第8話♡夢魔リリィの甘い罠 ~暴走する乙女心と、支配人の秘密の顔~
「――あぁん♡ リュウカ様ったら、そんな熱っぽい瞳でわたくしを見つめないでくださいまし! まるで、熟れた果実を前にした、飢えた獣のようですわ!……でも、その瞳、嫌いじゃありませんことよ…? もっと、わたくしの全てを、その瞳で味わい尽くしてくださっても、よろしくってよ…?♡――」
「太夫」の絶対的支配者、観月リュウカが、見たこともないほどにとろけた表情で、目の前のVIP客(超絶紳士的な美丈夫)の胸に、しなだれかかるように寄り添っている。
その手には金の扇子ではなく、なぜかミャウリの愛用するフサフサの猫じゃらしが握られており、それを無意識にパタパタと相手の顔の前で振っている。
そして、彼女の唇からは、普段の優雅で詩的な言葉とは似ても似つかない、甘く、ねっとりとした、そしてどこか舌足らずな囁きが漏れ出ていた――。
バックヤードでは、サキがスイに壁ドンされ、顔を真っ赤にしながらも、どこか期待に満ちた瞳で上目遣いをし、ユナはカエデに情熱的な愛の言葉を叫びながら迫っている!
「太夫」日本本店は、かつてないほどの甘く危険なカオスに包まれていた――!
会員制茶屋「太夫」日本本店・リュウカの私室 – 早朝。空は妖しく曇り、部屋には昨日までのピリリとした緊張感とは異なる、ねっとりとした甘い空気が充満し始めている。リュウカは珍しく少し寝癖がついたまま、ぼんやりと窓の外を眺めている。その足元で、聖獣ミャウリが全身の毛を逆立て、低い唸り声をあげていた。**
ミャウリ「グルルルル……ミャーーーッ! リュウカ、今日の『太夫』は、朝からとんでもなくヤバい匂いがプンプンするニャ! これは、昨日のカスミの雑魚とは比べ物にならないくらい、超弩級の『甘い誘惑』の気配だニャ! まるで、夢魔の女王様が、最高級の媚薬を振りまきながら、空中遊泳でもしてるみたいだニャ! これは……間違いなく、あのリリィとかいうヤツが、本格的にちょっかいを出しに来たニャ!」
ミャウリ「(リュウカの足に必死にしがみつき、警告するようにその顔を見上げる。青い瞳は恐怖と怒りで爛々と輝いている)今日のサキ、いや、『太夫』全体の運勢は……ズバリ!『色香地獄・理性崩壊パニック度:測定不能レベルMAX☆☆☆☆☆』だニャ! きっと、全員が本能むき出しのケダモノ状態になって、とんでもないことになるに違いないニャン! リュウカ!しっかりするニャ!」
リュウカ「(ゆっくりとミャウリに視線を移す。その瞳はどこか虚ろで、頬もほんのり赤い)……あら、ミャウリ……おはようございます……。なんだか今日は、朝から頭がふわふわして……体がぽかぽかするような……。まるで、春の陽だまりの中で、たくさんの蝶々が舞っている夢でも見ているようですわ……ふふっ、綺麗……♡」
リュウカ「(ミャウリの頭を、いつもより少しだけぎこちない手つきで撫でる。その表情は、どこか幼く、無防備に見える)」
ミャウリ「(ガーン!!!)リュ、リュウカ!? お前、まさかもうあの夢魔の香りにやられてるのかニャ!? いつもの冷静沈着なリュウカはどこ行ったニャ! 今日のリュウカの運勢は……ニャンと!『鉄壁の仮面・完全崩壊!素顔だだ漏れ天然炸裂度:星無限大☆☆☆☆☆∞』だニャ! もうダメだニャ、今日のリュウカはポンコツ確定だニャ~!」
