第116話 潜入任務にむけて、拠点を整備しました! +1500pt
「スナークに名前を付けようと思う」
「なんて呑気なこと言ってるんですか!? 壁の外に出たんですよ!? シェイプシフターやクリーピングジャイアントが出るぅ……!」
「もがー!!」
「ひいーっ! スネア!!」
「もがーっ!?」
噂をしたらシェイプシフター!
人間に化ける人食いという怪物なのに、この世界ではごくごくメジャーな存在なのだ。
それが、アイラの精霊魔法で足を引っ掛けられて転んだ。
そこにてくてく歩いていくスナーク。
近くでスウーッと息を吸い込んだ。
なんだなんだ?
ボヨン、と音がして、スナークが変身した。
ナスビみたいな胴体が膨れ上がったかと思ったら……。
そこが丸ごと、シェイプシフターの牙になり、倒れていた怪物の頭をぶちっと噛みちぎってしまった。
「ひぃえー」
アイラが情け無い悲鳴をあげた。
スナークは元のナスビに戻って、トコトコ戻って来る。
「ひいー」
「そんなに怖がらなくても……。なるほど、相手の因子を吸い込んで機能をコピーして使いこなせるのか。もしかして、一度マスターした機能はどれでも使える?」
『その通りです! より多くの経験を積ませることで、スナークは育っていきますよ! ということで……ウグワーッ! スナークが最初の変身を覚えました! 実績・一番最初の変身、解除! 1000pt獲得!』
ぴょーんと飛び跳ねてきたので、スナークを抱っこした。
おお、手触りまで新鮮なナスみたい。
「ちょっとまって下さい? 最初に私の因子吸いましたよね。あれは計算に入ってないってことですか? さっき、変な声が聞こえましたけど」
「ああ。アイラさんにもステータスが見えるようにしているし、チャットボットの声は共有してるからね。ええと、アイラの因子を吸うのは数に入らないの?」
『とてもいい質問ですね! 人間型種族に似た姿になるのは、基本能力ですので数えません。他のクリーチャー達から因子を吸い取って、その力を蓄えていくことがスナークの本分なんです! 楽しいスナークライフを送って下さい! ただ、一度にやりすぎるとスナークは、ブージャムという状態になります。これは大変危険ですので、命令して元に戻すか他の仲間を使って制圧してください』
「ブージャムはどういう状態になるんだい?」
『近くの対象を無差別に因子に分解して吸収する、スナークの暴走形態です。失敗した飼い主が分解されてしまうこともありますから』
「うおー、怖い」
強力でどんどん成長していくが、取り扱いには注意が必要なのがスナークというわけだ。
その代わり、スナークを一度買うと、一切ポイントを使う必要なく強化できるのが利点なわけね。
ポチョとは大きな違いだ。
「よし、お前はナスビに似ているから、ビナスと名付けよう」
スナークはこくりと頷いた。
因子を使わないと、発声する能力がないっぽいな。
『ウグワーッ! スナークを名付けました! 実績・二匹目ペットちゃん、君の名は! 解除! 1500pt獲得!』
ペットちゃんとか言ってるじゃん!!
「ということでアイラさん、僕らが徒歩でセダインに行くのは現実的ではないので、キャンピングカー第二号を買いましょう」
「キャンピングカーと言うと、以前のあの大きな四角い車……?」
「俺とアイラさんとビナスしかいないから、ごく小さいやつです。ほいっ!」
なんと3000ptで買えてしまった。
ワンボックスカーくらいの大きさしかないのだ!
しかも安かったぶん、動力源は自転車だぞ。
「俺とアイラさんで必死に漕いで行かないと、この車は進みません」
「な、なるほど……。まあ、剥き出しで外を歩くよりはいいと思います。やってみます?」
「やってみましょう」
運転席と助手席に当たるところに、ハンドルとペダルとサドルがある。
二人でサドルに横並びに腰掛けて、じゃあ行きますか、と漕ぎ始めた。
アイラは自転車が初めてだったようだが、すぐに要領を掴んだ。
「あ、なるほどなるほど。これは……私が走るくらいの速さがすぐに出ますね! あー、いいんじゃないでしょうか、いいんじゃないでしょうか」
道無き道を走り始めるキャンピングカー。
地面はでこぼこだし、石に乗り上げて車体が跳ねたりもする。
だが、サドルのクッション性が素晴らしいのでお尻が痛くならないのだ。
なお、背後でビナスがボヨーンボヨーンと弾みまくっている。
何も設備がおいてないから、縦横無尽に弾んでるな……。
「ええと、とりあえず二人で力を合わせれば、人力で時速10kmくらいで走れることが分かった。一時間ほど走ってみたけど、どうですかアイラさん」
「つ……疲れました……」
「ですよねー」
でこぼこな地面を走るため、ひたすらペダルを回し続けたのだ。
アイラが床で大の字になっている。
うーん、ワンボックスカーだから、一人が大の字になるともういっぱいだぞ!
インビンシブル号って大きかったんだなあ……。
「ベッドは折りたたみ式で、普段は椅子になるやつを二つ。お風呂とトイレはユニット式のちっちゃいのを置いておきますね。お風呂だけ空間が歪んでるけど……ここはこだわりたいところだし」
「うおわーっ! ポンポンと無から物が出てくる! ……さっき一瞬だけおじさんがいませんでした?」
「時間を遡って工事しに来るんだよ。今回のはミニサイズだったからすぐ終わったみたい」
「わけの分からないことを……。どれどれ?」
アイラが室内探検をスタートした。
ビナスが後ろをトコトコついていく。
懐かれたな。
「トイレ、綺麗ですね! 狭いですけど……用を足すだけなら十分ですよね。それからお風呂は……おお、個人風呂……! な、なんて贅沢な……。小さいですけど、座って入るなら十分……」
アイラはどうやら、足るを知る人物のようだ!
トイレもお風呂も、一般家庭サイズ。
「……脱衣所もある……。ミアンさん、あなた、お風呂にこだわりがありますね?」
「お分かりになりましたか」
アイラは無言でサムズアップすると、お風呂に入っていくのだった。
汗を流すんですな……!
俺はその間に、ミニキッチンと冷蔵庫を用意しておこう。
本当にキャンピングカーだなこれ……。
『ウグワーッ! 潜入任務に向けて、拠点の整備をしました! 実績・狭くとも住みよい我が家、解除! 1500pt獲得!』
今回稼げたポイントは、全てキャンピングカーと設備で消えていったなあ。
◎現在のポイント:145220pt
貢献ポイント :320755ポイント
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