表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/34

第16話 ♡『週末の甘い余韻と、内緒のメイクアップ講座♡』

「――昨日のスイ先輩、本当にびっくりしたけど……でも、ちょっとだけ、いつもと違う先輩の姿を見られたのは、なんだかドキドキして、嬉しかったな……。熱、ちゃんと下がったかな……? 今日は土曜日! 『太夫』も週末モードで、いつもよりお客さんも多いかもしれないけど、なんだかワクワクする! そういえば、ハナ先輩が『とっておきの週末キラキラメイク術』を教えてくれるって言ってたっけ! ユナさんと一緒に、こっそり教えてもらっちゃおうかな? スイ先輩にも、可愛いって思ってもらえたら……えへへ♡――」


土曜日の朝。「太夫」日本本店のバックヤード休憩室は、週末特有の華やかで活気のある空気に満ちていた。窓から差し込む柔らかな朝日が、メイドたちの楽しげな笑い声と共に、キラキラと部屋を照らしている。

サキは、昨日のスイの unexpected な出来事の余韻を胸に、少しだけ頬を上気させながら開店準備を進めていた。スイの体調は、今朝リュウカから「もうすっかり回復なさいましたわ。今日はいつも通り、元気に出勤されていますよ」と聞き、心の底からホッとしていた。と同時に、昨日の自分に甘えてくれたスイの姿を思い出すと、心臓がきゅっと甘く痛むのを感じる。


**【リュウカとミャウリの週末 ~穏やかな陽射しと、乙女たちの輝き~】**


ミャウリ「(リュウカの執務室の陽だまりで、気持ちよさそうにゴロゴロと喉を鳴らし、満足げにふさふさの尻尾を揺らしている。昨日スイのロッカーから失敬したマタタビ入りカミカミ棒の余韻に浸っているようだ)くふふ~……。リュウカよ、今日は実に素晴らしい週末の始まりじゃニャ。昨日のスイの件は、なかなかの見ものであったが、おかげでサキとの絆も一段と深まったようじゃし、吾輩の懐もちょっぴり潤ったし、まさに一石二鳥、いや、一石三鳥ニャ!」

ミャウリ「(ふと、水晶玉を取り出し、それを覗き込むように目を細める)今日の『太夫』バックヤードの『乙女たちのキラキラ度&美容トーク炸裂指数』は、文句なしの星5つ満点☆☆☆☆☆じゃニャ! 特にハナのやつ、今日は何かとっておきの秘技を、サキとユナに伝授するつもりのようじゃな。そして、サキには…『新たな魅力開花&先輩からのドキドキお褒めの言葉ゲット確率:88%』! これは、またまた可愛らしいサキの新たな一面が見られそうな、実に胸躍る予感じゃワイ! スイの奴も、昨日の借りを返すべく、今日はいつも以上にサキに優しく接するやもしれんニャ。……あるいは、照れ隠しで、さらに意地悪になるかニャ? ぐふふ、どちらに転んでも面白そうじゃ!」

ミャウリ「今日の吾輩からのスーパーウルトラデラックスバフは、『週末エンジョイオーラMAX&誰よりも可愛くなれちゃう魔法ニャ!』だ! 今日という一日を、思いっきり楽しむのじゃぞ、乙女たちよ! そして、美味しいお土産も期待しておるからのう!」


リュウカ「(ミャウリの機嫌の良い様子に、優雅な微笑みを浮かべ、手にしていた古い詩集から顔を上げる)まあ、ミャウリ。あなたは本当に楽しそうですわね。乙女たちが美しくあろうと努力する姿は、いつ見ても微笑ましいものです。ハナさんのメイクアップ講座、きっとサキさんやユナさんにとって、新しい発見と自信に繋がる、素敵な時間になることでしょう」

リュウカ「(窓の外の、いつもより少しだけ賑やかな週末の銀座の風景に目を細め、静かに続ける)週末は、普段とは違う自分を見つけられる、特別な時間。今日の『太夫』が、訪れるお客様にとっても、そしてここで働く皆にとっても、心満たされる、輝かしい一日となりますように。…サキさんとスイさんの、あの可愛らしい物語の続きも、わたくし、そっと楽しみにしていますわ。まるで、お気に入りの連続ドラマの次回を待つような気分ですのよ、ふふ」


**【会員制茶屋「太夫」日本本店・バックヤード休憩室 – 土曜日の秘密のレッスン】**


(開店前の少し落ち着いた時間帯。休憩室の大きな鏡の前では、ハナがサキとユナを両隣に従え、まるでカリスマ美容系インフルエンサーのように、目をキラキラと輝かせながら熱弁を振るっている。テーブルの上には、ハナの私物であろう、色とりどりの可愛らしいコスメポーチや、キラキラとしたコンパクト、様々な形のメイクブラシなどが所狭しと並べられている)