ミャウリ「こうなったら、吾輩からの今日の特別バフは……これしかないニャ!『夢魔の誘惑・ちょっぴり耐性アップ&リュウカ様限定・正気を取り戻せ!猫パンチ覚醒モードニャ!』 これで、メイドたちが少しは正気を保てるはずだし、リュウカもいざとなったら吾輩の猫パンチで目を覚ますニャ! ……多分ニャ! もう、今日のデザートは、世界中の高級魚介類全部乗せの『ミャウリ様スペシャル海鮮玉手箱』じゃないと割に合わないニャー!」
ミャウリ「(半泣きになりながらも、決死の覚悟でリュウカの額に肉球を押し当てる。リュウカの周りに、一瞬だけ、パチパチと静電気が走るような、覚醒の光が灯ったように見えた――が、すぐにまたフニャンとした表情に戻ってしまう)」
リュウカ「……あら、ミャウリ。なんだか今日のあなたは、とっても勇ましいですわね。まるで、小さな騎士様のよう……ふふ、素敵……♡ ……ところでミャウリ、わたくしの金の扇子、どこへ行ったかしら……? なんだか、あの猫じゃらしが、とっても魅力的に見えるのだけれど……あれで指揮を執ったら、みんなもっと楽しく踊ってくれるかしら……?」
リュウカ「(本気で猫じゃらしを手に取ろうとするリュウカ。ミャウリは絶望の表情を浮かべる)」
ミャウリ「(だ、だめだこりゃ~! 今日のリュウカは、完全にポンコツお嬢様モードだニャ! こうなったら、吾輩が『太夫』の指揮を執るしかないニャ! オーナーシェフにも緊急連絡だニャ! サキ~!スイ~!早く来てくれ~!)」
会員制茶屋「太夫」日本本店・二階バックヤード休憩室 – 午前中。窓から差し込む光は、なぜか虹色に揺らめいて見え、部屋には、今まで嗅いだことのないほど濃厚で、甘く、そして抗いがたいほどに官能的な花の香りが充満している。それは、嗅いだ者の理性のタガを外し、心の奥底に眠る欲望を呼び覚ます、夢魔リリィが仕掛けた「愛の媚薬」そのものだった。
サキ「(ふぁ~あ……なんだか今日は、朝から体がぽかぽかして、気分が高揚してるみたい……。昨日のカスミさんのことも、なんだか遠い夢みたいに感じちゃう……。それより、なんだか無性に、スイ先輩のあの熱っぽい瞳に見つめられたい気分……ぽ♡)」
サキ「(ロッカールームで制服に着替えながら、自分の頬がほんのり赤いのに気づく。そして、なぜか無性に、昨日スイ先輩からもらった深紅のティントを、たっぷり唇に塗りたくなっている自分に気づく。この甘い香り、なんだかすごく心地いい……もっと嗅いでいたい……)」
スイ「(サキの隣のロッカーで着替えを終えたスイが、ゆっくりとサキに近づく。その瞳は、いつも以上に熱を帯び、どこか飢えたように、そしてねっとりとサキを見つめている。彼女の体からは、この部屋を満たす甘い香りとはまた別の、スイ自身の蠱惑的な香りが、より強く発せられているようだ)」
スイ「……サキちゃん……♡ 今日のサキちゃん、なんだかいつもよりずっと……美味しそうニャン……♡ その潤んだ瞳も、ほんのり赤い頬も、そして……その、ぷるぷるして、キスを待っているみたいな唇も……。ねぇ、サキちゃん……もう我慢できないニャ……♡」
スイ「(スイは、まるで獣が獲物に飛びかかる寸前のように、低い声で囁きながら、サキの肩を掴み、壁にドン!と押し付ける。そして、逃げ場を失ったサキの顔に、自分の顔をゆっくりと近づけていく)」
サキ「ひゃああああっ!? ス、スイ先輩!? な、何するんですか!? ち、近い……近すぎますぅ! 今日はなんだか、いつもよりずっと大胆で……私の心臓、もう破裂しちゃいそうですぅ♡」
サキ「(顔を真っ赤にしながらも、スイ先輩の熱っぽい視線から目が離せない。怖いけれど、でも、心のどこかで、この状況を期待していたような、そんな背徳的な喜びを感じてしまう。この甘い香りが、私を大胆にさせてるの……?)」
