もウェディングドレスではないか!?
というところで目覚める。
なんと凄まじい夢だったのか。
正夢かも知れない。
そして本日も、素っ裸になったマキナが俺の上に乗り上げるようにして寝ていたのだった。
この寝相ならキングサイズベッドが必要というのは、とても良くわかる。
彼女を起こさないようにしてそーっと抜け出して、顔を洗って着替えて……。
『ポピー』
「おはよう、ポチョ。昨夜は何かあったかい?」
『ポッピピ』
ポチョがフロントガラスの一部をディスプレイにして、録画映像を映し出す。
「あー、夜にマイクロバスを気にして怪物がペタペタ触っているなあ。でもこれに乗ってる限りは無害そう。生身でこんな場所を移動する人々のことを思うとゾッとするな……」
そりゃあ、国外追放なんて言われたら絶望するに決まっている。
『画像のモンスターはクリーピングジャイアントです。平面上の肉体を持ち、通常は這いながら地面をゆっくり移動しますが、獲物や気になるものを見つけると立ち上がり、広く平たい手でペタペタ触ります。比較的、この世界では害がないモンスターです』
「なんだなんだ。説明されてもさっぱり分からない」
『触られた対象が暴れた場合、獲物とみなして両手で挟んで圧殺し、食します』
「こわい!」
『ウグワーッ! 新たな脅威を知りました! 実績・見た目で騙されてはいけない解除! 500pt獲得!』
チャットボットの説明を聞きながら俺が盛り上がっていたら、アイラが起きてきたのだった。
「朝から元気ねえ、ミアンさん」
「あ、おはようございます。よく眠れましたか」
「あんまり。っていうか、壁の外に出るの初めてなんですもん。怖くて怖くて、ちょっと物音する度に目が覚めたわよ」
アイラの顔色がよろしくない!
「朝シャワーでも浴びてすっきりしては」
「朝……シャワー……?」
「デリアさんが詳しいと思うので聞いてみて下さい」
「あの騎士、まさかあなた達の家によく通ってたの!? あんにゃろめ……官民癒着はダメでしょうがぁ……」
おっ、なんか怒っておられるぞ。
その後、起床してきたデリアはアイラになんかガミガミ言われていた。
全然堪えてない風だったが。
そして素っ裸で起きてきたマキナを連れて、三人で朝風呂に行ってしまったのだった。
デリアがいると、女子たちの入浴回数が増えるな……。
「というか、温泉だとでも思ってるんじゃないだろうな」
『あなたも一緒に入ればいいんですよ……』
「やめろ、誘惑するんじゃないチャットボット」
怖いやつだなー。
気を抜くとすぐに俺の人生を背中から押して進ませようとしてくる……!
いや、悪くはないんだけどね!
俺にもペースというものが……。
「それで、ルート取りはどんな感じ? 昨日はあてもなく走ってるのかなと思ったけど」
『ポチョに地図を共有しています』
「地図!? そんなもんがあるの!?」
あったらしい。
どうやって取り寄せたのか、ファールディアで過去に描かれた地図だ。
都市と都市が道路で繋がれており、ケスタイン王国があった場所にはリアス式海岸沿いの都市が存在していた。
そしてその都市から道路をしばらく走ると、ほどほどのサイズの都市が……。
「現実世界だと割と近くない? 車だと一時間くらいの距離でしょ。あ、でも道路が無くなってるから、道なき道を走るわけか。それじゃあ10kmの距離って無限の長さみたいなもんだもんな」
起床してから、インビンシブル号は走り出している。
昨日時点でそこそこの距離を移動していたようで、俺が朝食を用意する間には目的地が見えてきている。
あれは……。
ボロボロに崩れた壁と、半ばまで緑に覆われたビル群みたいなのが見える。
『ウグワーッ! 目的地を発見しました! 実績・調査の始まり解除! 800pt獲得!』
「この世界って、もしかして滅びた科学文明があって、その上にファンタジー世界が出来上がったのか……!?」
◎現在のポイント:20827pt
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