ハナ「いい? サキたんもユナぴょんも、よーく聞いといてよね! 今日は、このハナ様が直々に伝授する、週末限定!『一瞬で視線を独り占め♡うるツヤ愛されフェイスの作り方・超絶裏ワザテクニック』だからね! これをマスターすれば、気になるあの人も、思わずドキッとしちゃうこと間違いなしなんだから!」

ハナ「(いつにも増してテンションが高く、手にはハート型の可愛らしい手鏡を持ち、身振り手振りを交えながら熱く語っている。その瞳は、獲物を見つけた猫のように爛々と輝いている)」


サキ「は、はいっ! ハナ先輩、よろしくお願いします! わ、私、メイクとか全然詳しくなくて、いつも同じような感じになっちゃうので、ぜひ教えていただきたいです!」

サキ「(少し緊張しながらも、期待に胸を膨らませ、真剣な表情でハナの言葉に頷く。昨日のスイ先輩のことが頭から離れず、少しでも可愛くなりたい、という乙女心が、いつも以上に強く芽生えているようだ)」


ユナ「まあ、ハナ様のメイクアップ講座ですのね! わたくし、人間界の『キラキラメイク』というものに、ずっと憧れておりましたの! 本日はたくさん学ばせていただきますわ! どうぞよろしくお願いいたします!」

ユナ「(目を輝かせ、まるで初めて見るお祭りに来た子供のように、ワクワクとした表情を隠せない。その純粋な好奇心と向上心は、ハナにとっても教え甲斐がありそうだ)」


ハナ「うふふ、二人とも素直でよろしい! それじゃあ、まずはベースメイクからね! ポイントは、素肌感を残しつつ、内側から発光するような『生ツヤ肌』を作ること! そのためには、この魔法の『オーロラパール入りプライマー』を、こーんな感じで、顔の中心から外側に向かって薄ーく伸ばして……。ほら、見てみて! これだけで、お肌に透明感と立体感が出て、一気に垢抜けフェイスになるでしょ?」

ハナ「(実際に自分の手の甲にプライマーを塗ってみせながら、プロ顔負けのテクニックを披露する。その手つきは驚くほど滑らかで、サキとユナは食い入るように見つめている)」


サキ「わぁ……! 本当です! ハナ先輩の手の甲が、なんだかキラキラして見えます! すごい……!」

サキ「(思わず感嘆の声を上げる。ハナの言葉の一つ一つが、まるで魔法の呪文のように聞こえる)」


ユナ「まあ、本当に美しい輝きですわね……! これが、人間界の『美の魔法』なのですわね……! わたくしの故郷の『妖精の粉』にも似た、神秘的な力を感じますわ!」

ユナ「(目を丸くして驚き、その効果に感動している。彼女にとっては、見るもの聞くもの全てが新鮮で、興味深いようだ)」


(ハナは得意げに微笑み、次にアイメイクのポイントを熱く語り始める。週末らしい華やかさを演出しつつも、やりすぎ感のない、絶妙な抜け感のある目元の作り方、涙袋をぷっくり見せるテクニック、そしてサキとユナそれぞれのパーソナルカラーに合わせたアイシャドウの選び方など、実践的なアドバイスが続く)


ハナ「サキたんは、その可愛らしい桜色の髪と優しい雰囲気に合わせて、春らしいコーラルピンクや、ふんわりとしたピーチブラウンのアイシャドウが絶対に似合うと思うな! 目尻にちょこっとだけ、キラキラのラメを乗せると、うるうるした子犬みたいな瞳になって、守ってあげたくなっちゃう感じになるよ♡」

ハナ「ユナぴょんは、その透き通るような白い肌と黒髪には、涼しげなラベンダーとか、透明感のあるアイスブルーのアイシャドウがおすすめ! 神秘的で儚げな、まさに天女様みたいな雰囲気がマシマシになること間違いなしだよん!」


サキ「(ハナのアドバイス通りに、コーラルピンクのアイシャドウを自分の目元にそっと乗せてみる。鏡に映る自分の顔が、いつもより少しだけ華やかで、優しい印象になった気がして、自然と笑みがこぼれる)わぁ……なんだか、私じゃないみたいです……! でも、すごく嬉しい……!」


ユナ「(ハナに選んでもらったラベンダー色のアイシャドウを、恐る恐る、しかし嬉しそうに試している。鏡の中の自分が、いつもより少し大人っぽく、そしてミステリアスな雰囲気を纏っているのを見て、照れくさそうに微笑む)まあ……わたくしにも、このような色が似合うのですね……。新しい自分を発見できたようで、とても嬉しいですわ!」


(そして、話は自然とリップメイクの話題へ。サキが、昨日スイから「お守り」として借りている深紅のティントのことを思い出し、少し顔を赤らめながらハナに相談する)


サキ「あの……ハナ先輩。実は私、昨日スイ先輩から、この……深紅のティントを、お守りだって言って、お借りしたんですけど……。すごく綺麗な色なんですけど、私なんかが使っても、似合うのかどうか、ちょっと自信がなくて……」

サキ「(ポーチから例のティントをそっと取り出し、少し不安そうな表情でハナに見せる。スイ先輩との大切な思い出が詰まったそのティントを、どう使えばいいのか悩んでいるようだ)」


