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第12話 仲間を購入しました! +1000pt

「イヤです! イヤです! ぜーったいにイヤです!」


 ということで、あくまで俺と一緒に冒険者をやりたいマキナなのだった。

 冒険者ギルドは彼女に手を焼いているが、久々に登場した超大型新人ということで絶対に手放したくないらしい。


「では、ミアンさんがカッパー級に上がったら一緒に冒険できることにしましょう」


 ギルドの偉い人から折衷案が出てきた。


「最近ではガッツのある移民も減ってきて、みんな通常の労働に行くんですよね。せっかくギルドに来てくれた有望な新人を逃したくはない……」


「どこでも人手不足は大変だなあ」


 俺は他人事のようにこれを見ていたのだった。


「ミアンさん。私があなたの活躍をチェックする担当として同行します」


 緑髪に葉っぱが生えている受付嬢!

 俺には、ランクアップのための課題が提示され、これをクリアしたら仮カッパー級として認める……ということになっていた。


 なお、ギルドの職員も冒険者たちも……。


「彼は才能が無いと思うなあ」


「怪我する前に辞めた方がいい」


「どうみてもオーラが一般人」


 と俺を評しているのだ。

 うん、その評価は正しいと思う!

 ただ、俺にはポイ活アプリがあるし、それにマキナの気持ちもあるからね。


「人に頼られるとか、慕われるのなんか初体験だからな。頑張ってみよう!」


 そう言う事になった。

 異世界三日目。

 俺とマキナは離れて宿泊することになり、ギルドの上にある寝室を使った。


 うおお、干し草じゃないベッドだーっ!

 堅いけど。

 だが俺は、この硬いベッドですやすやと爆睡したのだ。


 翌朝、マキナと会う機会もなく俺はギルドの外に連れ出された。


 緑髪の受付嬢、ドライアドのアイラに案内され、ランクアップ課題を受けるのだ。

 それは……。


「壁で大きく遮られていますが、ケスタイン王国はこの奥に長く伸びています。私達ドライアドの故郷である森も、王国の中に入っているんですよ。国もギルドも、この広大な国土を隅から隅まで監視できるわけではありませんからね。だからこそ、優秀な冒険者は幾らいても足りないくらいなのです」


 アイラは遠くに見える森を指さした。

 壁の中に広大な森まであるの?

 どこまで続いてるんだ、ケスタイン王国の壁は。


「壁を超えて、森に住み着く輩がいます。不法居住者です。その一部がゴブリン。小柄な種族で、遵法意識を持ち合わせない厄介な連中です。危険で、略奪に暴行、殺人などのテロ行為も認められたため、王国は彼らをモンスター認定しました。討伐対象ということですね」


「ふんふん」


「これを排除してもらいます。本来ならカッパー級の仕事ですが、ランクアップのためにあなたにはこの仕事をしてもらいます」


「ええーっ! それって危険なんでしょう?」


「もちろんです。ですから、シルバー級冒険者の資格を持つ私が監督兼フォロー役でついてきてるんです」


 体にフィットしたローブ姿のアイラ。

 腰元を縛ったベルトの下で、生地が大きく開き……。

 真っ白な太ももが覗いている。

 手にしているのは樹木が絡まったような短杖(ワンド)で、とっても魔法使いっぽい。


 その後、アイラも俺の装備をチェックした。

 ちょっとぶ厚めのなめし革のジャケットに、パンツとブーツ。

 あとは軍手。

 武器は腰に差したダガーのみ。


「恐ろしいほどの軽装……それで本当に戦えます?」


「戦えないと思うなあ」


「ダメじゃないですか! いいですかミアン! あなたに! 我がギルドの超大型新人獲得が掛かってるんです!! 気合い入れて下さい! 場合によっては下駄を履かせてランクアップさせろと言われてるんですから!」


「全部喋る人だ」


 そしてこの世界には下駄があるらしい。


 アイラは俺に何ができるのか、不安そうに見ている。

 では、ご期待に応えてポイント使っちゃおうかな……。


「チャットボット、この状況はどう対応したらいい?」


『とても曖昧な質問ですね! なんかこう、もう少し具体的に』


「冒険者に向いていない俺が冒険者やるために、ちょうどいいアイテムとか無いかなって」


『分かりました! でしたら、ポイントで獲得できる仲間はどうでしょう? ペットとしてもかわいがれますよ! もちろん、今までのアイテム同様ストレージに収納できます!』


 ペット感覚の仲間!?

 倫理観を疑う言葉が飛び出したなあ!


 表示されたのは、生体タイプ、メカタイプ、概念タイプと色々なサポート生物。

 なるほど、ペット感覚の仲間かあ。

 どれもが、一匹しか選択できないようになっている。


 ベーシックタイプを選び、その後で進化経路を選択するのか。


『最大で三体までの仲間を獲得できます。ですが彼らのパワーアップにはポイントを使いますから、多いとその分だけ成長が遅れますよ。最初のおすすめは一匹だけを集中的に強化です!』


「なーるほど。じゃあ……メカタイプ!」


「さっきからミアン、何をぶつぶつ言っているんですか? 緊張のあまり現実逃避を……? あっ!?」


 失礼なことを言っているアイラの眼の前に、突然段ボール箱が到着した。

 安定の置き配。

 俺がこれをバリバリと展開すると、中には模造紙にくるまれたずっしり重いものが入っていた。

 10kgくらいありそう。

 大きさは中型の犬がすっぽり入れるくらい。


 模造紙をほどくと、姿を現したのは……。


『ピポー』


 戦車の砲塔をデフォルメして、そこにがに股の短い四本脚を取り付けた、なんとも言えないやつなのだ。

 そいつは梱包がほどけると、砲塔についたLED灯をピコピコ光らせて鳴いた。


『マスター登録をしてください』


「よし。俺はミアンだ。お前のマスターだぞ」


『ピポポー』


『ユニットを命名して下さい』


「名前か……そうだなあ。よし、ポチョムキン……略してポチョ!」


『ピポ!』


『マスター・ミアン。ユニット・ポチョムキン。登録完了しました。それではポチョムキンとの日々をお楽しみ下さい』


 音声が終わり、ポチョは俺にトコトコ寄ってきて、ピポ? と見上げてきた。


「よろしくな、ポチョ」


『ピポピー』


『ウグワーッ!! 仲間を購入しました! 実績・ミニマシーンオーナーを解除! 1000pt獲得!』


「購入のポイントとトントンだ! あとは、解放されるオプションでだんだんパワーアップさせていくんだな」


『ウグワーッ!! 登録を完了しました! 実績・ミニマシーンマスターを解除! 1000pt獲得!』


 うおっ!!

 いきなり連続で来た!


 これを見ていたアイラが、わなわなと震えている。


「な、な、な、なんですかこれ!? 今、一体何をしたんですかミアン!?」


「何って、ポイントでお買い物して、マシーンと個人認証してマスター登録しただけだが」


「呪文!?」


『ピポ!』


 アイラの言葉を、ポチョが真似した。

 かわいいやつだなー。


 こうして新たな仲間を得て、俺のカッパー級昇格課題がスタートする。


◎現在のポイント:11121pt

 貢献ポイント :405ポイント

お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
なるほど、今後ポイントシステムは独自の魔法みたいな感じで周りに説明するのかな。
ゴブリンを単なるモンスターの一種ではなく、人寄りの種族として扱ってるのいいね。モンスター認定はあくまでその行動に原因があるってのも良い。 ……で、これはあれか。テイマーとしての登録でも狙ってるのか。…
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