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第11話 ランク決めをしました! +500pt

「マキナは拇印なんだ」


「我々人竜族の文字は、書くのが大変ですし紙がボロボロになりますから」


 特殊なものらしい。

 俺は俺で、転生前の名前を書いてしまった。

 ふりがなでミアンと書いたから大丈夫だと思うが。


 葉っぱが生えた緑髪の受付嬢は、これを見てうんうんと頷いた。


「男性の方の名前は読めない文字ですが、意味があることを書類が認定しました。晴れてお二人は冒険者です!」


「これから、新しい生活が始まりますね。よろしくお願いしますねミアン」


「ああ、よろしくマキナ」


「……ですが、必ずしもお二人が一緒にいられるとは限りません」


 ここで受付嬢が不安なことを言うのだ。


「と言いますと、何かあるんですか」


 俺が聞いてみたら、彼女はにっこり微笑み頷いた。


「冒険者にはランクというものがあるんですよ。その人の実力によって、ランクが割り振られます」


 受付嬢の説明は、簡単に言うとこう。

 ランクはアイアン、カッパー、シルバー、ゴールド、ジュエルと五段階。

 低いランクの冒険者は、それ相当の仕事しか請け負うことができないのだそうだ。


「なるほど……。じゃあ俺が低ランクになってマキナが高ランクになったら、一緒に冒険できないと……」


「そうなります!」


「なりません! 私、高ランクになってもミアンと一緒に冒険しますから!」


「ええーっ!!」


 マキナの宣言に、受付嬢は唖然。


「そ、それは冒険者ギルドにとって、それなりに損失なんですけど……」


「知りません!! 私はミアンに命を救われ、たくさんのものをいただきました。だから、ミアンと一緒に冒険をし、彼の助けになると決めたのです!」


 おおーっ、マキナの決意は堅い!!

 こんなに人がよくしてくれるの、生まれて初めてではないだろうか。

 ジーンとしていたら、ギルドのちょっと偉い人が奥からやって来た。


「では早速、能力テストをしてみましょう! お名前を伺っても?」


 体格のいい中年男性だ。

 この人が、ランク決めをする試験管らしい。


「マキナです」


「人竜族! 身体能力的にも、固有の超能力的にも高位のランクになりやすいですね。ギルドはあなたに期待しています!」


 やっぱりマキナは凄いんだなあ。

 外では使っていなかったけど、ツノがイナヅマを帯びてバチバチ言ってたりしたし。


「それで、君は」


「あっ、ミアンです」


「なるほど。ギルドは来るものは拒まないけれど、向いていない人が冒険者になっても怪我をするだけだからね」


 あれえー!?

 マキナに対するのと態度がぜんぜん違うぞ!

 つまり俺は全く期待されてないということになる。


 まあ、確かに俺は体が大きくもないし、運動が得意でもないし。

 なで肩だしヒョロいし。


「ミアンのこと、バカにしました?」


「あっ、マキナ! ツノがバチバチ言ってる!」


「あーっ、あっ! ここで超能力を使うのはおやめ下さい!」


 慌てる男の人なのだった。

 案内されたのは、ギルドの中庭。

 広い!


 そこに木製や金属製の人形がある。


「あれが標的になります。マキナさんはこちらの刃を潰したブロードソードで鋼鉄の人形に切り込んだり、超能力を使ったりして見て下さい。人形が受けたダメージを把握し、ランクを計算します。君は木製の人形にこの木の枝で攻撃してね」


「むー」


「マキナ、俺は平気だからね、ね」


 木の枝を受け取り、木製の人形と向かい合う。

 うーん、剣を使ったことも無いんだが。

 どうやって切り込むのかな?


「こうか? えやー!」


 ポコン!


『ウグワーッ!! 初めて肉弾戦を行いました! 実績・剣術ヒヨコ級を解除! 500pt獲得!』


「ヒヨコ級!?」


 その後、槍っぽく木の枝を構えて突いたり、魔法の素質があるかを調べるために水晶玉に触れたりした。

 結果……。


「うん、見立て通り!!」


 中年男性が満足気に頷いた。

 緑髪の受付嬢も納得顔。


「どうなんです?」


 俺の質問に、彼らが答えた。


「アイアン級だね」


「安定のアイアン級です。一応アイアン級は下限が無いので、生まれたての赤ちゃんでもアイアン級になれますからね」


「やっぱり」


 そんな気はしてた!

 生身の俺の弱さは、自分でもよく分かってるからね!


「この試験はおかしいです!! 目に見えない不思議な力まで測らなければ、意味が無いと思います!!」


 むきーっと怒るマキナなのだった。

 なお、彼女は借りた剣で金属人形をスクラップにし、角の間から生まれた電撃で標的を薙ぎ払い、魔力に関しても水晶玉が雷光でギラギラ輝くほど。


「こ、これは凄い!! 彼女はゴールド級だ! 凄い逸材だぞ!!」


「一応、実績を積んで働きと態度を見てからの昇格です。今は仮にシルバー級からスタートですが、ゴールド級昇格が確定していると思って下さい」


 他の職員や、冒険者も集まってきた。

 なんだなんだ!

 マキナが注目されているぞ!


 冒険者ギルドは、種族関係無しに実力主義なんだなあ。


『ウグワーッ! ランク決めをしました! 実績・まずはアイアン級から解除! 500pt獲得! なお、ランクアップする度に実績も解除されます。アイアン級からは美味しいですよ!』


 そして晴れて冒険者になったということで、貢献ポイントがブレスに記録された。


「おっおっ、ポイント順調に増えてるじゃないの。やっぱり冒険者を選んで正解だったなあ! そうかそうか、これからランクアップで実績解除の喜びが……! むほほ、俄然(がぜん)やる気になってきたぞ」


 一人で喜ぶ俺をよそに、沢山の人に囲まれて戸惑うマキナ。

 俺を心配しているみたいだ。


 大丈夫!

 冒険者はかなりポイントが稼ぎやすいことが分かって、ハッピーだから!

 貢献ポイントからの相乗りも、チリツモだもんな。


 冒険者をやって貢献ポイントが貯まり、冒険内の行動でUGWポイントが貯まる。

 低ランクスタートなら、ポイントが貯まる行動を安全に試すこともできそうだし、こりゃあ楽しくなってきたぞ!


◎現在のポイント:10121pt

 貢献ポイント :405ポイント

お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
このままだと順調に仕事中はマキナさんとお別れになりそうだしミアンも気にしなそうだけど、マキナさんか果たしてそれを許すのかな……?w
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