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第9話♡木曜夜は乙女の秘密♡ ~残り香と記憶と、週末へのときめき~

「――このティント……いつか、本当に塗れる日が来るのかな……。スイ先輩のあの言葉、本気だったのかな……ううん、ダメダメ! まだ、昨日の甘い香りが、私の中に残ってるだけかも……でも、胸のドキドキが、止まらないの……!――」


 サキの小さな手のひらの上で、スイからもらった深紅のティントが、妖艶な光を放っている。

 木曜日の営業終了間際、「太夫」日本本店のバックヤード休憩室。窓の外は藍色に染まり始め、街の灯りがちらほらと瞬き始めている。

 昨日の夢魔リリィとカスミの媚薬騒動の余波は、まだこの空間に微かに漂い、乙女たちの心を甘く、そして少しだけ切なく揺さぶっていた。

 週末への期待と、呼び覚まされた「純粋な愛の記憶」が交錯する、秘密のガールズトークが今、始まろうとしていた――。



会員制茶屋「太夫」日本本店・リュウカの私室 – 早朝(サキたちの出勤前の出来事)


ミャウリ「(大きなあくびをしながら、ふさふさの尻尾をパタパタと揺らす)ふぅ……昨日のMPミャウリパワー消費は、さすがに堪えたニャ……。お陰で今日の朝食は、最高級マグロのネギトロ丼だったから、まぁ許すけどニャ」

ミャウリ「(リュウカの足元にすり寄りながら、上目遣いで見上げる)さて、リュウカ。今日のサキの運勢は……ズバリ!『週末目前・乙女心ときめき指数:星5つ☆☆☆☆☆』だニャ! きっと、昨日の吾輩の『エンジェル・リン・リン・ヒーリング』で呼び覚まされた“記憶”のせいで、いつもよりちょっぴり大胆になっちゃうかもしれないニャン♡」

ミャウリ「ただしニャ!『お財布の紐ゆるみすぎ注意報・危険度:星3つ☆☆☆』もハッキリ出てるからニャ! 可愛いものを見つけても、衝動買いはほどほどにするように、しっかり伝えておくのじゃぞ? 特に、キラキラした限定コスメとか、ふわふわした新しいお洋服とかニャ!」


リュウカ「(窓の外を眺めながら、ミャウリの言葉に静かに微笑む)あら、それは楽しみですわね、ミャウリ。乙女たちのきらめきは、何よりも美しい光を放つものですもの。昨日の出来事が、あの子たちの心をより豊かにし、そして絆を深めるきっかけとなったのなら、わたくしは嬉しく思いますわ」

リュウカ「(ミャウリの頭を優しく撫でる)お財布の紐、ですか……ふふ、たまには自分自身へのご褒美も、乙女にとっては大切な潤いになるものですわよ? 特に、頑張った後にはね♡ ……もちろん、限度はございますけれど」

リュウカ「(その瞳には、メイドたちへの深い愛情と、そしてどこか、週末に何か素敵な出来事が起こることを予感しているかのような、優しい輝きが宿っている)」



会員制茶屋「太夫」日本本店・二階バックヤード休憩室


木曜日の営業終了間際


(サキ、ユナは、フロアの片付けを終え、少し疲れた顔をしながらも、どこか週末を待ちわびるような、そわそわとした表情で休憩室に入ってくる。ハナは既にソファに座り、ホログラム端末で何かを熱心にチェックしている。スイは壁に寄りかかり、そんな後輩たちの様子を、面白そうに、そしてどこか優しげな瞳で見守っている。部屋には、まだ微かに、夢魔リリィの甘く蕩けるような花の香りが残っているような気がする――)


ハナ「あー、お疲れサキー! ユナたーん! やっと終わりが見えてきたねー! てか、見て見て! 週末発売の限定コフレ、鬼可愛くない!? このラメ感、絶対ゲットしなきゃでしょ!」

