幼女、いきなり攫われる
「イヤ〜〜〜、やめて、離して」
私は3つ上の姉、プリフィと一緒にスラムを歩いていると、大きな男に手を掴まれてしまって逃げられない。
「やめて〜〜〜、妹を離して」
「うるせえ、静かにしろ」
姉のプリフィは、大きな男が私を掴んでいる手を噛みつこうとしながら、大きな男にうるせえと言われ、顔を殴られて吹き飛ばされてしまう。
「ヒ、・・・・・・」
「おねぇちゃん、大丈夫?おねぇちゃん?」
私は、大きな男に吹き飛ばされてしまったプリフィを、大丈夫?と呼ぶが返事が無い。
プリフィは気を失ってしまったのだろう、私はすぐにでも姉のそばに行って介抱してあげたかったが、大きな男に手を捕まえられてしまって居るので駆け寄る事が出来ない。
「お願い、離して、イヤ〜〜〜、おねぇちゃん」
「・・・・・・」
大きな男は空いて居る方の手をポケットに入れて、何やらハンカチの様な物を取り出し、嫌がって暴れて大声を上げる私の顔に押し付けた。
そして私は苦しくて、そのままハンカチ越しに呼吸をすると、意識を失った。
そして目が覚めると、中は薄暗く、木造だろうか、木の隙間から日の光が漏れていた。
「アリエッタ、大丈夫?目が覚めた?」
「うん、おねぇちゃんこそ大丈夫?」
「私は大丈夫よ、ちょっと顔が痛いけどね」
「良かった、おねぇちゃんが殴られて心配したんだからね?」
私の問いかけに、プリフィは顔が痛いと言って、殴られたであろう場所に手を当てながら答えてくれた。
「ねぇ、おねぇちゃん、ここは何処なの?もしかして私達、あの大きな男に捕まっちゃったの?」
「え〜、そう見たいね、私達、捕まってしまったわ、そして多分ここは馬車の荷馬車の中よ」
どうやら私達姉妹は、大きな男に捕えられてしまった様だ。
これからどうなるんだろう。
私達姉妹は、両親がおらず、名前もわからない町のスラムで、ゴミを拾ってそれを売ってほぞぼそと暮らしていた。
環境は最悪で、トイレは町の側溝の溝を囲ってしていて、お風呂なんか無いから町外れにある湖まで行き、本当にたまにしか水浴びをしなかった。
寝る場所は隙間だらけの掘立て小屋の中で、私達姉妹と同じ様な境遇の子達と数人で、身を寄せ合い、寒い冬は捨ててある服を集めて、何枚も何枚も着込んで冬を過ごした。
夏はさらに最悪で、身体から暑さのせいで嫌な臭いがするから、町外れの湖に頻繁に通う様になり、稼ぎが減るのでいつも空腹だった。
嬉しいのは町の炊き出しの時で、週に3回お昼にスラムに住んで居るみんなに振舞われて、それが楽しみだった。
いつもと変わらない日に、突然大勢の男達が来て、私達スラムに住んで居る子達を捕まえていった。
そして今日私達姉妹は捕まったのだ。
今日なのか、それもわからない。
私は大きな男におそらく薬を嗅がされたのだろう、まだ少しぼんやりするけど、段々と頭がスッキリして来た時、私の頭の中に変化があった。