第123話 魔将ラングラッドを確認しました! +2500pt
黒幕であるラングラッドという人物の暗殺!
今回の旅の目的が決まったので、じゃあどうしようという話になった。
森の中で完全遮蔽しながら、六人で会議を行う。
「拙者、セダインを駆け回っていたでござるよ。これで、大まかな建物の位置関係は把握してござる」
ユニ蔵が木の皮を使って、地図みたいなものを作っていた。
「どれどれ……。俺達がいるところが市街地で、工業地区と中枢区があるんだ? じゃあ、普通に考えて中枢区かなあ……。こののぺーっとした大半の地域は?」
「農作業地区でござるな。セダインはこの広大な地域のほとんどを、農作業のために地域として使ってござる。それでいて、食料にはあまり余裕がござらんな。ミアン殿の言う通り、戦争などということができるとは思えぬ」
「やはり」
「だが……農作業区画の広さで言うなら、ケスタインはもっと狭いぞ。だと言うのにあそこは常に食料が満ちている。飢えの気配などない。これはどういうことだ……?」
密偵氏は不思議そうなのだ。
「多分、ケスタインは超効率化して農業や牧畜を行ってる。後は、地下を利用したりしているから、セダインの倍近い収量じゃないかな……。AIが担当しているからこそ叩き出せる成果だよ」
色々な意味で、ケスタイン王国はこの世界でオーバースペックなのだ。
そりゃあ、この世界に現れた良からぬことを企む奴にとって、ケスタイン王国は邪魔に思えるだろう。
AIは甘言に踊らされないから、内側に引き込むことも出来ないし。
内乱を引き起こす作戦も崩れた今、核爆弾で丸ごと吹き飛ばしてやろうと考えるのも理解できる。
「これはラングラッドは間違いなく排除しないとなあ……」
「ミアンさん、すっかり物言いが物騒に……」
「相手が人じゃないので、安心して非道になれるからねえ……。全ては守るための戦い。始まる前に終わらせてしまえば、戦争は起こらないのだ」
「それはそうですけどねえ」
こうして、本日の調査を開始する。
また二人チームごとに別れて行うのだが……。
昨日の兵舎周りは、兵士たちが大量に集まってるな。
核爆弾がなくなったのはやっぱり大事だったんだろう。
「ラングラッド様がお怒りだ!」「新しいものを用意するにはかなり時間がかかるそうだぞ!」「探せ探せ!」「万一爆発したら一大事だ!」
一大事どころじゃない。
爆発したら、セダインが半分吹っ飛ぶ。
市街地は全滅だ。
だが、返すわけにはいかないなあ。
世界一安全な場所、俺のストレージにポンと入れておく。
これで永遠に見つからない。
「今日は私とミアンさんで、中枢区の調査ですかあ……。フレンドの魔法で目立たないようにはしていますけれど、腕が立つ人が出てきたら怪しいですよ? 効かなくなりますから」
「やぱり強い冒険者とかは、因子を使った魔法に抵抗できるの?」
「そうですねえ。内包する因子が多いので、周辺因子を使った誤魔化しが通じないんです」
「なるほどなるほど……?」
フレンドの魔法が便利過ぎる。
俺とアイラで真っ昼間、堂々とトコトコ歩き回っても全く気にもされない。
常に兵士が巡回しており、すれ違う度に会釈される。
こっちも会釈を返す。
「全く見破られないなあ」
「おかしいですねえ。ケスタイン王国なら何度か違和感を懐かれたりすると思うんですけど。なんていうかここ……兵士のレベルが均質ですね」
すべての兵士は、別の仕事を持っている兼業者だというし。
飛び抜けて優秀な誰か、という概念が無い国なのかも知れない。
その点は、割と近代国家的と言うかなんというか。
AIに管理されているのに、ゴールド級冒険者みたいな異常に優秀な個体がポップするケスタイン王国の方がおかしいというか。
「それに……種族的に、かなり人間に近い外形の種族で占められてませんか?」
「ほんとだ。変わった形の種族が少ない。なんでだろう?」
『とてもいい質問ですね! 生き延びるコストを削減するため、なるべく同じくらいのサイズ、同じくらいの食事量の種族を優先する形で都市が作られているんです! 形状の大きく違った種は、農村部での作業に従事しています! ですのでその生きづらさを嫌い、国を脱出してケスタイン王国の移民を目指すことが多いです!』
