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第23話 制圧を完了しました! +800pt

「あのー! 今から皆さんを完全制圧しまーす!」


 マキナの実力とポチョの性能から、彼我(ひが)の戦力差を完全に理解した俺だ。

 こっちが圧倒的に強い……!

 降伏勧告して、無駄な戦いは避けたほうがけが人が減るのだ。


 俺は音波砲を最低出力にして、強力なメガホンとして扱う。


「大人しく降伏して、国にきちんと貢献ポイントを納めたらどうでしょうか! それが嫌なら、いったんこの国を出ていくとか。他にも国はあるそうですしー」


 同胞団の身勝手な物言いには腹が立つが、俺も平和な日本からやって来た男だ。

 平和に事が済めば何よりだという価値観がある。

 それに、これで終われば仕事も楽になるし、マキナはこれ以上危険なことしなくていいからね。


「な、な、なんだとーっ!!」


 これを聞いて、オーガ同胞団のリーダーが激怒した。


「我々にまた、あの地獄に帰れと言うか! 死に満ちた外の世界に行けと!!」


 おやー!?

 貢献ポイント以上に、反応が激しいぞ。

 外の世界?


 マキナもなんか厳しい表情をしている。


「オーガの男性はともかく、女性や子どもたちでは外の世界は危険すぎますからね。気持ちは分かります」


 おやー!?

 この国の外側はどうなってるんだ!?

 興味はあるけど、今は仕事が優先だ。


 サクサク終わらせるぞ。


「じゃあ貢献ポイントを頑張って働いて払いましょう!」


「それも断る!! なぜ人間の流儀に合わせて合わぬ労働をして、搾取されねばならないのかー!! もっと面白おかしく暮らさせろーっ!!」


 そうだそうだーとオーガたちが唱和しております。

 勝手過ぎる~!

 体格に優れ、言うことを聞かず、徒党を組んで国の一角を占拠し、何の貢献もしないでマフィアまで結成する人々。


 これは制圧対象だわ。

 さすがに俺でも、オーガたちのスタンスがダメな事はわかる。


「じゃあ粛々と仕事をします! ポチョ! 薙ぎ払えー!」


「ポッピー!」


 ポチョがくるくる回転しながら、周囲から襲い来ようとしていたオーガを次々に打ち倒す!

 ミニガンの暴威を見よ!


「ウグワーッ!?」「ウグワーッ!?」「ウグワーッ!?」「ウグワーッ!?」「ウグワーッ!?」


 弾丸は非殺傷製のゴム弾を大量に購入しているので、制圧には便利!

 あちこちでオーガがぶっ倒れている。

 そして眼の前。


 廃屋をバリケードみたいにして立てこもるオーガ同胞団のボスに対して……。


「では、行きます!」


 マキナが進み出た。


「エレクトロブラスト、発射!!」


 彼女のツノが帯電したと思ったら、その間に雷球が出現!

 それがゆっくりと、廃屋目掛けて進み始める。


 雷球は今も、マキナのツノと電流で繋がっていて、どんどん大きくなる。


「ひいーっ! く、来るな! 来るなーっ!!」


 同胞団のボスが悲鳴をあげるが、雷球は急に止まれない!

 ついに廃屋に接触すると、大爆発を起こした!

 大きな廃屋が吹っ飛び、中に隠れていた同胞団も「ウグワーッ!!」と吹っ飛ぶ。


 最終的には、みんな失神した状態になった。

 おやあ?

 廃棄都市の奥に向かって、黒い影たちがバタバタ逃げていくぞ。


 あれが、ダンジョン化した都市に住んでいるモンスターみたいなものなんだろうか。

 そのうち、顔を合わせることになりそうだ。


 今はそれよりも、マキナの大活躍を褒めたい!


