第130話 ケスタイン史上初めての試みをします! +1000pt
帰ってきたら、通路街の第四までが完成し、商店なども誘致が完了していた。
残るは第五のみ。
こちらはリクス・タカードからも壁の貼り付けが進んでおり、あと数日で通路外の工事は完了するだろう。
「テナントを募集するだけだな……。そして第三目標地点の倉庫辺りから、ちょこっと通路を山側に伸ばして俺のための新しい都市を作っていこうと思う」
「むむっ、ミアンが野心を見せておる!」
「いいのか……? そういうのいいのか……?」
感心するヨルカと、やたら心配げなデリアなのだ。
「大丈夫。公爵には話を通しておいたから」
何せ騎士爵は貴族で、しかもこの通路外に関する全権を持っているに等しい。
一応公爵に話をしておけば、自在に開発ができるというものだ。
なお、現状の我が家だが……。
マキナがそろそろ妊娠九ヶ月目。
人竜族も普通に十ヶ月で生まれてくるそうなんで、出産が至近距離圏内に入った。
本来ならば通路街が完全に完成している頃のはずなんだが、リクス・タカードの再開発に尽力したからなあ。
向こうの壁も完成してきていて、透き通った壁から日光が降り注ぐ、明るい都市になりつつある。
インフラはまだまだだが、ケスタイン側にいた移民たちがこちらに引っ越してきて、新天地で頑張っているようだ。
ガッツリ十年働いて、永住権を獲得して欲しい。
セダインを見てきた今、ケスタイン王国の永住条件は厳しくても、あっちに戻るより遥かにマシだろうからな。
「山の方に街を作っていくんですか? ちょっとルートを作ったくらいで、赤ちゃんが生まれそうですねえ。山の上でお祝いしましょう!」
「わーい! お姉の赤ちゃん! 楽しみー!」
姉妹は前向きなのだ!
で、アイラはまだギルドの方の仕事が残っており、そちらの引き継ぎが終わり次第インビンシブル号にやって来ることになっている。
いや、もしかするとエンタープライズ号に住むのかも知れない……。
「今日一日は計画を立てることにする」
俺は宣言すると、エンタープライズ号に引きこもった。
ここが一番静かに構想を練ることができるのだ。
「チャットボット、通路外と周辺地形の地図を出してくれ」
『はい、こちらです!』
山と海の間を縫うように作られた通路街。
今回はこの山を開発しながら、都市にしていこうというのだ。
トンネル都市にしてしまってもいいんだが、災害竜のナマズが怖いからなあ。
山の斜面を丸ごと都市化する方向で行こうと思う。
なだらかなスロープにより、段々に構成された街。
棚田のような形で畑を作り、生産品は山から降ろす形で平地に流通させる。
通路外の第三目標地点と繋がっているので、ここからケスタイン、リクス・タカードの双方に送ることができるわけだ。
「この世界が市場経済だったら、それぞれの生産物と競合していただろうが……管理社会で本当に助かったな」
人口が増え始めているケスタイン王国において、生産能力の向上は喫緊の課題だ。
常に余裕を持った食物が生産されていてこそ、国は安定して運営することができる。
セダインと比べて、ケスタイン王国は気候の変化に強い。
地上の第一農園が打撃を受けても、地下の第二農園がそれをカバーできるためだ。
「結果的に、山肌を第一農園、トンネルのような形で第二農園を作っていくことになるか……。ナマズ怖いなあ」
地震の災害竜対策も考えつつ……と。
夕方まで懸けて、新たな都市化計画が固まったのだった。
『ウグワーッ! 新プロジェクトを発足しました! 実績・新たに広がっていく王国、解除! 2000pt獲得!』
「ポイントの使い所がなあ……! もう、ポイントをあまり使わなくても生活できるようになってしまったからな……。そうだ。この有り余る貢献ポイントを使って、私的に人を雇おう。今はリクス・タカードの再興で多くの人手が割かれているだろうが、ここは人材の取り合いだ」
リクス・タカードとケスタインに求人の張り紙をすることになった。
条件はこの張り紙が読めること。
ある程度以上の識字能力がある労働者なら、少人数でもいい働きをしてくれる……気がする。
ふと、ここで思いつく。
俺以外に、俺のアイテムを使って作業できる人がいれば状況は変わるのではないか?
思いついた俺は、張り紙に細工を施すことにした。
この紙をひらひらさせたら、俺以外の誰にも見えないようだ。
「なんじゃミアン、出てきて早々どこに行くんじゃ? わしも行こう」
「クリカも行くー!」
俺がエレベーターユニットに乗り込んだら、ヨルカとクリカちゃんがついてきてしまった。
「これから張り紙しに行くんだよ。文字が読める人にしか見えない張り紙」
「なんじゃそれ? そんなものを使ってどうしようというのじゃ」
「話が通じる系の労働者を少人数雇って、ちょっとずつ作業を進めていこうと思って」
「ふーん、クリカはその文字、ちょうど勉強したとこだから読めるかなー」
「おっ、すごい! 見えるの!?」
「ふふふー」
得意げなクリカちゃんなのだった。
これは……クリカちゃんは思わぬ才能があるかも知れない。
今回、俺のアイテムが使える労働者を求める理由なのだが……。
俺が直接、工事作業を行うための道具を提供し、高度な仕事を任せるためなのだ。
リクス・タカードに張り紙をし……その足で15キロを疾走!
ケスタイン側にも張り紙をした。
ポイントを消費して作った、そういう才能がない人には見えない張り紙だぞ。
三行とか、ましてや一行しか読めない人にはそもそも存在を認識できないようになっているのだ。
さーて、これで高度技術者が集まってくれることだろう。
楽しみだなあ……。
『ウグワーッ! ケスタイン史上初めての試みをします! 実績・そんなに変わった労働者だけ集めて何をしようって言うんです? 解除! 1000pt獲得!』
「いやね、労働力の取り合いだから、俺の方で人数使ったら他のところが困るじゃん。だから、独特の才能を持ちすぎて社会にマッチできてない人達を、こっちで引き受けようっていう考えなんだよ」
ケスタイン王国で移民が任されるような仕事は、個人の能力があまり関係ないものが大半だからね。
そもそも、管理社会であるケスタイン王国は、変わった人間をさほど求めていない。
必要なのは平均的な働きができる人間なのだ。
でも、そう言うのはもったいないじゃない。
「唯一AIではない貴族として、そう言う人たちの活躍の場を用意しようという。それが俺の狙いなわけだ」
さあ、早速やって来た!
時間は夜になろうと言うのに、ひいひい言いながらこっちに走ってくる奴らがいるぞ。
ようこそ、君たちの活躍の舞台へ!
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