ハナ「(そのティントを一目見るなり、目を大きく見開いて、食い入るように見つめる)ちょ、ちょっと待ってサキたん! これって、もしかして、あの幻のブランド『ノクターン・キス』の、限定発売で即完売したっていう、伝説の『深紅の運命ルージュ・ファタール』じゃないの!? え、嘘でしょ!? なんでサキたんがそんな激レアアイテム持ってるわけ!? しかもスイ先輩から借りたって……ど、どういうことなのー!? ねぇ、詳しく聞かせてよぉ~!」

ハナ「(興奮のあまり、サキに詰め寄り、質問攻めにする。その目は、ゴシップレーダーが最高潮に達した時の、キラキラとした輝きを放っている)」


ユナ「まあ……! あの、スイ様が大切にされているという、特別なティントですのね……! きっと、サキさんにこそ相応しいと、スイ様もお思いになられたのでしょう。その深紅は、まるで二人の熱い想いを象徴しているかのようで……本当に素敵ですわ……!」

ユナ「(ロマンチックな想像を膨らませ、うっとりとした表情でサキとティントを交互に見つめる)」


サキ「え、えっと……それは、その……色々と事情がありまして……。で、でも、このティント、私なんかが使っても大丈夫なんでしょうか……?」

サキ「(ハナの勢いにタジタジになりながらも、スイ先輩の想いが込められている(かもしれない)ティントを、大切に使いたいという気持ちが強い)」


ハナ「もー、サキたんは心配性なんだから! 大丈夫だって! そのティントは、サキたんの透き通るような白い肌と、優しい雰囲気に絶対に似合うよ! ポイントは、唇全体にベタッと塗るんじゃなくて、唇の中央にポンポンと乗せて、指で優しくぼかす感じ! そうすると、内側からじゅわっと血色感が滲み出るような、ピュアで色っぽい唇になれるから! 今すぐ試してみて!」


(サキは、ハナに励まされ、意を決して深紅のティントを自分の唇にそっと乗せてみる。鏡に映る自分の唇が、いつもとは違う、少し大人びた、そしてどこか妖艶な魅力を放っているのを見て、ドキッとする。そして、その瞬間、バックヤードのドアが静かに開き、私服姿のスイが、少し眠そうな、それでいてどこか機嫌の良さそうな表情で入ってきた)


スイ「……ん? 何か騒がしいニャ。……おや、サキちゃん、今日のあんた、なんだかいつもと雰囲気が違うニャいか? その唇……もしかして、昨日あたしが貸した、あの『お守り』、早速使ってみたのかニャ? ……ふーん、なかなかどうして……。思った以上に、似合ってるじゃニャいか。……悪くニャいぞ♡」

スイ「(サキの唇に塗られた深紅のティントにすぐに気づき、ニヤリと口角を上げて、少し意地悪そうに、しかしその瞳の奥には確かな満足感と優しさを滲ませながら、サキの顔を覗き込むようにして囁く。その声は、昨日よりもずっと元気で、いつもの艶っぽさが戻っていた)」


サキ「(スイの突然の登場と、至近距離からの甘い囁きに、心臓が飛び跳ねるように大きく高鳴り、顔がカッと熱くなるのを感じる。スイ先輩に「似合ってる」なんて言われて、嬉しくて、恥ずかしくて、どうにかなってしまいそうだ。言葉が出てこず、ただただスイの美しい瞳を見つめ返すことしかできない)」


(ハナとユナは、そんな二人の甘酸っぱすぎる空気を察し、ニヤニヤと楽しそうな笑みを浮かべながら、そっと視線を逸らす。バックヤード休憩室は、週末の華やかな期待感と、秘密のメイクアップ講座のキラキラとした高揚感、そして、スイとサキの間に流れる、言葉にならない甘い予感に、優しく包まれていた)


(――土曜日の朝。「太夫」のバックヤードでは、乙女たちの美への探求心と、週末へのときめきが交錯し、新たな魅力が開花する、特別な時間が流れていた。ハナのメイクアップ講座は、サキとユナに新しい自信を与え、そしてスイの登場は、サキの心に、忘れられない甘い記憶と、さらなるドキドキを刻み込んだようだ。このキラキラとした週末が、彼女たちにとって、どんな素敵な出来事を運んでくるのだろうか――それは、甘いリップの香りと共に、優しく、そして確かに紡がれていく、愛おしい日常の物語)


(休憩室の片隅で、ハナが自分のスマホでこっそりとスイとサキのツーショット(サキが真っ赤になっている決定的瞬間)を激写し、「今日のベストショット、ゲットだぜ! これは後で『太夫裏速報』アカウントで限定公開しちゃおっかな~♡ #スイサキ尊い #週末の予感 #太夫バックヤード」とほくそ笑みながら、SNS投稿の準備を始めているのを、聖獣ミャウリだけが、全てお見通しといった表情で、面白そうに眺めているのだった――)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