死ぬ瞬間、何を考える?
この間、自分が死ぬ夢を見たわ。
夢やけど、超リアルに感じた。
それは、本当に死ぬ瞬間と変わらんと思う。
死ぬ瞬間、わしは何を考えたか?
わしは、どこかわからないが、白い大きな建物の中にいる。
その建物の大きな窓際に立って、外の芝生を見ていた。
すると、突然、大きな白いものが芝生の上に落ちた。
直径10mぐらいの大きさだ。
その白いもはバウンスして、こちらに飛んでくる。
そして、建物を壊す。
壊れたのは、わしのすぐ横だった。
建物の半分が崩れた。
わしは、崩れた反対側にいたから助かった。
もちろん、崩れたところに人はいた。
建物が崩れて空が見えている。
つまり、そこにいた人は、建物のがれきに押しつぶされて死んだ。
それをみて、「運がないのー」と思った。
悲しくもなく、完全に他人事だった。
そして、また、芝生の方を見た。
すると、今度は火の玉が見える。
さっき見た白いものは、飛行機のエンジンだったようだ。
今度は、飛行機が火の玉になって突っ込んでくる。
逃げる暇なんてない。
完全に、死を覚悟した。
その時、わしは何を思ったか?
わしは、最後に、「後悔」が頭に浮かんだ。
アニメで人が死ぬ時に、走馬灯のように、自分の人生が頭に浮かぶシーンがよくある。
だが、わしは、自分の人生より、後悔が最後に頭に浮かんだ。
わしの後悔とは?
わしは、「金なんて、ためるんじゃなかった」と後悔した。
意味が分からんと思う。翻訳すると、人は将来に備えて貯金する。
もし、貯金せずに使えば、美味しいものをたべたり、楽しい思いができるかもしれない。
だが、将来にそなえてお金を貯める。
つまり、金をパーっと使えばよかったと後悔した。
そして、わしの後悔は、たったその一つだけだった。
人間、自分の本当の考えに気づかないこともある。
わしが本当に考える最後は、後悔のようや。
これは、夢やけど、目覚めてからも考えさせるものがあったわ。
一応、後悔しないようにいきているつもりやけど。
とはいえ、あの夢を見た後でも、パーと金を使う気にはなれんな。
今の日本では、金がなくなったら、外国人は助けられるが、日本人は餓死せなあかんからな。
まったく理不尽や。
さて、この夢には続きがある。
わしは、後悔の後にさらに、「この後どうなるのだ?」と思った。
「意識は消えるのだろうか?」
意識の消滅、イコール自分の存在が消えることと同じと考えた。
「消える」と考えると身震いがした。恐怖だ。
だが、「どうなるか?」と、次に起こることに興味津々だった。
わしは、この世にあまり未練がないようや。実際そうやけど。
目の前が暗くなり、意識が消えるかと思ったが、わしの頭の中の考えが消えることはなかった。
次の瞬間、わしは、大きな暗いトンネルの中にいる。
そのトンネルの壁には、ひだみたいなのがあった。
まるで、体の中の腸の中みたいなところにいた。
ふと、自分の手や下半身を見た。
だが、何も見えなかった。でも、感覚的には手や下半身を見ている感じ。
見えないのに、見えているような不思議な感覚。そして、それに違和感はない。
わしは、振り返り声を掛ける。
「おい、行くぞ」
わしは、少し怒り気味に声を掛けた。
行先は、当然のように知っている。だが、どこかはわからない。
それなのに、当然のように前進しようしていた。
さて、わしは、誰に声を掛けたか?
それは、ひだのある壁を見ている、お前だ。
お前は、トンネルの壁を、じっと見つめている。無表情で、何を考えているかわからない。
どうやら、事故現場にお前もいたようで、お前も巻き込まれて死んだようだ。
壁を見ているお前に声を掛けたが、そこには何も見えない。
だが、わしの意識のなかでは、壁を見ているお前を想像している。
でも、見えているわけではない。これは説明が難しい。
たとえるなら、生まれつき目の見えない人に、見るとは何か説明するような感じや。
お前に声を掛け、進もうとした瞬間、トイレに行きたくなって目が覚めた。
いったい、わしらは、どこに行こうとしとったんやろな。気になるわ。
ところで、お前は、死ぬ瞬間に何を考える?
愛する奥さんことか? それとも子供か? あるいは・・・。
それは、なんじゃ?