ハナ「(ホログラム端末に映し出された、キラキラと輝くコスメの画像を見せながら、興奮気味に声を上げる。その頬は期待で上気している)」


ユナ「わぁ……! 本当に、星の雫を閉じ込めたように美しいですわね! ハナ様は、いつも素敵な情報をたくさんご存知で、本当に尊敬いたしますの!」

ユナ「(目をキラキラさせながら、ハナの端末を覗き込む。彼女の猫耳が、興奮でぴこぴこと動いている)」


サキ「お疲れ様です、ハナ先輩! 本当だ、すごい可愛いコフレですね! 私もそういうの、いつか使ってみたいな~って思うんですけど、なんだか勇気が出なくて……」

サキ「(少し羨ましそうに、しかしどこか自信なさげに微笑む。彼女の視線は、無意識に自分のポーチへと向けられる)」


スイ「んふふ、サキちゃんは相変わらず謙虚だニャン♡ でも、ユナちゃんもサキちゃんも、昨日はすごかったニャンよ? あのリリィとかいう夢魔の媚薬にも、カスミの変な媚薬にも、最後まで立ち向かってたじゃないかニャ♡」


スイ「(壁から離れ、ゆっくりとサキに近づきながら、悪戯っぽく微笑む。その黒い猫耳が、楽しそうに揺れている)」


サキ「ひゃっ! ス、スイ先輩! そ、それはミャウリ様の鈴のおかげというか、リュウカ様が最後はなんとかしてくださったというか……! 私なんて、もう、頭がふわふわしちゃって、何が何だか……!」


サキ「(スイの言葉に、昨日の出来事を思い出し、顔を真っ赤にして慌てて手を振る。特に、スイ先輩にあわや唇を奪われそうになった瞬間のことは、思い出すだけで心臓が飛び出しそうだ)」


ユナ「わたくしも……昨日のことは、あまり鮮明には覚えておりませんけれど……なんだか、カエデ様への想いが、胸の中で燃え上がるように熱くなったことだけは……覚えておりますわ……♡」

ユナ「(頬を染め、うっとりとした表情で胸に手を当てる。彼女の周りからは、まだほんのりと甘い花の香りが漂っているような気がする)」


ハナ「いやー、昨日はマジでカオスだったよねー! まさかリュウカ様までがあんな風になっちゃうなんて、誰が想像できた!? でも、ミャウリ様の『エンジェル・リン・リン・ヒーリング』、マジ神がかってた! あたしもなんか、心が洗われたっていうか、ピュアな気持ちになっちゃったもんね! ……まぁ、一瞬だったけど♡」


ハナ「(ケラケラと笑いながら、昨日の騒動を振り返る。しかし、その瞳の奥には、まだどこか興奮の余韻が残っている)」


スイ「(サキの隣に腰を下ろし、意味ありげにサキの顔を覗き込む)……で? サキちゃんは、昨日の“記憶”、何か思い出したのかニャ?♡ あの鈴の音で、何か……特別なことでも、ね♡」


スイ「(その声は、普段よりも少しだけ甘く、そしてどこか期待するような響きを帯びている。スイの尻尾が、ゆっくりと左右に揺れる)」


サキ「えっ!? と、特別なことって……な、何のことですかぁ!? わ、私は別に、何も……!(しどろもどろになりながら、視線を泳がせる。脳裏には、新人時代にスイ先輩に励まされた、あの温かい記憶が鮮明に蘇ってきていた)」


ハナ「(ニヤリと口角を上げる)おっやおや~? サキたん、何か隠してるな~? 顔、真っ赤っかだよ~ん♡ まさか、スイ先輩とのあんなことやこんなこと、思い出しちゃったとか~?♡」