ハナ「(休憩室のドアを勢いよく開けて入ってきたハナが、その光景を見て目を丸くするが、すぐにニヤリと妖艶な笑みを浮かべる)おやおや~? 朝から随分と情熱的なことでございますこと~♡ スイ先輩、サキたんのこと、本気で食べちゃいそうですわね~♡ いいですわよ~、もっとやっちゃってくださいまし~♡ あ、でも、その前に、わたくしにもサキたんの甘い蜜を、少しだけお味見させてくださらないかしら?♡」
ハナ「(ハナの口調も、普段の明るく元気なものとは違い、ねっとりとした色っぽいものに変わっている。彼女のイエベ春の肌は、興奮で艶っぽく輝き、その瞳は欲望の色に染まっている)」
ユナ「(ハナに続いて入ってきたユナも、とろりとした夢見るような瞳で、スイとサキを見つめている)まあ……♡ スイ様とサキさんが、朝露に濡れた二輪の薔薇のように、熱く絡み合って……なんて美しく、そして官能的な光景なのでしょう……♡ わたくしも、カエデ様のあのたくましい腕の中で、あんな風に……あんな風に……愛し合ってみたいですわぁ……♡」
ユナ「(ユナの頬は林檎のように真っ赤に染まり、その口からは、普段は絶対に言わないような大胆な言葉が、吐息と共に漏れ出ている。彼女のブルベ夏の白い肌は、まるで内側から発光しているかのように艶めいている)」
(その時、休憩室の空気がビリリと震え、部屋中に満ちていた甘い花の香りが、さらに一段と濃厚になった! そして、虹色の光の粒子と共に、まるで夢の中から抜け出してきたかのような、絶世の美女がふわりと姿を現した!
彼女は、腰まで届くウェーブのかかった艶やかな黒髪を持ち、瞳は吸い込まれそうなほど深く、妖しい光を湛えたアメジスト色。薄絹の、体のラインが透けて見えるような扇情的なドレスを纏い、背中からは、まるで夜空を切り取ったかのような、美しい蝶の羽根が生えている。彼女こそが、この甘く危険な香りの元凶、夢魔リリィだった!)
リリィ「あらあら、皆様、わたくしの“香り”は、お気に召していただけましたかしら?♡ ふふ、わたくしはリリィ。愛と快楽を司る夢魔。今日は、この美しい『太夫』の乙女たちと、ちょっぴり刺激的な“遊び”をしにまいりましたのよ♡ 特に……そこの可愛い子猫ちゃんたちと、そして……このお店の支配人様とは、ね♡」
リリィ「(リリィは、サキとスイ、そしてハナとユナに、ねっとりとした妖艶な視線を送り、そして蠱惑的に微笑む。彼女が指をパチンと鳴らすと、休憩室だけでなく、「太夫」日本本店全体に、さらに強力な「愛の媚薬」の香りが広がっていく!)」
**――「太夫」一階・メイドカフェ――**
ミラ「(鬼メイド)ぐおおおぉぉぉ! なんだこの力は! 全身の血が滾るようだぜ! 今なら、どんな客だろうが、一瞬でメロメロにして、チップを山ほど貢がせてやれる気がする! おい、そこのお前! 俺様のこの筋肉美に、ひれ伏しやがれー!」
ミラ「(突然、カフェのテーブルの上で仁王立ちになり、自分の力こぶを客(紳士的な男性)に見せつける! 客は驚きつつも、なぜかミラのその姿に魅了されてしまう!)」
カエデ「(天狗メイド)む……むむむ……! この胸の高鳴りは一体……!? ユナ殿の、あの潤んだ瞳と、柔らかな唇が、脳裏に焼き付いて離れぬ……! おお、ユナ殿! 貴女の全てを、このカエデが受け止めようぞ! 今すぐ、そなたをこの腕に抱きしめたいでござるー!」
カエデ「(いつもは冷静沈着なカエデが、カフェのカウンターで頭を抱えて悶絶し、ユナへの愛を絶叫している! その鼻は、興奮でいつもより少し高くなっている!)」