「なーるほどー! なんか疑問がスパッと解消されてしまったなあ! あー、世知辛すぎる」
「この国、ミアンさんが言うように本当に余裕なんかありませんねえ。絶対住みたくないです」
アイラがゾッとした顔になる。
『ウグワーッ! 絶対住みたくない国を認定しました! 実績・うんうん、ここもまたディストピアだね! 解除! +1500pt獲得!』
ということで久々にTHE・探索を使い、俺なりに中枢部のさらに中枢となる場所を探る。
一見すると、レンガ造りの建造物群。
他の地域の建物は日干し煉瓦で作られているが、この辺りは焼き煉瓦なのでちょっと色鮮やかと言うか。
「木造をベースに煉瓦を貼り付けてあるのか。解体も建築も容易にできる作りな気がする……っと」
近くの建物から、わいわいと人が大勢出てくるところだった。
中年や老人が多い。
そして彼らを護衛するように、兵士も大勢出てきた。
「あ、これはひょっとしてひょっとする」
「なんですか?」
「色々なものが標準化されてるみたいなこの国で、明らかに権力持ってそうな年代の人間が大勢出てくるでしょ」
「ええ、それが何か……。あっ」
「そう。ここ、そういう役割の人達が会議する場所だったんじゃない? つまり……目標の人物が出てくる可能性がある」
俺の予想通り。
最後に、重武装の兵士たちが現れた。
それに守られて姿を見せたのは、赤と青の体を持った異形の男だった。
二人の男が背中合わせに融合したような……。
両面宿儺って感じの外見だ。
「こーれは人間ではない」
「ひえーっ」
様々な形の種族がいる世界だけど、眼の前の男だけはそう言う次元ではない。
悪魔とか魔族とか、そんな感じの存在だ。
『ウグワーッ! 魔将ラングラッドを確認しました! 実績・早急なこの場からの退避を進言します! 解除! 2500pt獲得! 身近な危険として最大級のものです! ミアンさんはともかく、アイラさんを退避させて下さい!』
「うひょー」
俺はアイラをかばいながら後退する。
ラングラッドの右半身側が、じろりとこっちを見た。
フレンドが通じていない。
飛び抜けた存在に、この認識操作魔法は通用しないとアイラが言っていた。
つまり今のような状況だ。
『貴様、この国の人間ではないな。死ね』
判断がはやーい!!
「超優秀シールド購入!」
ラングラッドの右側二本の腕から、突然光の弾丸が飛んできた。
既に俺はシールドを購入してある。
表面で弾丸が弾け、近くにあった施設と地面に激突して爆発した。
うおーっ、まあまあ大爆発と言っていい爆発だ!
偉そうな人達がわあわあ言いながら逃げ惑う。
「ひぃー」
アイラが細い悲鳴をあげた。
むぎゅーっとしがみつかれる。
「はいはい、撤退! 撤退だよー!」
俺は全面にカモフラージュシートを貼って、じりじり下がった。
『消えた!? そういう能力か……? 魔力……この世界では因子だったか? その発散も認められない。瞬間移動したか?』
幸い、ラングラッドは因子の流れを見る力はないようだ。
こちらを完全に見失った。
直前5mくらいのところにいるんだが。
手当たり次第に、エネルギー弾みたいなのをぶっ放している。
俺はササッと横に動いたりして、その射程外を目指すのだ。
弾が炸裂した場所は炎上しているな。
赤い半身は炎の力ということか。
いやあー、それでもカモフラージュシート、優秀!
いきなり俺たちが消えたので、ラングラッドは完全にこちらを見失っている。
その隙に素早く、消音装置とカモフラージュシート貼り付け済みの移動ボードを購入した。
これに乗り込み、姿を消したまま無音で移動!
「な、な、な、何が起きてるんですかミアンさん……!」
俺を掴んでいるアイラの腕がガクガク震えてるんですが。
「無事に撤退したよー。ラングラッドいたね。THE探索でマーキングしたから安心」
「そう言う問題ですか!? よ、よく目の前なのに気付かれずに逃げられましたね?」
「そりゃあ、ちゃんと選択すればそう言う事が可能なのが俺のポイ活なので……!」
『ウグワーッ! 無事に撤退しました! 実績・パーフェクトな逃走、解除! 2500pt獲得!』
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