不思議な世界で迷子
……えっと、結論から言うね。絶賛迷子中でーす♡
どうして迷子になってるか教える前にこのテンションについては触れないで欲しいの。
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蝶華くんと月華くんはお金になるものがあるかどうか探してここから出るっていう目的は忘れていると思うの。
「月華、ここにいっぱいあるよ」
「ここにもある」
「二人ともここから出ようと思わないの?」
「その前に取れるものを取らないと」
「蝶華、こっちにもなんかある」
朝からずっとこんな感じ。二人ともここから出る事考えて欲しいよ。
「こっちにも見た事ないのあるよ」
「この宝石とか高そう」
こんな感じでずっとお金になりそうなもの探していたからいざここから出ようとした時に迷子になったの。
「こっちじゃない?」
「こっちから来ただろ」
「行ってみる?」
迷子になっているって自覚ないのかな。全然危機感がない気がするの。
「星音、疲れてない?」
「疲れてない」
「少し休憩する?」
「早く出たい」
「お菓子あるよ」
「休憩する」
「えっ、お菓子?用意してたの?」
「うん。月零に前にもらったの持ってきた」
「………俺いらね」
月零くんって月華くんのお兄ちゃんなんだよね。なんでここまで信用ないんだろう。
「星音、一緒にお菓子食べよ」
「うん」
「紅茶もあるよ」
「……うん」
「苦手?」
「うん」
紅茶は飲んだ事あるけど苦いから苦手。ていうか、つい釣られちゃったけどこんなにのんびりしていて良いのかな。
「じゃあ、ジュースもあるからそっち渡すよ」
「ありがと」
なんか本当に休憩と言いつつお菓子食べる事になっちゃってる。でも、美味しいし今は何も考えずにお菓子食べてよっと。
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お菓子食べ……休憩してから出る方法を探した。
今度はちゃんと探したんだよ。
「そういえば学園連絡」
「しなくても理事長がどうにかしてくれているよ」
「いつもこういう事あった日は出れた次の日まで休みにしてくれてるんだ」
「そもそもここじゃ連絡なんてできないからね」
そういえば今って何時なんだろう。さっき休憩した時に時間見ておけばよかった。
「まだお昼にもなってない」
結構歩いている気がするのに。夜寝るのが早くて朝が早かったからなのかな。
「えっ、僕の時計昼だけど」
「俺夜」
「えっ」
三人で時計を見せ合う。全員時間が違う。
「この時計って狂わないんじゃなかったの?」
「そのはずなんだけど」
「壊れた?」
「動いてるから壊れてはねぇだろ」
どうしてなんだろう。絶対に狂わないっていう時計を学園入学時にもらってつけていたの。
今まで一度も狂った事なんてない。秒単位で。
「ここでれば元に戻るかもだからここでは誰か一人の時計で時間を決める?」
「なら星音だな」
「うん。昨日から星音が時計見ていたからね」
「……あれ?そういえば昨日って寝たの何時だっけ?六時?」
「八時くらいじゃなかった?」
「十時……星音の時計遅くない?」
さっきは早い時間って言っていたけど、記憶違いだったみたい。でも、どうして早く寝たって思ったんだろう。
「星音、手」