表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/26

第19話 一緒にお風呂に入りました! +2000pt

「ミアン~!!」


 マキナが俺を呼ぶ声がする。

 浅めの湯船へ寝そべるように入り、俺を手招く。

 太い金色の尻尾も、ゆらゆら揺れている。


「裸の女性と同じお風呂に!?」


「裸の私と一緒に寝たではありませんか」


「なんと語弊を招くような表現を……」


 本当に眠っただけなのに。


『ピポー』


「ポチョはこの辺で遊んでてくれ。なに? 遊ぶものがない? じゃあこのトリモチランチャーの使い終わった筒をだな……」


『ポピピ』


 ポチョがトリモチランチャーの筒で遊んでいるうちに、俺も覚悟を決めて服をぽいぽいと脱ぎ捨てるのだ。

 こういうものは度胸なのだ。

 俺の場合はヤケクソでもあるのだ。


『ウグワーッ! 不退転の覚悟を決めました! 実績・男は度胸解除! 500pt獲得!』


「こんなことでもポイント貯まるの!? 混浴のお風呂に入るだけなのに!?」


 素っ裸になった俺は、ちょっと前かがみになりながら洗い場へ……。

 マキナがじーっと見ている!


「み、見てませんよーっ! ミアンはもう少し鍛えてもいいなーとか思ったりしてませんし、なんだか興奮してくれてて元気になっているなーとか思ってもいませんから!」


「全部見てるじゃーん!!」


 だが、まずは洗い場で体を綺麗にするのだ。

 掛け湯をし、汗や汚れを洗い流し……。

 まあ、この風呂のお湯は謎の空間から現れ、謎の空間に消えていくから問題なさそうなんだが、こういうのは気分的にね。


「なるほど……。ミアンの土地ではそのようにしてお風呂に入るのですね」


「そうなんだよー。今度真似してみてね」


 努めて落ち着いた声を出してはいるのだが、心臓バクバクなのだ。

 寝る前に素っ裸だった時もドキドキだったが、今度は俺も裸なんだぞ!?

 ま、間違いがあってはいけない。

 いや、間違いがあっても誰も困らないんだけど。


 そーっと湯船に足を入れていく。

 うおーっ!!

 これだよこれ!

 風呂の湯の熱さ!


 ゆっくりと全身を沈めていく。

 温度は40度から39度くらい……?

 まあまあの温度だ。


 もっと熱くても、マキナは飛び込めたことだろう。

 今はぷかーッと浮かびながら、お風呂の中を漂っている。

 銭湯にして良かった。

 湯船がかなり広いもんなあ。


 そして水面から覗く、マキナの大変ご立派な胸元盛り上がり2つ。

 重力でふんわり形が崩れているのが大変エッチである。

 くそーっ、俺の盛り上がりが収まらない。


「ああ~。なんて気持ちいいのでしょう……。世に楽園というものがあるならば、きっとここですよ……」


 ええ、視界的には俺も楽園と言うか桃源郷です。

 マキナ、浮いているのかと思ったらお湯の中で、尻尾が体を支えているっぽい。


 こっちに流れてきたぞ。


「ミアンは泳いだり浮いたりしないのですか?」


「俺の世界ではお風呂で泳ぐのはお行儀が悪いと言われているんだ」


「なんとまあ! 土地が変われば常識も変わるのですね……」


 マキナが体勢を変えて、俺の眼の前で座った。

 ああ~っ。

 何もかも見える~っ。


 いや、濡髪が垂れて、胸元を隠しているんだけど。

 真っ白な肌がお湯で軽く上気していて、大変エッチなのだ。


 くそーっ、ようやくの風呂だというのに、風呂どころではないではないか!


『ウグワーッ! 改めて……一緒にお風呂に入りました! 実績・一緒にお風呂解除! 2000pt獲得!』


 改めてってなんだーっ。

 俺がもじもじしていたら、間合いを詰めてくるマキナ。

 その目がお湯の中を凝視しているんだが!?


「ほうほう、こうなっているんですね……。人竜族の殿方よりは小さいですが……ふんふん……」


 ガン見じゃないか!

 こ、これは大変なことになりますぞーっと思ったら。


 そこで家の扉がノックされたのだった。


「いるか? 私だ。ギルドからの連絡を受けてやって来たぞ。入れろ!」


 この偉そうな喋り方は……。

 今の状況に水を差してくる残念さと、このまま流れでどこに行ってしまうんだ!? というドキドキを助けてくれたという安堵感。


「あっ、はーいただいま」


 俺はタオルを出して、腰に巻いて扉へ……。

 と思ったら、全裸のままマキナがトコトコ行ってしまった。

 ああーっ!

 なんたることをーっ!


「デリアさんですよね? 何の御用ですか?」


「おお、昨日の今日でもう家を借りたというのでな。それに人竜族の女はやはり優秀だったのだと……のわーっ!!」


 扉が開いたら、全裸のマキナが湯気を上げながら立っていたので、驚愕してのけぞる騎士デリア。


「な、な、な、なぜ裸なのだ! それに汗をかいて湯気を立てて……ま、まさか最中だったのか!? そ、それは失礼したな……」


「お風呂の最中だったんですよー」


「……なに? 風呂ぉ……!? 家の中に風呂!?」


 マキナに招かれて、家の中に入ってきたデリア。

 入口のところでちゃんと靴を脱いでくれる。


 この世界は土足じゃないんだよなあ。

 デリアは屋内に広がる大浴場を見て絶句。


 そりゃあ、空間を無視して銭湯が展開してるんだもんなあ。


「へ……壁画付きの巨大な浴場だと……!? 公衆浴場並の大きさではないか! こ、これはなんだ!?」


「ミアンが出したんですよ」


「あの男がか!? あっ、いた!」


「どもー」


 俺は湯船の中で手を振る。

 もう外に出るのは諦めたぞ。


『ポピー』


「うわっ、なんか変なのもいる! ギルドで言っていた、奴が召喚したというモンスターか! ……妙なモンスターだなあ」


「デリアさんもお風呂、入っていきます? あなたは高慢でいやーな人ですけど、お風呂に入ればちょっと性格も良くなるかも知れませんよ」


「誰が性格が悪いだ!? し、しかし……これほど空いている風呂は……魅力的だ……。少しだけ……そう、これは新たにやって来た移民の家を検分するためだからな。私の職務の延長だ……」


 いそいそと服を脱ぎ始めるデリアだった。

 な、なんたることーっ。

 二人目の女性の裸を見てしまったぞ。


 鍛えられ引き締まった体である。

 いや、出るところは結構出てるな……。

 ますます俺は湯船から上がれなくなったぞ。


 彼女はいそいそとやって来ると、洗い場に気付いた。


「これは……この蛇口から湯が出るんだな? ふむふむ」


 掛け湯をしてから風呂に入ってくれる!

 文化的ーっ!!

 俺のデリアへの好感度が上がったぞ。


 そして彼女は風呂に入ると、


「あぁぁぁぁぁぁぁぁ~」


 ととろける声を出してふにゃふにゃになったのだった。

 風呂は固く凝った心すらも解きほぐすのだ!


『ウグワーッ! お客にお風呂を貸しました! 実績・うちのお風呂に入りに来て解除! 1000pt獲得!』



◎現在のポイント:12996pt

 貢献ポイント :655ポイント


お読みいただきありがとうございます。

面白い、先が気になる、など感じられましたら、下の星を増やして応援などしていただけると大変励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ミアンさん、もうこれは逃げられないレベルでマキナさんにロックオンされている……w
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