不思議な世界
「可愛い……猫?」
「うさぎ」
「うさぎはもっと耳長くて尻尾短いだろ」
「えっ⁉︎そうなの⁉︎」
うさぎ、可愛いと思うけど見た事ないの。見てみたいのに、どこにいるんだろう。
「……知らねぇのか?」
「うん」
「今度一緒に見にいこっか」
「うん」
みんなで一緒にうさぎを見に行くの楽しみ。
「それにしても、そろそろ夜だけど寮長来ないね」
「うん。忙しいのかな」
「忘れてるかもだから月零に連絡してみる」
月華くんが月零くんに連絡しようとしていると突然部屋がピカって光った。
「きゃっ⁉︎」
「星音、靴」
「う、うん」
蝶華くんに言われて咄嗟に靴を手に取ったの。そのおかげで靴無しって事は免れた。
「とりあえず靴履こっか」
「うん」
突然見知らぬ場所に飛ばされたなんて事になっているのになんでこんなに冷静なんだろう。
やっぱり慣れなのかなぁ。
「月華、どっち行く?」
「真っ直ぐ」
「えっ、看板に右って書いてあるけど」
目の前に矢印看板があるの。それに右以外道なさそう。
見渡す限り緑で自然豊かな場所なのかなって感じなんだけど、見た事ないような生物とかいるの。
えっと、耳が長くて真っ白で可愛い動物とか耳が丸くて小さくて真っ黒で尻尾がハート型の動物。
「星音、あれがうさぎだよ」
「えっ?あの黒いの?」
「白い方。耳が長くて真っ白な小動物」
……真っ白い方はうさぎだった。
「こっちの黒い子は?」
「知らない。見た事ないし、この世界の固有生物じゃない?」
「どっちも可愛い」
撫でてみたいけど危ないかもしれないから我慢しないと。
「なんか良いのないね」
「もう少し探してみようぜ」
「うん。探してみよ」
二人とも目的がお金稼ぎになってる気がする。
ここから出る事の方が重要じゃないのかな。
「星音、こっち行ってみよ」
「うん」
そういえば、蝶華くん達って時々何日か休んでいるの見た事あるけど……そんなわけないって思いたいよ。
聞いてみれば分かる事だけど、ここに何日もいる事になるかもしれないっていう事を知りたくない。
「月華、サバイバルグッズ持ってきてる?」
「ああ」
「そろそろテント用意しない?」
「そうだな」
今日はここで外泊決定みたい。寮の中のふかふかベッドで寝たいー。
というか、外でテントで寝るのはやだ。
「星音、この中で寝るよ」
「うん」
「慣れれば気にならないよ」
「うん」
「眠い?」
「うん」
ここにきてからしばらく探索して今十時。いつもならもう寝ている時間。
ここは明るくて時間が分からなくなるけど、眠いのは変わらないの。
「じゃあ一緒に寝よ」
「うん」
もう何も考えたくないくらい眠い。いつもならこんなところで寝るなんていやっていうけど、もう寝れるならどこだって良いやって思い始めてる。
「星音が真ん中ね」
「うん」
「おやすみ」
「うん」
「星音、さっきからうん以外言ってねぇだろ」
「うん」
「星音って夜ふかしした事無さそうだから仕方ないんじゃない」
「うん」
正直こんな状態じゃなかったら絶対いやだけど、眠さもあってここでも寝れそう。
みんな、おやすみなさい。
明日には元に戻ってますように。