ユナ「まあ! それは、とってもロマンチックな展開ですわね! きっと、お二人の間には、わたくしたちの知らない、深い絆の物語があるのですわね……♡」

ユナ「(純粋な瞳で、サキとスイを交互に見つめる)」


サキ「ち、違いますってばぁ! 本当に何も……! それより、ハナ先輩! 週末のコスメ、どこのブランドなんですか!? 私もちょっと見てみたいかも……!」

サキ「(慌てて話題を変えようと、ハナの端末を指さす。しかし、その耳は正直に真っ赤に染まっている)」


ハナ「んふふ、サキたん、分かりやすすぎ~♡ ま、いいけどね! このブランドの新作ティント、発色も色持ちも神レベルって噂なの! 今回の限定色は、ちょっと深めのローズ系で、イエベ秋の私にも似合いそうだし、ブルベ冬のスイ先輩にも絶対バッチリだと思うんだよね!」


ハナ「(再びコスメ談義に熱中し始める。しかし、チラチラとスイとサキの様子を伺うのは忘れない)」


スイ「(サキの慌てぶりを面白そうに見つめながら、自分のポーチから一本のリップを取り出す)ローズ系ねぇ……。あたしは最近、こういうプラム系のマットリップがお気に入りだニャン♡ ちょっと強めだけど、サキちゃんみたいな甘い顔立ちの子が、あえてこういう色を使うのも、ギャップがあって可愛いと思うニャンよ?」


スイ「(リップのキャップを開け、自分の唇に軽く当ててみせる。その仕草は、どこか挑戦的で、そして蠱惑的だ)」


サキ「わぁ……! スイ先輩、すごくお似合いです……! カッコよくて、綺麗で……! 私には、まだちょっとハードルが高いかも……」

サキ「(スイの大人っぽい雰囲気に、改めて見惚れてしまう。同時に、自分の子供っぽさを少しだけ意識してしまう)」


ユナ「スイ様は、本当にどんなお色でも、ご自身の魅力に変えてしまわれますわね! まるで、夜空に輝く星々が、闇を纏うことでより一層その輝きを増すように……!」

ユナ「(うっとりとした表情で、スイを見つめる。彼女の言葉には、純粋な憧れが満ちている)」


ハナ「だよねー! スイ先輩のブルベ冬最強説! でもさー、ユナたんも、もっと色々な色に挑戦してみたらいいと思うんだよね! いつも清楚なパステルカラーも可愛いけど、たまには思い切って、こういうビビッドなピンクとかどう? 天女様のイメージにも合うし、カエデ先輩もドキッとしちゃうかもよ?♡」

ハナ「(キラキラしたピンク色のグロスをユナに差し出す。その瞳は、いたずらっぽく輝いている)」


ユナ「まあ! こんなに鮮やかな桃色は、わたくしには少し……でも、カエデ様が……?(頬を染め、グロスを恐る恐る受け取る)もし、このお色が、カエデ様との距離を少しでも縮めてくれるのなら……試してみる価値はあるのかもしれませんわね……♡」

ユナ「(グロスを手に、期待と不安が入り混じった表情で、明後日の方向を見つめる。その姿は、恋する乙女そのものだ)」


サキ「(みんな、自分の『似合う』を探して、色々試してるんだな……。私も、もっと勇気を出して、新しい自分を見つけてみたい……。スイ先輩にもらった、あのティント……)」

サキ「(自分のポーチをそっと握りしめる。中に入っている深紅のティントの感触が、なぜか今日はいつもより熱く感じる)」


スイ「(サキのそんな様子に気づき、ふっと優しい笑みを浮かべる)……サキちゃん」

スイ「(サキの隣に再び近づき、その小さな手を、自分の手でそっと包み込むように握る)」


サキ「! ス、スイ先輩……?」

サキ「(突然のスイの行動に、心臓がドキリと跳ねる。スイの手は、少しひんやりとしていて、でも、なぜかすごく安心する温かさも感じた)」


スイ「そのポーチの中に入ってるティント……。今、ここで塗ってみるかニャ?♡」

スイ「(サキの耳元で、吐息が混じるような、甘い声で囁く。その瞳は、先ほどよりもさらに熱っぽく、そしてどこか真剣な色を帯びている)」



スイ「……サキちゃん、それ、塗ってみる気になったのかニャ?♡ 似合うと思うニャンよ…あたしが保証する♡」


スイ「(休憩室の大きな鏡の前。サキが、スイにもらった深紅のティントを手に、震える指で自分の唇にそっと当てようとしている。その背後から、スイが音もなく近づき、サキの耳元で囁く。鏡の中のスイと目が合う。スイの瞳は、まだ微かに残る夢魔リリィの残り香のせいか、それとも……昨日のミャウリの鈴の音が呼び覚ました「純粋な愛の記憶」のせいか、熱っぽく潤んでいる)」


