幼女、前世を思い出す
私は地球と言う場所で生きていたわ、
50歳を過ぎた頃、急性アルコール中毒になって死んでしまったんだわ。
その時私の旦那が居たけど、やっぱりアルコール中毒で先立たれてしまって、私もその後を追う様にアルコール中毒になってしまったんだわ。
私には娘と息子が居たけど、成人していたとはいえ大丈夫かしら。
ごめんね、娘と息子よ。
私はこの瞬間に前世の記憶を取り戻したんだけど、おそらく私達姉妹はこのまま貴族に売られて奴隷になってしまうのだろうと何となく思った。
そうしたら私達姉妹はちりじりになってしまうかも知れない。
そう思い私は決心して姉のプリフィと一緒に逃げ出そうと思い立った。
まず私はこのままじゃ何も出来ないから前世でよく聞くアレを試して見る事にした。
「ステータスオープン」
「え?何?アリエッタ」
「ステータスオープン」
私は祈る様な気持ちでステータスオープンと言ったが、何も起こらなかった。
ならばもう一つの言葉を言おう。
「鑑定」
すると私の目の前にウインドウが出て文字が表示される。
・アリエッタ(5才)
魔力3万
スキル 鑑定、アイテムボックス、開錠
属性 全属性
私のスキルに開錠がある、良かった、これでここから逃げられる。
「おねえちゃん、ここから逃げるよ、開錠」
「え?アリエッタ、逃げるって言ってもどうやって?え?」
私は閉じ込められている荷馬車の中で立ち上がり、扉に手をかざし開錠と唱えると、扉が音も無く開かれて舗装されている道路が見えた。
「おねえちゃん、先に飛び降りて、そうしたら私も飛び降りるから」
「・・・わかったわ、アリエッタ」
そう言ってプリフィは、荷馬車から飛び降りると、難なく着地した。
「アリエッタ、早く降りて」
私はまだ5才だから、プリフィほど運動神経は良く無いので、後ろ向きになり進んでいる地面と並行になりながら足を下ろして行くと、私も荷馬車から降りられたので、すぐにプリフィと共に森の中に入って行った。
荷馬車から逃げられたんだ、良かった、成功だわ。
「おねえちゃん、もっと森の中まで行くよ」
「うん、わかったわ」
そうして、私姉妹は森に中に入って行き、朝も昼も夜も一晩中歩き続けた。