「マキナ凄いなー! やるなあー」


「ありがとうございます! これ、すっごくお腹が減るのと、それに周囲の被害が凄いのでこういう開放された環境で、眼の前は敵ばかりじゃないと使えないんですよ。人竜族の女は、ブレスと呼ばれるこういう力に長けていて、私は一族では一番これが強かったんです!」


 えっへん、と胸を張るマキナ。


「うんうん、凄い威力だった……! 仕事がすぐ終わったし、死なないように手加減もしただろ? 気遣いまでできるの凄いなー」


「むふ、むふふふふ。さ、さすがにそこまで褒められると照れくさいです」


『ウグワーッ! 仲間の活躍をリスペクトしました! 実績・コミュニケーションの第二歩目解除! 800pt獲得!』


『ウグワーッ! 制圧を完了しました! ウィークリー実績・お仕事完了解除! 800pt獲得!』


『ポピ!』


「ポチョも頑張った! すごかったなー」


「ポチョはたくさんオーガを制圧しましたからね。頼れますねー」


『ポピピ~』


 褒められて、嬉しそうに揺れるポチョなのだ。

 ドローンユニットとミニガンを回収し、ストレージに収めると、ポチョはもとの柴犬サイズの歩行戦車に戻った。

 まだまだ拡張パーツはたくさんあるからね。

 しかも、拡張パーツを複数付けられるアタッチメントまである。


 二人でポチョをなでなでしつつ……。


「そう言えば、この倒れてるオーガはどうしたらいいんだろう?」


 俺は疑問を口にした。

 すると、廃棄都市の入口からわらわらと人が入ってくるではないか。


 みんな、デリアに似た装備をしている。

 騎士団だ。


「確保! 確保~!」


 巨大な馬車を引き連れて、騎士団がわーっと入ってきた。

 彼らはオーガを片っ端から後ろ手に縛ると、馬車に放り込んでいく。

 これ、囚人輸送車か!


 彼らの中から、落ち着いた感じのおじさん騎士がやって来た。


「素晴らしい働きだ! さすがはギルドが派遣した最強のルーキーだな!」


 最強のルーキー!?

 どうやらそういう形で売り込みをしたらしい。

 そして俺達は見事に、仕事を果たしたと。


「私が言った通りだったでしょう。彼らは使えると!」


 あっ!

 ピンクの髪の尖った耳の女騎士!

 デリアだ。

 この人、毎日どこかで見るな。


「ああ。騎士デリア。君が彼らを冒険者ギルドに入れたことは、我が国にとっても大きなプラスに働いた。今後の進路については私からも後押しさせてもらおう」


「ありがとうございます!!」


「そして君たちも。これからも王国のために貢献してくれたまえ。今回は騎士団から金一封ポイントを贈呈する。では」


 そう告げて、おじさん騎士は去っていった。

 偉い方のようだ。

 課長さんクラスかな……。


 デリアはニコニコしながら、


「よくやってくれた! お陰で私も出世できる! それから今日も風呂を貸してくれ!」


 とか言ってきたのだった。

 な、なんだとー!?

 俺はデリアにとっての便利屋ではないぞーっ!?


 俺の気持ちを、マキナも共有してたらしく。


「それはどうなんでしょうねえ……。デリアさん、お風呂はあくまで私達のものですから。私とミアンだけが入っていいんです。私と……ミアン……うふふ。だからデリアさんはもうダメです」


「そ、そんなぁ」


 あっ、この世の終わりみたいな顔になったぞ女騎士。


「あの風呂を知ってしまったら、今までと同じ気持ちで公衆浴場に入れなくなるんだ……! 頼む……! この通りだ! 私からも今後、色々な便宜(べんぎ)を図るから……!」


「あ、あのデリアさんが頭を下げている!! 風呂の威力恐るべし。っていうか本当に風呂が好きなんだなあ……」


 こうして仕事は終わり、今夜もデリアに風呂を貸すことになり。

 冒険者としての一日はつつがなく終了するのだった。


『ウグワーッ! 騎士団での評価が上がりました! 実績・信頼できる仕事人1Lv解除! 1000pt獲得!』


◎現在のポイント:15886pt(貢献ポイントの相乗りポイント加算)

 貢献ポイント :2555ポイント(オーガ同胞団制圧と金一封)


お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
これ、王国の外ってどれだけヤバい事になってるんだか……(汗)
おいおい… せめて楽な仕事させろだろ?
だなもし。が一枚噛んでる事を考えると王国の外はヘルズテーブル並の死地って事?! この世界(宇宙)に安寧の地はないのか
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