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彼氏の寝言

作者: 青木りよこ

「みさきと心中したい」


付き合って三年になる彼氏がそんな不穏な寝言を口にしました。

ちなみに私の名前はみさきじゃありません、真由です。

どう問い詰めてやろうかとここ一時間考えていますが、いい案は浮かびそうもありません。

そもそも寝言、憶えてない可能性の方が高い。

みさき、みさきって誰よ?

それも心中。


私の彼氏は数ある選択肢の中でそんな文学的な死に方を選ぶような情緒のある男ではない。

質より量な男だし、道行の意味すら分かってなさそうだし、来世にも期待してなさそう。

そして、これ重要、浮気をしてるとはとてもじゃないが思えない、それに尽きる。

これは私に対して一途とかいうんじゃなく、彼の気持ちに私が絶対の自信を持ってるとかでもなく、そんな元気な男じゃない、圧倒的にそれ。

いつも流れるまま、無駄な抵抗をせず生きていたいと思っている男で、優しく、でも何考えてるか時々わかんなくて、でも人を裏切ったり騙したりする人間じゃない。


聞いてみるか。

ちょっと待ってよ、しんじゅうが心中とは限らないのでは?

神獣、臣従、新庄?

美咲 岬、三崎、三橋?

あれ、考えてみたら女子とは限らないんじゃ。

でもないな、とにかく複雑な感情のない男なんだよね、たまに読めないなって思うけど、脳内の色は混じりけのない白というか単色なんだよね。


「みさきとしんじゅうしたい」


ひょっとして私の彼氏、私のこと心の中でみさきって呼んでたりする?

でも心中したいかな?

だってこのままいったら大学卒業して就職したら結婚するんだろうし、心中する理由なくない?

私死にたくないし、死ぬ理由ないし、まさか金銭トラブル、ないない。

死ぬなら私とって思ってたりするかな。

嫌、あいつは一度も自分から死のうなんて考えたこともないな、前向きだし、寧ろ前しか見てないし。

もう聞こう。

望む答えじゃなくても、もやもやして一人で考えてるよりずっといい。


「ねえ、匠。あんた昨日寝言でみさきとしんじゅうしたいって言ったんだけど憶えてる?」


寝っ転がって漫画を読んでいた男は顔を私の方へ向けて首を傾げた。


「全然憶えてない」


「何か夢とか見てたんじゃないの?」


「わかんない」


「みさきって誰?」


「さあ」


「ちなみに私と心中したい?」


「したくない」


「あ、そう」


「真由がいるのに死ぬ必要ないだろ。ずっと生きる」















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