第106話 仲間たちと一緒に夜のバーベキューをしました! +1500pt
道無き道を走るインビンシブル号。
そして行き当たる、一番の難所である大森林だ。
ここは木々が密集しており、車が侵入できないんだよな。
『ポピポッピポポー』
「ほうほう、久々にあの蜘蛛と会うのが楽しみかー」
「ミアンがまたポチョと不思議なお話をしています」
「俺のペットだからね、なんか分かるんだよね」
俺は客車に向けて放送する。
「えー、インビンシブル号はこれより、大森林を登ります。近くにある椅子に掴まって下さい」
『ウグワーッ! 車内案内をしました! 実績・バスガイドさん、解除! 500pt獲得!』
客車を確認せずともよかろう。
何しろ、あっちには歴戦の勇士しか乗っていないのだ。
そして希望の地である人竜族の里に向かうため、彼らの士気は今やアリの巣攻略時の比では無いだろう。
客車の中でひっくり返りながら、祝杯をあげている気もする。
「うーわー」
ヨルカがコロコロ後方へ転がっていった。
以前ここに来た時はカカポだったっけ?
「人竜族の里か……。マキナみたいなのがたくさんいるのか? そんな人外魔境が王国の近くにあったとは……」
里が初めてのデリアは緊張しているようだ。
「そんなことないですよ。みんな普通の人ですから。私だってちょっと変わった女子ではありましたけど、別に特別では……」
マキナは人竜族の里だと最強レベルの女子じゃなかったかなあ……!
ひょっとすると、タリアさんがマキナより強いかも知れないくらいで。
親子だしなー。
モンキーウォークシステムで、わしわしと大木を上っていく。
一本一本の樹木が、ケスタイン王国の建物よりも高いし太いんだもんな。
森の上部まで登り切ると、そこは森の下とは全く異なる生態系に支配されているのだ。
全身が口みたいな猿っぽいモンスターが、キイキイ集まってきた。
これをぺちぺちと腕で払うインビンシブル号。
そして客車から、ぼんぼん魔法が飛んでくる。
あっ、ユニ蔵が飛び出してきて猿の一匹が真っ二つになった!
また客車に戻っていくユニ蔵。
恐ろしい強さだな……。
初見だろうに、そんな相手でも一撃必殺してしまうとは。
「客車は大丈夫みたいですね? こっちももちろん大丈夫なんですけど」
猿みたいなモンスターは、ユニ蔵とゴールド級の人々に狩られ、恐れをなしたらしい。
ワーッと散り散りになる。
うーむ、俺とは違い、実践的な冒険者たちだからね。
敵対的な怪物への慈悲の心はないと思うぞ。
そしてもう少し進むと、向こうから巨大な蜘蛛がやって来た。
『ポピー!』
ポチョが声を発すると、向こうの蜘蛛がハッとしたようだった。
そして前足をぶんぶん振ってくる。
ポチョもモンキーウォークシステムの足を振って挨拶した。
『ウグワーッ! 感動の再会をしました! 実績・あれ?前回そこまで関係性作ってたっけ? 解除! 500pt獲得!』
チャットボットもうろ覚えじゃないか!?
「えー、連絡です。あの蜘蛛は友好的で、話せば分かるタイプです。縄張りに入らなければOKなので攻撃はしないで下さい」
客車に業務連絡を入れておいた。
こっちから一方的にしか伝えられないが、ちゃんと分かってくれたようだ。
客車から攻撃が飛んでいかない。
「ミアン、お前大変だなあ……」
「うん、引率の先生みたいだ」
デリアに同情されてしまった。
ちなみに、この蜘蛛がいる辺りは安全なのだ。
やってくる怪物は、蜘蛛の縄張りに入ると糸で絡め取られ食べられてしまう。
結果的に、蜘蛛と友好関係になるとここが安全地帯になるというわけだ。
「えー、本日はここでキャンプです。皆さん車の上に出てきて下さい。陸上……つまり木々の上は糸が張り巡らされているので、くっつくと蜘蛛に食べられます。一応友好的な蜘蛛なので、刺激しないために陸上に降りないで下さい」
客車への連絡をした後、俺はインビンシブル号の車上に上がった。
ここから装甲板まで含めると、それなりの広さのバーベキュー会場になる。
さらに客車との間をエレベーターユニットで埋めて……っと。
「おおーっ、なんだか凄いところに連れてこられてしまったぞ」
密偵が上がってきてキョロキョロした。
続いて、戦士長と守護者。
二人が魔道士と司教を引っ張り上げる。
最後に吟遊詩人が自力で上がってきた。
「ではバーベキューをやります! みんな集まれー!」
うちのメンバーたち、そしてユニ蔵とゴールド級の人々。
彼らを集めて、会場に鉄板を用意する。
熱された鉄板に、肉を乗せて焼くのだぞ。
「これだ!」
「あ、さっきの猿の肉!!」
密偵がいつの間にか、倒した猿の肉をゲットしていたらしい。
「せっかくなんで焼いてみようぜ」
「大丈夫か……?」
「ダメだったらうちの神に毒抜きさせるから」
ゴールド級の人々が洒落にならん話をしている。
「チャットボット! あのでっかい口の猿の肉は食える?」
『とてもいい質問ですね! あれらは現地では未発見のクリーチャーです。ビッグマウス・エイプと言い、外宇宙侵略体マロングラーセが残した下位の眷属にあたります。その肉は……生食しなければ大丈夫です!』
「生食禁止っぽい! しっかりウェルダンに焼いてくださいねー!」
うおーっと応じる男たち。
そしてキャッキャしながら猿肉を焼き始めた。
「なんていうか、ゴールド級にジュエル級って言うからすごい人たちだと思いましたけど……結構子供みたいなところがありますよねえ」
「男は常にクソガキなところがあるもんだよ」
「そうなんですか? ミアンは常に、私を包みこんでくれる大人~って感じですけど」
買いかぶり過ぎじゃないかな……!?
「ミアン殿ミアン殿! 猿肉! 猿肉が焼けたでござるぞー! わはは! ひどい味でござる!!」
「まじー」
「こんなにまずいの凄いな」
げはげは笑いながら、猿肉をみんなで食べている。
どういうノリなんだ。
そしてこっちは、俺がお取り寄せした安心安全な牛肉と豚肉と野菜を焼いているのだ。
向こうに分けてやる分もあるんだが……。
おっと、蜘蛛がとことこ寄ってきた。
俺は肉の塊を手に取ると、彼に投げてやる。
『ポピ!』
ポチョがインビンシブル号の上から手を振ると、蜘蛛が前足をわしわし動かした。
肉の塊を受け取り、その場でモリモリ食べ始める。
『ウグワーッ! 仲間たちと一緒に夜のバーベキューをしました! 実績・星空の下のパーティー、解除! 1500pt獲得!』
「あ、ミアン! 向こうに明かりが見えるぞ」
デリアが何かに気付いたようだ。
振り返るとそれは、彼方に見える人竜族の里なのだった。
「目的地だよ。明日には到着する。温泉が凄いところだから、デリアは楽しみにしてるといいぞ」
「ほ、本当か……!? ミアンが凄いという風呂、絶対に入りたい……!」
ウキウキしているデリアなのだった。
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