「太夫」二階・コンシェルジュ専用ラウン
リシア「(クールビューティーなコンシェルジュ)……あら? なんだか今日のわたくし、いつもより頭が冴えわたっているような……いえ、むしろ、思考がとろけて、本能が囁いているような……? そうよ、わたくし、本当はずっと、あの月詠社長の、あの鍛え上げられた肉体と、知的な瞳に、身も心も委ねてみたかったのよ……! 今夜、わたくしから彼を誘って、銀座の夜景が見えるスイートルームで、二人きりの“秘密の美的体験プログラム”を……ふふ、きっと、最高の芸術が生まれるわ♡」
リシア「(リシアは、ホログラム端末を放り出し、うっとりとした表情で窓の外を見つめながら、自分の唇を扇情的に舐めずっている。その銀髪は、いつもより艶っぽく揺れている)」
――そして、支配人室では……――
リュウカ「(猫じゃらしを金の扇子のように優雅に振りながら、今日のVIP客である、隣国の王子(超絶紳士的な美丈夫で、リュウカに密かな想いを寄せている)に、とろけるような甘い声で話しかけている)」
リュウカ「……あらあら、王子様ったら、そんなに熱心にわたくしを見つめて……まるで、砂漠でオアシスを見つけた旅人のようですわね♡ ふふ、わたくしのこの唇、そんなに美味しそうに見えますか? もしよろしければ……ほんの少しだけ、お味見なさいます……?♡ ただし、優しくしてくださいましね? わたくし、とってもデリケートなんですのよ……♡」
リュウカ「(王子の膝の上に、子猫のようにコテンと頭を乗せ、上目遣いで見つめる。その瞳は潤み、頬は上気し、普段の冷静沈着な姿からは想像もつかないほど、無防備で甘えん坊な雰囲気を醸し出している!)」
王子「(ゴクリ……)リュ、リュウカ殿……!? あ、あまりにも……あまりにも、魅力的すぎますぞ……! 私の理性が……もう……!」
王子「(リュウカのあまりの可愛らしさと色香に、完全にノックアウト寸前!)」
ミャウリ「(支配人室の隅で、頭を抱えて絶叫している)だーーーっ! もうダメだニャー! リュウカが完全にポンコツ色ボケお嬢様になっちゃったニャー! 王子も鼻血出す寸前だニャ! このままじゃ『太夫』が、愛と欲望のるつぼになって崩壊しちゃうニャー! サキ! スイ! 早く何とかするニャーーー!」
(バックヤードでは、スイがサキに顔を近づけ、まさに唇が触れようとした瞬間――!)
サキ「――あぁん♡ スイ先輩ったら、そんな熱っぽい瞳でわたくしを見つめないでくださいまし! まるで、熟れた果実を前にした、飢えた獣のようですわ!……でも、その瞳、嫌いじゃありませんことよ…? もっと、わたくしの全てを、その瞳で味わい尽くしてくださっても、よろしくってよ…?♡――」
サキ「(サキの口からも、普段の彼女からは想像もつかないような、甘く、ねっとりとした、そしてどこかお嬢様言葉のようなセリフが漏れ出る! その瞳はとろりと潤み、スイ先輩を完全に誘惑している! ミャウリの『夢魔の誘惑・ちょっぴり耐性アップ』バフも、この強力なリリィの媚薬の前では、もはや風前の灯火だった!)」
スイ「……サキちゃん……♡ あぁ、なんて可愛らしくて、そしてそそる鳴き声なんだニャ……♡ もう、我慢できないニャ……♡ サキちゃんの全てを、あたしがめちゃくちゃに愛してあげるニャン……♡」
スイ「(スイの瞳孔が開き、完全に理性のタガが外れた獣のように、サキの唇に自分の唇を重ねようとする――!)」
――その時だった!