サキ「(肩がピクリと跳ね、鏡の中のスイと視線が絡み合う。スイ先輩の真剣な眼差しと、耳元で感じる熱い吐息に、頭がクラクラしてくる。昨日、夢魔リリィの媚薬の影響で、あわやキスされそうになった時のドキドキが蘇ってくる。でも、今のこのドキドキは、それとは少し違うような気がした。もっと、胸の奥がキュンとするような、甘酸っぱいような……)」

サキ「……す、スイ先輩……。こ、これ……本当に、私に……?」

サキ「(声が震える。ティントを持つ手が、小刻みに震えているのが自分でも分かる)」


スイ「ああ、サキちゃんにニャ♡ 昨日も言ったけど、これはあたしからの“お守り”だニャン。そして……あたしの“願い”でもあるのニャ♡」


スイ「(サキの震える手を、自分の手で優しく包み込む。その瞳は、真っ直ぐにサキを見つめている)」


(その時、二人の脳裏に、昨日のミャウリの鈴の音と共に蘇った、「純粋な愛の記憶」の断片が、より鮮明にフラッシュバックする――)


サキ「(――あ……! この温かい手の感触……! 新人の頃、私が大きな失敗をして、一人でバックヤードで泣いていた時……スイ先輩が、何も言わずに隣に座ってくれて……『大丈夫ニャ、サキちゃんならできる。あたしが見てるからニャ』って、そう言って、私の頭を優しく撫でてくれた……あの時の、スイ先輩の手……!――)」


スイ「(――この潤んだ瞳……! 初めてサキが、俺のことを『スイ先輩!』って、キラキラした目で見上げてくれた時……。あんな風に真っ直ぐな好意を向けられたのは、初めてだったかもしれねぇ……。あの瞬間、この子を守ってやりてぇって、強く思ったんだ……ニャンてな……照れるニャ♡――)」


(二人は、ハッとして顔を見合わせる。鏡の中の自分たちの顔が、驚くほど赤く染まっていることに気づく。休憩室に漂う甘い残り香とは違う、もっとピュアで、切なくて、そしてどうしようもなく愛おしい感情が、胸いっぱいに込み上げてくるのを感じた)


サキ「……スイ先輩……。あの時……私、すごく嬉しかったんです……! スイ先輩がいてくれたから、私、頑張れたんです……!」


サキ「(涙ぐみながら、スイの顔を見上げる。その瞳には、感謝と、そして抑えきれないほどの好意が溢れている)」


スイ「……サキちゃん……。お前……そんなこと、覚えててくれたのかニャ……?」


スイ「(驚いたように目を見開き、そして、照れ臭そうに視線を逸らす。その黒い猫耳の先が、ほんのりと赤くなっているのが見えた)」


ハナ「(息を呑んで二人を見守っていたハナが、小声でユナに囁く)……ねぇ、ユナたん。今の二人、なんかすごくない? 昨日までのイチャイチャとは、ちょっと違うっていうか……もっと、こう……エモい? ってやつ?」


ユナ「(こくこくと頷き、涙ぐんでいる)はい……! まるで、長い時を経て、ようやく真実の愛に気づいた、運命の恋人たちのようですわ……! ああ、なんて美しいのでしょう……! わたくし、感動で胸がいっぱいです……!」


(スイは、深呼吸を一つすると、再びサキに向き直り、悪戯っぽく、しかしどこまでも優しい瞳で微笑んだ)


