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第16話 住環境を整えました! +1000pt

 ゲストハウスに到着。

 長屋みたいな感じなのかなと思ってたら、立派な一軒家だった。

 これは嬉しい!


「ここに住むためには毎月貢献ポイントが500ポイント必要になりますからね」


 アイラの説明で世の中の世知辛さを再確認する。

 何もかも全てポイントポイントポイントだ!


「まあ、稼ぐ行為は楽しいから全然いい。ただ、税金みたいな形でポイントを差し引かれるのが気に入らないだけだ」


「ミアンが何か凶暴な顔をしています! そんな顔もできたんですね!」


「ポイントに関して俺の怒りに触れることがあるとたまにこうなるんだ。ごめんね」


「いいのですよ。男は時に怒りを燃やし戦わねばならぬ時があるものです。人竜族も本来、女は積極的に戦いには加わらないのですが、私は見ての通りチャレンジャブルなので」


「なるほどー。チャレンジャブルが過ぎて里を飛び出して人間の世界までやって来てしまった!」


「そこでミアンと出会えたわけですね。人生は何が起こるか分かりません」


「ほんとほんと」


「あのー、では私はこれで……」


 アイラが去っていってしまった。

 こいつらいちゃついてやがる、とか思ってたな、あれは。


 さてさて、ゲストハウスだけど、ごく単純な石造りと木造を組み合わせた家だ。

 形は箱型。

 屋根にちょっと傾斜がついてて、降ってきた雨を流すようになっている。


 窓はついているけれど、当然ながら窓ガラスは無く鎧戸。

 中に入ると、ちょっと埃っぽかった。


「この世界は日本みたいに高温多湿じゃないっぽいな……。だから石造りが許されるんだろうなあ……。うおっ、中はぶち抜きの一室のみ!!」


 大体二十畳くらいの広さの部屋がどーんとあるだけで、他には何も無い。

 家具類は自分たちで揃えろということだろう。


「ゲームのマイルームみたいだな。だんだん物を増やしていって、自分流の部屋をカスタマイズするやつだ」


 鎧戸を開けると、老朽化しててバリっと割れた。


「あー。これは新しいのをポイントで買って設置するのがいいな」


 部屋の隅から隅まで歩いてみる。


「トイレも風呂も無い。外で共同トイレと公衆浴場があったから、あそこで済ませろということか……。いやいや、内風呂とトイレは絶対にほしいぞ……。ここがポイントの使い所だな……」


「あのう、ミアン」


 なんだか不安そうなマキナの声がした。

 振り返ると、彼女がまた上目遣いで見てくるではないか。


 上目遣いするためにちょっとしゃがむの可愛いですね。


「なんだい?」


「ミアンは、この家で落ち着くつもりなのですか? 私としてはそれでもいいのですけれど、でも、まだ私は世界を見てみたいなって」


「うん、それはだね……。俺も色々と事件やアクシデントがあったり、新しいものに出会える方がポイントが貯まるからね。この家は、俺達がしばらく腰を据えてポイントを稼ぐための拠点。楽しみきったら、この国を出て別のところに行こう!」


「本当ですか!? それはとっても嬉しいです!」


 ピョーンと飛び跳ねて喜びを表すマキナなのだった。

 なお、ツノも合わせると2mくらいある彼女がジャンプすると……。

 家の天井にツノが突き刺さる!

 あーっ!

 天井が崩れる~っ!!


「ごめんなさい、あまりに嬉しくてつい……!」


「いいのいいの。全部ポイントで補修しよう。盛大にお買い物するぞ! まずは壁紙! 窓ガラス! シャッターカーテン!」


「壁紙? 家の中に色を塗るのですか? だったら私、このピンク色がいいです! 獲物の肉の色で、食欲が湧くんですよ」


「意外な理由でピンクを選ぶ人だなあ!」


 壁紙を購入して、家の中に設置。

 すると一瞬で屋内の色が変化した。

 まだ暗いから良くわからないので、室内灯を購入して設置する。


「うおおおおピンク!!」


「思っていた以上に鮮やかです!!」


 そして鎧戸を窓ガラスに交換!

 強化ガラスなので、ハンマーで叩かれたくらいではヒビも入らない。

 シャッターカーテンはチャットボットを通じて自動で閉める事もできる。


『ウグワーッ! 住環境を整えました! 実績・マイホームライフの第一歩を解除! 1000pt獲得!』


「やはり何か行動すると、買い物したポイントが一気に取り戻せてしまう。だがマキナ……。ここから俺は取り返しがつかない凄い買い物をするぞ!」


「す、凄い買い物!? 一体なんなのですかそれは!」


「それは、トイレとお風呂だ!!」


『トイレですか! とても重要な選択になりますね! 人間用であればこれですが、あなたのパートナーである人竜族の方に合わせるなら、タンクレストイレがいいでしょう』


「気遣いのできるチャットボットだ」


 なお、下水が無くても出したものが処理される謎の構造が採用されており、水洗の水も謎の空間から移動してくる。

 別売りの肥料作成装置を使うと、出したものを加工して肥料にしてくれるそうな。

 便利~。


『ウグワーッ! トイレを設置しました! 実績・快適な生活はまずトイレから解除! 2500pt獲得!』


 このポイントプログラム、トイレをかなり重要視してるぞ!!

 まあ気持ちは分かる。

 しかも超高性能ウォシュレットと温風装置で紙いらずだからね。

 なお、このトイレは7000ptかかったのだ!!


 突然現れた大きめの水洗トイレに、マキナが戸惑った。


「こ、これはなんでしょうか……? トイレ……? トイレがこんなに綺麗なのですか? トイレというのは地面に穴が掘ってあったり、木造の床の一部を加工して作って、そこに出したものを貯めておくものだと思うのですが……」


「まあまあ。してみてしてみて」


「はい……。あの、ミアン」


「あっ、すみません外出てます」


 俺は家の外に飛び出した。

 トイレを壁で囲んでおくのを忘れていた。


 少しして、家の中からマキナの声が聞こえるのだった。


「ひゃーっ! な、なんですかこれはーっ!! お尻に暖かい水が当たって! あーっ、風が吹き付けてくる~! なんか音楽も流れてます~!!」


 世界最新、最高のトイレを堪能していただけただろうか。

 壁を作ったら、次は風呂だぞ!


◎現在のポイント:14826pt

 貢献ポイント :655ポイント


お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
問題は国を出させてくれるかですかねぇ……マキナさんもミアンさんも、国からしたら逃したくない人材になるでしょうしw
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