第27話 家で賑やかに過ごしました! +1000pt
「ポポーっ」
カカポになったヨルカが我が家に入ってきた。
全然言葉を喋らなくなってしまった。
『これは省エネモードです。完全にカカポ化することでエネルギーを温存しているのです。ご飯を食べさせるとまた喋り始めます』
「お腹が減ると本物になってしまうのか……」
「気持ちは分かりますねー。空腹だと何も考えられなくなりますもん。私、ミアンと一緒になれて本当に良かったですよ」
一緒になれて!?
意味深……!!
ひとまず、ヨルカ用のカカポベッドなどを用意する。
トイレを教えたら、ちゃんとトイレを利用するカカポだったのでこっちも一安心。
『ポピー』
「ぽぽー」
おっ、ポチョの上に乗った。
ヨルカを乗せたまま、ポチョが家の中をトコトコ歩き回るぞ。
すごい光景だな。
こういうの、ネットで見たことがあるような気が……。
あっ!!
お掃除ロボの上に猫が乗っているやつだ!!
ハッとした俺は、素早くポチョのオプションを検索するのだった。
あった!!
屋内お掃除オプション!
足をアタッチメントで付け替えることで、お掃除用ボディになるのだ。
ウィーンと動いて家の中を練り歩くポチョの上に、当たり前みたいな顔をしてヨルカが座った。
おお、運ばれてる運ばれてる。
「かわいいですねー。心が癒やされます」
「あの姿を見ると、いにしえの魔女だとはとても思えない」
早く食事をさせて尊厳を回復させるべきではないか。
ということで、夕食にするのだった。
本日のメニューはピザ。
マキナの好みを聞くと、なるべく肉肉しいものか、食べ応え満点のものがいいらしい。
ミートスペシャルピザと、ポテトピザにした。
人竜族はあまり乳製品を摂取しないそうなので、今回はチーズ控えめ。
「私達の飼う家畜はコカトリスなので、取れる卵で作る料理が豊富なんです」
人竜族の卵料理もそのうち食べてみたい……。
我が家にはまだ厨房が無いから、マキナに腕を振るってもらう機会は来なさそうだが。
「私は食べる専門で……」
「あっ、なるほどです」
人竜族用のレシピ本、買うか……!
『ウグワーッ! 将来の計画を立てました! 未来計画1Lv解除! 500pt獲得!』
「ちょっと思っただけで実績が解除される。つまり実行度が高いということなんだろうな……」
そして届いたミートピザ。
冷えた烏龍茶も注文しておいたので、こいつと一緒にいただくのだ。
「ああ~。ミアンの出してくれるお料理は常に美味しいです……! 私の好みをバッチリ抑えたお料理で、なんていうか愛を感じます……」
「お取り寄せだからね?」
夢中になってピザを食べるマキナの横で、ヨルカがポテトピザをついばんでいた。
意外とガツガツ食うな!
そしてお椀に入った烏龍茶をパチャパチャ飲んでいる。
「はっ! わ、わしとしたことが、すっかり鳥になってしまっておったのじゃ。じゃが、この姿に知能を引っ張られるから、あまり長い間知性を保ってはいられぬ。一言だけ言わせてもらうぞミアンよ」
「なんですかね」
「こ、この美味い料理はなんじゃ……? いにしえの時代にもこんな料理は存在していなかったのじゃ……あぁ~っ、また意識が鳥に……ポポーっ」
カカポに戻ってしまった。
そうこうしていると、扉がノックされる。
当たり前みたいな顔をして、デリアが入室してきた。
「入るぞ。むっ!? 美味そうなものを食べているな。……食べてもいいか?」
「どうぞどうぞ」
ポテトピザを切り分ける。
彼女はこれをむしゃむしゃ食べると、「うまっ。しかし酒が欲しくなる味だな」とか呟いた。
そこへ、ポポポッとヨルカが近づいてきてピザをねだった。
「なんだか鳥が増えている気がするが、まあいい」
ちょっとちぎってヨルカに分けてあげるデリア。
意外と優しい。
「ポポーっ」
「私は今日、お前達に新しい仕事の話を持ってきたんだ。これはギルド経由でもあるのだが、あそこで伝えるとお前たちと騎士団が癒着している思われるからな。基本的に、冒険者たちは割のいい仕事を巡って日々競争している」
俺は先日のシルバー級冒険者たちを思い出す。
優れた冒険者の資質を持つらしきマキナを勧誘するために、家まで押しかけてきたもんな。
あれ以降、自宅に来ることはなくなった。
ポチョの噂が広がったからだろう。
「前回のオーガ同胞団制圧は見事だった……もぐ……。あれを見た治安維持部門の騎士から依頼が来ている……むしゃ……。地下に潜って貢献ポイント逃れをしているドワーフどもから……ぐび……。取り立てを行うので手伝って欲しい……むしゃ……美味いな本当に」
喋りながらずっと食べている。
マキナに至っては無言のまま、Lサイズのピザを既に三枚平らげているではないか。
カカポのヨルカはまだピザを二欠片しか食べていない。
「うーん、食べた食べた……。一休みしたら風呂を借りるぞ」
「デリアさん、本当にほぼ毎日来ますね」
「お前達を担当している私の特権だ。その代わり、今回のように割の良い仕事をどんどん持ってきてやるからな。それが風呂の利用料代わりでどうだ」
「それは構わないんですが、風呂上がりに裸で部屋の中を歩き回られると男の俺としては目の毒で」
「ふん、お前がもっと男らしくなったら私も意識してやる。今のお前はヒョロヒョロしてて、男~っという感じもしないからな。それにこの家、隙間風なんかが全くなくて、裸でも安心感があるのだ。少しくらいは良かろう」
この騎士、我が家を自分の部屋だと思ってるんじゃないだろうな?
『騎士は男女混合で任務に当たったりしますから、その辺りの羞恥心は少ないと言われています。あなたの場合は、男性として意識されていないのもあります』
「嬉しいんだか悲しいんだか」
「ふいーっ、食べました。お腹いっぱいです。そうですねえ、デリアさんが裸で歩き回るのは確かによくない。よくないです。それが許されるのは私だけです」
「マキナもできれば着て欲しいんだが!?」
『彼女の場合は普通にあなたを誘う意図もあります』
マキナーッ!?
マキナはリラックスすると脱ぎたがるし、デリアは風呂上がりは体の火照りを沈めるために服を着てないし!
「では風呂に行くぞ。湯を入れてくれ」
「ポポーっ」
「なんだ、この鳥も風呂に入るのか? おいミアン、なんだこいつは? どこでこんな変な鳥を見つけてきた?」
ヨルカの事を話すとややこしい話になりそうだ。
黙っておこう。
しかし……我が家も賑やかになってきた……!
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◎現在のポイント:16880pt
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