飼い猫の一日 最終話元に戻れました
「空姫は僕の家の使用人の子なんだよ。もっと早く言うべきだったけど、家の都合で友達になったって思われて欲しくないって言われていて言うのが遅くなったんだ」
猫語通じるのかな。じゃなくて、そんな事情があったんだ。
「にゃぁーー(空姫ちゃんはお友達だよ。お家関係ないよ)」
「か、可愛い」
「空姫にも動物語翻訳機渡してるから分かるでしょ」
「蝶華、それ星音に内緒って」
「……あっ」
そんな機械あるなんて。欲しい。
「私も、星音ちゃんが理事長様のご令嬢とか関係ないよ。初めは蝶華くんの話を聞いていただけだけど、その時からずっと友達になりたいって思ってたの」
「こんな可愛い子と許嫁とかずるい。代われとかも言ってたけどね」
「にゃぁ?(女の子同士じゃ結婚できないよ?)」
「……言っても良い?」
「星音ちゃん以外この部活のみんなには知られてる事だから良いよ」
「空姫は男の子だよ」
えっ⁉︎
ずっと女の子だと思ってた。髪が長いとかそういうのじゃなくて、制服女の子用だから。
「星音ちゃんにどんな服着せようか考えていたら趣味になっちゃって。星音ちゃんは人見知りで自分で魔法を使う事ができないからあの寮にも入れられない。だから、誰かが側で守らないとってなって私がやりたいって言ったんだ」
「にゃ」
「本当の名前神皇戯黒っていうの。空姫はお母様の旧姓」
神皇って寮長さんの……って事は空姫ちゃんは寮長さんの妹?
「にゃぁ?」
「そうだよ。全部言ったし私も部活入ろうかな」
「にゃ?(他の部活入ってるんじゃ)」
「体験だよ。まだ体験期間だから」
そうだった。今って部活体験期間。自分が入っていたから忘れてた。
「お兄様と同じ部屋にするから言ってくるよ」
「にゃぁ」
「いってらっしゃい」
空姫ちゃんにそんな秘密があったなんて。
「勉強会終わったし帰ろっか」
「そうだな」
******
寮に帰る途中で動物愛部の部長さんに会った。
「貴方達の言っていた事本当だったわ。その子、元に戻すわ」
「にゃぁ」
部長さんに元に戻してもらった。別れる前に猫にした事謝られたけど知らなかった事知れて月華くんにお世話してもらって良い生活送っていたからお礼言いたいくらいなんだけど。
「蝶華くん、月華くんお世話ありがと」
「それやめろ」
「にゃ?……なにを?」
「昔みたいに呼んで欲しい。初めて寮行った時はそうだっただろ」
「……月華」
「ずるい。僕も」
「……蝶華、月華ありがと……にゃぁぁぁー!」
なんだか恥ずかしくなって一人で走って寮に帰っちゃった。
先に帰っていた空姫ちゃんに何かあったのかって気にされたけど言えなかった。