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第2話 他のポイントサービスに相乗りしました! +200pt

 移民受け入れセンター。


 列に並んで、ついに俺の番が来た。

 他の人達はみんな、ボロボロの服装だったり、人間じゃなかったり、剣呑な武器をぶら下げてたり……。

 ワケアリだったりカタギじゃなかったりする感じだなあ。

 怖い怖い……。


「兄ちゃん、手ぶらなのかい!?」


 一緒に並んでいたおっさんに驚かれた。


「ええ、その、事情があって」


 さっきこの世界に転生してきたばかりだからな。

 UGWポイントプログラムしか持ってないぞ。


「よく、こんな物騒な世の中を手ぶらでケスタイン王国まで辿り着けたなあ……」


「ケスタイン王国……?」


『ウグワーッ! 初めて現在地を確認しました! 実績・ここはどこ?を解除! 100pt獲得!』


 あっ、ポイントが増えた!

 嬉しくてニコニコしてしまう。

 こりゃあ、いろいろな事に挑戦するモチベーションになるぞお!


「兄ちゃん急に笑いだして! そうかあ、色々苦労してきたんだああ」


 なんか勘違いされてしまった。

 俺はおっさんとともに建物の中に案内され、貢献活動とやらの説明を受けた。


 係員のお姉さんが言うには……。


「ケスタイン王国は平和な国です。ですから、各地から移民を希望する人々が集まってきます。ですが、誰も彼も受け入れては王国の治安を保てません。ですから移民を希望する人は、我が国への貢献を行っていただくことになっています。それが貢献活動です」


 係員がやってきて、俺とおっさんの手にリストバンドをつけた。

 なんだこれは?


「それは、貢献バンドです。皆さんが既定の貢献活動をすることで貢献ポイントが貯まります。これが1000ptになれば移民としての申請が可能になるということです。もちろん、貢献活動中に問題を起こした方は申請が却下されます。そういうこともバンドが記録します。途中で外した人も、申請は却下されます」


「思ってたより厳しい」


「何言ってるんだい兄ちゃん。他の国なんか、入国させてもくれないんだぜ? まだまだケスタイン王国は優しい方さ」


 そうなのか。

 異世界も大変なんだな……。


 そんな事を思っていたら、視界にステータス画面が開いた。


『ポイントプログラムからの提案です! 他社のポイントプログラム加入を確認しました。なんとUGWPAYポイントプログラムは、他社プログラムとの相乗りが可能です!』


「なんだって!?」


 思わず声が出た。

 説明のお姉さんが首を傾げる。

 しまった、声は抑えておかないと。


『相乗りすることで、他社プログラムで発生したポイントの10%が、UGWポイントとして獲得できます!』


 な、な、なんだってー!!

 やる!

 相乗りする!


 眼の前に、相乗りサービスに加入する YES/NOが表示されたので、震える指でYESを押した。


『相乗りサービスのご利用ありがとうございます! ご加入特典として、200ptを進呈します!』


 ポイントまでもらえるの!?

 やったー!!

 嬉しいー!!


「兄ちゃん、どっちに行くんだい? 採集と労働があるけど」


「え? あ、はい」


 いかん。

 ポイントプログラムに夢中で説明が耳に入っていなかった。

 おじさんはいい人だったので教えてくれた。


「労働は、農作業や荷役だな。こいつは一日働けば5pt手に入る。貢献ポイント1ptで一食得られるから、一日二食に切り詰めるとして……まあ一年働けば入国できるな」


「そんなに!?」


「いやまあ長いけどよ。命までは失わないだろ。で、採集は集めたものでポイントが変わるけど、モンスターがうようよいる国外に出ないといけないんだ! 上手く達成できりゃいいけど、まず死ぬぜ! 俺たちゃ強い騎士や冒険者様じゃないんだ」


 なるほどなあ……。

 でも、ポイントを得られるための新たな行動は、採集の方が多そうだ。


「あ、じゃあ、俺は採集に……」


「本気かい兄ちゃん!? い、いや、まあ兄ちゃんの選択だもんな。俺は止めねえよ。無謀は若さの特権だけどさ、それで死んだら元も子もねえぜ? いつでも労働に来ていいんだからな?」


 そして、おじさんは去っていった。

 いい人だったなあ!

 異世界にもいい人がたくさんいる。

 それにこんなにたくさん、人と話したのは久しぶりだ。


『ウグワーッ! 10分間会話しました! 実績・コミュニケーションの第一歩を解除! 100pt獲得!』


「えっ!? 頑張ってお喋りしてもポイントになっちゃうの!? うわーっ、嬉しいなあ! これは本当に頑張る理由ができちゃうじゃん!」


 今のポイントは……。


◎現在のUGWポイント:1500pt


 いいぞいいぞ!

 それに、貢献ポイントを得るごとに、相乗りでその10%が乗ってくるんだ。

 楽しいことしか無い。


 さーて、それじゃあ採集に勤しみますか!

 でも、危険だって言われていたよな。

 ということは、武器とか備えが必要なんじゃないだろうか。


「ポイントで買えるかな? お買い物サービスっと……」


 俺はポイ活でポイントを貯めるが、使うべきときには使える男なのだ!

 よし、このモンスターよけスプレーというのにしよう……。


 鍛えてない俺の体では、振り回す系の武器なんか持っても無駄だからね……。

 あ、50ptで買えるの!?

 やすぅい!

 回数制限のある消耗品だし、二つ買っとこう。


 俺はスプレー一つを腰のベルトに挟み、一つを手にする。

 こうしてお買い物を楽しんでいると、採集に向かう移民希望者の会話が聞こえてくるではないか。


「ツノ女戻ってこないな」


「死んだんじゃないか? 人竜族ったって丸腰だろ」


「やっぱ採集、移民認定は爆速になるけど命が危なすぎだよな」


「俺等もポイントが貯まるのが先か、死ぬのが先か……」


 物騒なことを仰る。

 よし!

 俺は慎重に慎重に、しかし貪欲にポイントを獲得していくぞー!!


◎現在のポイント UGWポイント:1400pt

         貢献ポイント :0pt

お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
やすぅい! なんという決め台詞w しかしこの国の貢献ポイント制、微妙に不穏な気がしないでもない……w
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