「――そこの助平猫! 私の可愛いサキちゃんに、何しようとしてるのかしらぁ!?――」
(休憩室のドアを蹴破らんばかりの勢いで、カスミが姿を現した! その手には、黒い羽根でできた扇子が握られ、瞳には怒りと、そしてほんの少しの焦りの色が浮かんでいる! 彼女の周りからは、リリィの甘い香りとは異なる、冷たく、しかしどこかスパイシーで刺激的な、独自の媚薬の香りが漂ってくる!)
カスミ「リリィ! あなた、わたくしとの約束を破って、勝手な真似をしてくれるじゃないの! この『太夫』は、わたくしとリュウカちゃんの大切な“遊び場”なのよ! あなたみたいな下品な夢魔に、好き勝手荒らされてたまるもんですか!」
カスミ「(リリィに向かって、鋭い声で叫ぶ! どうやら、リリィはカスミが呼び寄せた、あるいは協力関係にあったが、リリィが暴走してしまったらしい!)」
リリィ「あら、カスミじゃないの。ふふ、少し羽目を外しすぎちゃったかしら?♡ でも、こんなに美味しい獲物がたくさんいるんですもの、我慢できるわけないじゃない?♡ あなたも一緒に楽しまない? それとも……そこの可愛いメイドちゃんは、あなたのお気に入りだったのかしら? 横取りしちゃって、ごめんなさいね♡」
リリィ「(リリィは悪びれる様子もなく、妖艶に微笑む)」
カスミ「黙りなさい! あなたのその下品な媚薬、わたくしの調合した『真実の愛を呼び覚ます至高の媚薬』で、全て上書きしてさしあげますわ!」
カスミ「(カスミは黒い羽根の扇子を大きく扇ぐ! すると、彼女独自の媚薬の香りが、リリィの甘い香りとぶつかり合い、休憩室は二つの強力な媚薬が入り混じる、カオスな空間と化した!)」
サキ「(え……えええええ!? カスミさん!? リリィさん!? 媚薬と媚薬がバトルしてる!? もう何が何だか分かりませんけど、とにかくヤバいことだけは確かですぅ! スイ先輩、助けて……ううん、私がしっかりしなきゃ!)」
サキ「(二つの強力な媚薬の香りに挟まれ、サキの意識は朦朧としながらも、心の奥底で、まだ諦めてはいけないという声が聞こえる!)」
(リリィの「愛と快楽の媚薬」と、カスミの「真実の愛を呼び覚ます媚薬」。二つの強力な媚薬が衝突し、バックヤードだけでなく、「太夫」全体が、かつてないほどの甘く危険なオーラに包まれる! メイドたちは、ある者はさらに欲望を剥き出しにし、ある者は突然純粋な愛に目覚めて涙し、ある者は混乱して奇声を上げ始める! まさに阿鼻叫喚、愛と欲望の大狂騒曲!)
リュウカ「(支配人室で、王子の腕の中でうっとりとしていたリュウカだったが、二つの媚薬の衝突による強烈なエネルギー波を感じ取り、ほんの一瞬だけ、瞳に正気の光が宿る!)」
リュウカ「……ん……? な、なんですの……この、とてつもない……愛の……嵐は……!? わ、わたくしとしたことが……何を……!?」
リュウカ「(しかし、すぐにまたリリィとカスミの媚薬の影響を受け、今度は王子に向かって「王子様……わたくし、あなたの騎士道精神に、身も心も捧げたいですわ……♡」などと、支離滅裂な純愛モードに突入してしまう!)」
ミャウリ「(絶望!)だーーーっ! もう本当にダメだニャー! カスミの奴、余計なことしやがって! 二つの媚薬が混ざって、もっと手がつけられなくなっちゃったニャ! こうなったら……こうなったら……吾輩の最後の手段を使うしかないニャ!」
ミャウリ「(ミャウリは涙を振り払い、決然とした表情で、自分の首につけられた小さな鈴を、前足で強く打ち鳴らした! チリンチリ~~~ン!!! と、清らかで、しかしどこか物悲しい、神聖な鈴の音が、「太夫」全体に響き渡る!)」
