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第13話 ゴブリンを退治しました! +2000pt

「召喚魔法……? い、いやいやそんなバカな……。おとぎ話で語られる伝説の魔法じゃない、そんなの。それを彼みたいな冴えない感じの人が使う……? 凄腕の魔法使いらしい空気も何も感じないのに……」


『ポピピー』


「なんか言ってるなー」


 深くは突っ込まないでおいてあげよう。

 俺の実力に関しては、オマケしてアイアン級という冒険者ギルドの見立ては正しい。

 とても正しい!


 UGWポイントアプリは外からは分からないもんなあ。


 アイラがフリーズしている間に、こっちはこっちで話を進めてしまおう。


「チャットボット、The・探索にゴブリン捜索の機能を追加できる?」


『可能です! アプリ内から設定→推奨コンテンツの追加→モンスターサーチをダウンロードして下さい』


「ほいほい」


 言われた通りダウンロード。

 これで500ptくらい使う。

 インストールの待ち時間の間に、ふと気付いたのでデイリー実績を解除しておくのだ。


「アイラさん、おはようございます!」


「あ、は、はいおはようございます」


『ウグワーッ! デイリー実績・元気な挨拶解除! 100pt獲得!』


 ノーリスクでできることはコツコツやっておくもんだよな。

 その間に、インストールが終わった。

 ではゴブリン退治に行ってみよう……!


「アイラさん、それじゃあ行こうと思うんですが」


「あ、は、はい! 行きましょう! 私は樹木を媒介とした魔法を使うことが出来ます。あなたのサポートに周り、場合によっては殆どのゴブリンは私が排除する……予定だったのですが……」


 なんか言葉が尻すぼみになった。

 到着したのは、王国の壁際に繁茂する森。

 とにかく広大な王国の中は、壁の中に森だってあるし、山も湖もあるんだそうだ。


「モンスターサーチ。探索対象、ゴブリン」


『ウグワーッ! 初めてのモンスター探しを行いました! 実績・英雄への入口を解除! 500pt獲得!』


 もうダウンロードコンテンツのポイントが相殺されてるし!

 ステータス画面の中では、The・探索の機能が展開されている。

 俺を中心にして同心円状にぐるぐるぐるーっと描かれた図形があり、モンスターが見つかると周囲に点が出現する……。


 いたぁ!

 いきなり囲まれてるじゃん!

 こっわ!

 森に踏み込んだ瞬間にマークされていたっぽい。


 アイラはこれに気付いていたようだが、何も言わなかったんだな。

 俺の実力を試すつもりか。

 俺は荒事と無縁な、現代社会の無力な一般人だぞ!!


「ゴブリンってどんなのなんだろう?」


『とてもいい質問ですね! ゴブリンとはこの世界における亜人種の一つです! 他種族から奪う、あるいは騙すということが遺伝子にまで組み込まれており、共存が不可能な存在です。一度に五人以上の子供が生まれ、ほんの五年弱で成人するために繁殖速度が早いです。定期的な駆逐が必要になります』


「恐ろしい世界だなあ。じゃあ彼らの特徴は?」


『小柄で猫背、緑の肌。五感が優れており、特に耳と鼻がいいです。見通しの悪い森の中でも、獲物の足音や息遣い、においを感じ取り、追跡してきます』


「なるほどー。じゃあ音波砲を使おう。アイラさん、耳を塞いでて下さい」


「えっ? どういう……? あれ!?」


 俺が何も無いところから、メガホンみたいなのを取り出したので彼女は目を瞬かせた。

 買い物したアイテム、アプリのストレージ機能に収納して置けるから便利なんだよね。


「行きまーす。わっ!!」


 俺の叫びを、音波砲が増幅する!

 それは地面や周囲の枝葉がビリビリ震えるほどの音圧になり、森の中に広がっていった。


「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」


「うわーっ」


 フラフラになったゴブリンが、茂みから立ち上がってばったり倒れたり、枝から落っこちてきたりする。

 本当に緑色の肌をした小人だ!!

 頭でっかちだが、腕や足は筋肉質で、見た目よりもパワーがあることが分かるぞ。

 こんなのに襲われたらひとたまりもない。


 なお、ついでに音にやられたアイラもぶっ倒れた。


「頼むぞポチョ!」


『ポピ!』


 ミニミニ歩行戦車みたいなポチョは勇ましく頷くと、倒れているゴブリンに砲塔を向け……。

 バキューン!と撃った!


「ウグワーッ!?」


 ゴブリンが吹っ飛ぶ!

 ちっちゃいのにすごい火力だぞポチョ!


『ポピピー!』


 砲塔を回転させる機能が無いっぽいポチョは、トコトコ歩きながら方向転換。

 ゴブリンを次々射程に収め、バキューン! と排除していく!


「ウグワーッ!?」「ウグワーッ!?」「ウグワーッ!?」「ウグワーッ!?」「ウグワーッ!?」


『ウグワーッ! ゴブリンを退治しました! 実績・ファーストゴブリンスレイヤー解除! 1000pt獲得!』


『ウグワーッ! ゴブリン三匹を退治しました! 実績・ゴブリンスレイヤーエース解除! 300pt獲得!』


『ウグワーッ! ゴブリン五匹を退治しました! 実績・ゴブリンスレイヤートップエース解除! 1000pt獲得!』


 連続で実績が解除されていくー!!

 とりあえず、俺を包囲していたゴブリンは全部倒したようだ。


 ゴブリンがやられる時の断末魔が、UGWPAYの実績獲得音声と似てて紛らわしいな……。

 まあ、実績獲得の声は俺にしか聞こえてないから大丈夫だろう。


 振り返ると、アイラがぶっ倒れたままだった。

 目を回してる。


「あーっ、これはいけない」


『ポピピー』


 俺とポチョで駆け寄って、助け起こすのだった。


『ウグワーッ! 味方ではない立場の人に手を差し伸べました! 黄金の精神Lv2解除! 2000pt獲得!』


 なんだなんだ!?

 味方ではない立場!?

 まあ、そういう見方もできるでしょう。


 冒険者ギルドにとって、俺は邪魔者でしかないわけでもありますし。

 だが、今回の仕事で俺に対する見方は変わったようだった。


 目を覚ましたアイラが呆然としている。


「ゴブリンがみんな退治されている……!? 遠距離からの攻撃……。ミアンさんが召喚した、この……何? 何ていうか……何? の攻撃で……?」


「ポチョです」


『ポピー』


「な、なるほど……。どうやら私は……冒険者ギルドは、あなたに対する見方を改めなければならないようです」


 おっ、ちょっと立場が良くなったみたいだぞ!


『ウグワーッ! 冒険者として初めての仕事を達成しました! 実績・冒険者ひよこ級解除! 1000pt獲得!』


 そろそろポイントが凄いことになってきたぞ!


◎現在のポイント:16526pt

 貢献ポイント :655ポイント(ゴブリン一体につき50ポイント)


お読みいただきありがとうございます。

面白い、先が気になる、など感じられましたら、下の星を増やして応援などしていただけると大変励みになります。

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― 新着の感想 ―
正直、The・探索だけでもパーティーで活動するなら有益過ぎる能力ではあるんだよなぁw 無事昇級出来そうで良かったw
ポイント加算の勢いがエグいw 手近な実績解除系がなくなる前にデイリーボーナスの種を探さないと後が怖いなあ
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