スイ「……ったく、サキちゃんは昔から、そういう素直なところが……可愛いんだニャン♡」


スイ「そのティント、いつか本当に塗る気になったら……一番最初に、あたしに見せてくれるかニャ?♡ そしたら、あたしが……うん、まぁ、その時はその時だニャン♡」


スイ「(サキの頭を、あの時と同じように、優しくポンポンと撫でる。そして、サキの手からティントをそっと取り上げると、そのキャップを悪戯っぽく開け、ほんの少しだけ、自分の小指の先に色を取った)」


サキ「え? スイ先輩……?」


スイ「ん? ああ、これはただの“おまじない”だニャン♡」


スイ「(そう言うと、スイは自分の小指の先についた深紅のティントを、サキの唇に、ちょん、と優しく触れさせる。それは、キスよりもずっと軽やかで、でも、なぜかキスよりもずっとドキドキするような、特別な感触だった)」

スイ「これで、サキちゃんがいつかこのティントを塗る時、きっと最高に可愛くなれるはずだニャン♡ あたしのお墨付きニャ♡」


スイ「(満足そうに微笑み、ティントをサキの手に再び握らせる)」


サキ「(唇に残る、微かなティントの感触と、スイ先輩の指先の温もり、そして甘い香りに、全身の力が抜けてしまいそうになる。顔はもう、茹でダコみたいに真っ赤になっているだろう。でも、心の中は、今まで感じたことのないような、温かくて、幸せな気持ちでいっぱいだった)」


サキ「……は、はいっ! あ、ありがとうございます……スイ先輩……! 大切に……大切にします……!」

サキ「(ティントを胸にギュッと抱きしめ、涙ぐみながらも、精一杯の笑顔で頷く)」


ハナ「(パチパチパチー!)いやーん! もう何これ! 映画のワンシーンみたいじゃん! てか、今のスイ先輩、カッコよすぎ! 反則! サキたんも可愛すぎ! もう、あたし、萌えすぎて灰になりそう……!」


ハナ「(大興奮で両手をバタバタさせている)」


ユナ「(ハンカチで目頭を押さえながら)素晴らしいですわ……! これぞ、真実の愛の奇跡ですわね……! わたくしも、カエデ様と、あんな風に……ううっ……!(感涙)」


(そこへ、営業終了を告げるチャイムが鳴り響く)


スイ「おっと、もうこんな時間かニャ。さて、サキちゃん、ユナちゃん、ハナちゃん。明日は待ちに待った金曜日だニャン♡ 週末は、思いっきり羽を伸ばして、自分にご褒美をあげなきゃだニャンよ?」

スイ「(いつもの調子に戻り、ニッと笑って後輩たちに声をかける。しかし、その声は、どこかいつもより優しく響いた)」


ハナ「っしゃー! 明日頑張ればお休みだー! 限定コフレ、絶対ゲットするぞー!」

ユナ「わたくしも、カエデ様との映画のために、明日一日、精一杯お勤めいたしますわ!」

サキ「はいっ! 私も、頑張ります! なんだか、すっごく元気が出てきました!」

サキ「(手の中のティントをもう一度見つめる。それは、ただのコスメではなく、スイ先輩との特別な絆と、そして、これから始まるかもしれない新しい自分への、魔法のアイテムのように思えた)」



(――木曜日の夜。「太夫」のバックヤードには、甘い残り香と、呼び覚まされた記憶の余韻、そして週末への高鳴る期待が、優しく満ちていた。乙女たちの秘密の時間は、こうして新たなときめきを胸に、幕を閉じる。そして、その小さなときめきが、やがて大きな運命の歯車を、また少しだけ動かすことになるのかもしれない――)


(誰もいなくなった休憩室。ソファの上には、ミャウリ様へのお供え物として、誰かがこっそり置いたであろう「最高級マグロジャーキー・週末限定フレーバー」の袋が、月明かりに照らされて、キラリと光っていた――)

よろしくお願いします

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