第122話 目標が定まりました! +2000pt
部屋の中から扉をノックする。
「うん? 誰だ?」
偉い兵士が扉を開けたところで、ちょっと強めに押してぐっと開かせて。
「うおっ!?」
俺はつるりと外に抜け出した。
アプリにある撮影機能を使い、文書は記録に残しておいたぞ。
廊下で、兵士たちがバタバタ走り回っている。
「探せ探せ!」「厳重に保管されていたはずの兵器がなくなってる!? そんな馬鹿な!」「誰かが持ち出したのか!?」「いや、誰も侵入した形跡が……」
ユニ蔵と密偵氏がやってくれたらしい。
兵器ってなんだ?
そういうものを作れる技術力が、セダインにはあるのか?
とか思っていたら、門番の横にアイラが立っていたのだった。
なんでそんなとこに!?
門番は全くアイラの存在に気付いていない。
認識させないための魔法みたいなのを使ってるようだ。
彼女は俺がいる辺りを見て、
「因子が乱れてる。そこ、ミアンさんいるんでしょ」
「あ、はい。凄いなあ。光学的には完全に認識できないようになってるのに」
「そういう道具が存在することが分かってれば、幾らでも認識できるんです。例えば、ミアンさんがいる辺りの因子がちょうど、人一人分くらいぽっかり空きますから」
「精霊魔法凄いなー」
『ウグワーッ! 単独潜入、単独帰還に成功しました! 実績・胆力凄いね! 解除! 1000pt獲得!』
なんかこう、最近は肝が据わってきまして。
守るものが出来たからかも知れないなあ。
アイラと一緒に、兵舎を出ることになった。
森まで帰って来る。
「それでどうでしたか?」
「教えて教えて~」
フェーリアが待っていた。
ウイレアは保護色になって兵舎の壁の上に止まりながら、仲間の帰還を待っているようだ。
「ええと、結論から言うと黒幕がいる。ラングラッドというやつで、多分人間じゃないんじゃないかな。ええと、人竜族も含めた広義の人類には含まれないやつじゃないかと思ってる」
「なるほど……。どこにいるんでしょうね、その人。つまり、その人を排除してしまえば戦争は止められるんですよね? ミアンさんが潜入してる間も、兵舎のまわりを私なりに調べてみたんですけど……この国には、国を挙げて戦うほどの余裕なんかとてもないですよ。兵士だって、皆さん他に仕事のある兼業です。戦力になるだけの人を食べさせておける余裕がないんですよ、この国には」
「なるほどなるほど、徴兵はしてるけど、その兵士が別の仕事の合間にやってるような感じなんだな……」
「そうねえ。彼ら一人ひとりは普通の人間だけどぉ、とっても上を信頼してるみたいな感じがあるわねえ? 以前に凶作だった事があって、一部に餓死者を出したりしたらしいわ。だからみんな、蓄積するために働き続けるし、その備蓄だってちょっと作物が不良なら使い切られてしまうわ」
市場は豊かに見えたけど、あれもその日消費しなければならないものを回してるだけだったのか。
言うなれば、フードロスが限りなくゼロに近い世界。
文化的だけど、ギリギリのところでそれを保ってるのがセダインだ。
ここが戦争なんかしたらどうなる?
「戦争したら、その準備と行動だけでかなりの人間が死ぬな。それでケスタインとの戦闘が始まったら、持久戦なんかとても無理だ。ここの技術力であの壁を超えられるとも思えないし……」
ケスタイン王国とセダインで、近世と中世くらいの技術格差がある。
「止めたいねー。戦争は止めなくちゃねー」
「でも、まだミアンさんが言うように黒幕が人間ではないのは疑惑なんでしょう? もしかしたら歴史を紐解いたら野心が肥大化しただけの支配者かも……」
「その可能性もあるなあ」
話し合っていたら、ユニ蔵と密偵氏、ウイレアが帰還した。
密偵氏の手に、なんか丸いボールが握られている。
「あれ? なんかプラスチックみたいな質感……。なんだろうこれ? おーい、チャットボット」
『とてもいい質問ですね! これは因子暴走弾です! 言うなれば核爆弾ですね!』
「げえーっ!! 黒幕、黒確定!! これ、この世界の技術力で作れるものじゃないぞ!!」
俺は密偵氏に、そっとボールを地面に置くよう告げた。
『キーワードを口にした後、一定時間後に爆発します! 半径三キロを吹き飛ばし、その後に有害因子をばら撒きその地を汚染します。これによって、マロングラーセ因子が活性化し、眷属たちが魔族として進化する可能性があります』
「黒黒黒、真っ黒! ラングラッドは間違いなく、この世界を襲った災厄の尖兵だ! 偶然生き残った一人だ!」
「な、な、なんてことでしょう……! 冗談じゃないですよこんなの! 今、あの声が私に光景を見せてくれました! 街が……街が一つ消し飛んで……! こんなの、ケスタイン王国の壁だって耐えきれません!」
アイラも真っ青になっている。
プログラムを共有していないユニ蔵たちは、きょとんとするばかりだ。
「おっと、情報共有しておくね……。そして因子暴走弾の爆発予想図を映像だけ共有してお見せしよう」
「ほうほう……ぬわーっ!?」
「うおわーっ!!」
「ひえーっ!!」
「あわ、あわわわわ……!!」
フェーリアとウイレアが腰を抜かしてへたり込んだ。
『ちなみに因子暴走弾でも、災害竜テアライには通じませんのでミアンさんはより恐ろしいものを制覇していると言えますね!』
な、なんだってー!!
災害竜テアライ、デイダラ、ナマズ、ウミボウズ。
それぞれが持つエネルギーは、因子暴走弾を凌駕するらしい。
ひえーっ。
だがそれはそれとして、人間の手には負えない破壊力のものが人の手の内に存在することはよろしくない。
「えー、では皆さん! 俺が見てきた文書も共有します。その上で、このラングラッドという人物こそが戦争騒ぎの中心であると仮に認定、所在を調べ……暗殺します!」
『ウグワーッ! 目標が定まりました! 実績・倒せ黒幕、解除! 2000pt獲得!』
◎現在のポイント:161210pt
貢献ポイント :320755ポイント
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