ミャウリ「『聖獣ミャウリの最終奥義! 全ての媚薬効果を一時的に中和し、対象者の最も純粋な“愛”の記憶を呼び覚ます、エンジェル・リン・リン・ヒーリングニャーーー!!!』」
(ミャウリの鈴の音と共に、黄金色の優しい光が「太夫」全体を包み込む。すると、あれほどまでに強力だったリリィとカスミの媚薬の香りが、まるで嘘のようにスッと消え去り、代わりに、それぞれの心の中にある、最も大切で純粋な「愛」の記憶が、ぼんやりと蘇ってくるような、不思議な感覚に包まれる――)
スイ「(サキの唇を奪おうとしていたスイは、ハッと我に返り、自分の行動に愕然とする。そして、脳裏に蘇るのは、まだ新人だった頃のサキの、一生懸命な笑顔と、初めて自分を「先輩」と呼んでくれた時の、あの温かい記憶だった)」
スイ「……サキ……ちゃん……。ごめん……あたし……」
サキ「(スイの腕の中で、とろけていたサキも、鈴の音と共に意識がクリアになる。そして、スイ先輩の、いつも自分を見守ってくれる優しい眼差しと、時折見せる寂しそうな横顔が、鮮明に思い出される)」
サキ「……スイ先輩……。私……」
(他のメイドたちも、コンシェルジュたちも、そして支配人室のリュウカと王子も、皆、一様に動きを止め、それぞれの心の中にある「何か」に思いを馳せているかのように、静まり返る――)
リリィ「……あら? この感覚……なんて心地よくて、そして……ちょっぴり切ないのかしら……? わたくしとしたことが、こんな気持ちになるなんて……」
リリィ「(リリィも、ミャウリの鈴の音に影響を受け、その妖艶な表情に、どこか戸惑いと、そしてほんの僅かな純粋さが浮かんでいる)」
カスミ「……チッ。あの聖獣……余計なことを……。まあいいわ、今日のところは、これで引き上げてあげる。でも、リュウカちゃん……そして、そこの可愛い子猫ちゃん。私たちの“遊び”は、まだ始まったばかりよ…?♡」
カスミ「(カスミは忌々しげに呟くと、黒い羽根の扇子を一振りし、煙のように姿を消した。リリィも、それに続くように、名残惜しそうに微笑みながら、ふわりと姿を消した)」
ミャウリ「(ぜぇ…ぜぇ…)やったニャ……。なんとか……追い払ったニャ……。でも、MP完全に使い果たしたニャ……。もう、一歩も動けないニャ……。リュウカ……今日のデザートは、世界中の全種類のプリンアラモードじゃないと、絶対に許さないニャ……」
ミャウリ「(その場にへたり込み、完全に燃え尽きたミャウリ。しかし、その顔には、やり遂げた満足感が浮かんでいる)」
リュウカ「(支配人室で、ハッと我に返るリュウカ。自分の状況(王子の膝枕で寝ていた!?)と、ミャウリの最後の力を振り絞った鈴の音を感じ取り、全てを理解する)……ミャウリ……! ……ありがとう……。そして……申し訳ありません、王子。わたくしとしたことが、とんだ醜態を……」
リュウカ「(顔を真っ赤にして王子から飛び起きるリュウカ。その姿は、いつもの威厳ある支配人ではなく、ただの恥じらう一人の乙女だった)」
(「太夫」日本本店は、こうして聖獣ミャウリの命がけの活躍により、かつてない危機を乗り越えた。しかし、リリィとカスミという二つの脅威は去ったわけではなく、そして、ミャウリの鈴の音が呼び覚ました、それぞれの「純粋な愛の記憶」は、乙女たちの心に、新たな波紋を投げかけることになる――)
(サキは、スイ先輩の顔をまともに見ることができないまま、ただ、自分の胸の奥で、甘く、そして少しだけ切なく高鳴る鼓動を感じていた。ミャウリ様の鈴の音が呼び覚ました記憶は、一体何だったのだろうか? そして、スイ先輩は……? 「太夫」の甘く危険な日常は、新たな謎と、そして深まる想いを乗せて、まだ続いていく――)
ふふふ