おまじない
おまじないというかお願いしても何も変わらないよ。
「星音、一緒に帰ろ」
「うん」
蝶華くんも普通だよね。時間が経ってから効果があるとかかも知れないから様子を見ておいた方が良いのかな。
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何か変わるっていうか、むしろ悪化しているんじゃないかな。部室出てから一言も喋らない。
「星音、上に何かいるんだけど」
「そうなの?何も見えないよ」
「何か振りかけてる。怪しい薬?」
「何それ怖い」
見えない分余計に怖いよ。何を振りかけてるんだろう。
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もう直ぐ寮に着くけど、すごく眠い。さっきまではそんなに眠く無かったのに。
「ふぁぁぁ」
「眠そう」
「うん」
「部屋まで我慢できる?」
「むり」
「せめて寮までは我慢して」
「頑張る」
寮に着く事は出来たけど、部屋まで行くのは無理なくらい眠い。
「ここで少し寝て良いよ」
「でも」
寮の共同スペースにあるソファで寝るのはだめなんじゃ
「大丈夫だよ。ちゃんと説明しておくから」
「うん」
説明しただけで良いのかとは思うけど、もう眠いから寝る。
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星音、ぐっすり寝てる。
「星姫に金神、もう帰ってきていたのですか」
「はい。珍しいですね。姿見せるなんて」
星音はまだ会った事がないんだよね。色々と噂があるけど、その噂と同一人物とは思えないメガネをかけた優しそうなお兄さんって感じのこの人。
この人が寮長の神皇さん。
「最近噂の精霊の呪いですか。布団を持ってきます。かけてあげてください」
「ありがとうございます」
「気をつけてくださいね。星姫は代々こういうものに好かれやすいですから。守ってあげなければ大変な事になりかねません」
「それ僕の事言ってます?」
「どうでしょう?」
寮長さんはここにいる全員の事情を把握しているらしい。
「蝶華くんしゅきゅにゃぃちて」
これ宿題してって言ってない?
「なちゅやちゅーのちゅきゅにゃぃじぇんびゅちてー」
「やるわけないじゃん。じぶんでやりなよ」
まだ夏休みじゃないっていうのは置いといて全部やってあげるわけないじゃん。
「だきゅまきゅりゃー」
「ぐぎゃ⁉︎」
「あっ」
精霊を抱き枕だと思って捕まえたよ。
「ふー、出れた」
「……」
とりあえず近くにあった紐で縛っとけば逃げないよね。
虫籠とかあれば良いんだけど。
「あの、なんでもするんでこれ解いてください」
「逃げないなら解くけど、保証ないから無理」
「あの子から離れられないので逃げません」
「姿を消すのも無しだから」
「わかっております」
僕が星音の告白を受け入れない限りは離れられないし解いてもいっか。
「ありがとうございます」
「星音起こして」
「そのうち起きると思います」
「じゃあ、質問に答えて」
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起きたら小さな男の子がいるって経験した事ある人いるのかな。
なんか小さな男の子がいるの。
「恋に悩む女の子に夢を見せてあげたかっただけなのに」
この小さな男の子が精霊さんなのかな。悪気は無かったのかも。
「どうして別れさせたの?」
「知りません。何故かみんな別れたんです」
別れる原因を知るには実際に付き合ってみたら良いのかな。本当にじゃなくて、体験みたいな
それでも分かるのか分からないけど。
「蝶華くん、恋人になって。そうしたら別れる原因分かるかもだから」
「いつ起きたの?その返事したら精霊が逃げるからいやなんだけど」
「逃げません。お約束します」
「……良いよ」
恋人になるのは出来たけどどうすれば良いんだろう。デート?とかっていうのをやれば良いのかな。