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【70】レオナさん、チャリを練習する。〜ファミレスでまさかの恋バナ


 今日は朝からレオナさんと自転車屋さんに来ている。


「うーん、この白い自転車と茶色い自転車ならどっちがいいかしら…?」

そう言いながらレオナさんは首を傾げる。


「うーん、白の方が私は好きですかね。白とか黒系の方がどんな服装でも違和感なさそうですし。」


「それもそうね。じゃあこれにするわ!」


結局異世界はまだ日本より道も整備されてないのでちょっといいアウトドア用の折りたたみ自転車を購入することにしたようだ。


 タイヤがすぐパンクしても困るしね。


 結局三万円くらいの白い自転車に決めていた。


 防犯登録もしたし自転車を乗りこなせばレオナさんも大分普段の生活が楽になる事だろう。


「じゃあ早速公園に行って練習しましょう。」

 

そう言ってこうちゃんとレオナさんを車に乗せて、私はサイクリングロードのある公園までやってきた。


 長閑な青空が広がっていて、親子連れなどが楽しそうに遊んでいる。あ、ベニシジミが飛んでる。


「はい。じゃあ早速乗って下さい。」


 そう言うと恐る恐るレオナさんが自転車に乗る。


「こ、これでいいかしら?」

「はい!じゃあ漕いで下さーい。後ろから支えてるんで。」


そう言うと、ゆっくりゆっくり漕ぎ出した。


 こうちゃんがはぐれるとまずいので、今は抱っこ紐でおんぶしている。嫌がってバタバタしているのでちょっと大変だ…。


「わ、わ、わ、ちょっと、離さないでね、、!!!!」


そう言いながら少しレオナさんがテンパっている。


「大丈夫ですよ。逆にゆっくりより思い切って漕いじゃった方が安定します。」


そうは言っても怖いのかなかなかうまくいかない。


『ギャ!』とか『ひぃっ!』とかいつものレオナさんからは想像つかないような声を出してすっかりビビってしまっている。


 まさかこの人が一国の王族だったなんてそこでツクシを3歳くらいの子とプチプチ採っているお母さんも夢には思わないだろう。


 うう…どうしたものか。


「…とりあえず、もう一時前ですしご飯でも食べましょうか。」


そう言うと心底ホッとした顔をされた。


「そうねそうね!そうしましょう。」


果たして今日中に乗れるようになるんだろうか…。


◇◇


 車で近くのファミレスに入る。


 こうちゃんはお子様ハンバーグセット、私はチキンステーキのランチプレートを頼んでレオナさんは炭焼きハンバーグステーキのセットを頼んだ。

 3人ともドリンクバーを付けた。


「美味しいわー!やっぱり自分で作るのとは全然違うわね!」

そう言いながらレオナさんはハンバーグを頬張る。


「お、ハンバーグも最近作ってみたんですか?」


「そうなのよー。でも何故かタネが緩くて崩れてしまって。」


「そうなんですか。つなぎのパン粉ってどれくらい入れてますか?割とたくさん入れて手でしっかり捏ねてから焼くと良いですよ。」


そんなことを話しながらチキンステーキを頬張る。うん、この横に絞ってある粒マスタードが堪らなく美味しい。ソースをつけ合わせのパンに付けて食べると幸せな気分である。


 ちなみにこうちゃんはハンバーグよりコーンスープに夢中である。


「そういえば、明日ケネスさん一家が日本に来るんですよね。レオナさんお昼とか空いてれば一緒にと思ったんですけどいかがですか?


 多分ケネスさん、レオナさんのこちらでの暮らしぶりとかも気にしてると思いますし。」


「空いてるわ!一昨日会ったばかりだから久しぶり感はないけれど、次いつ会えるか分からないし会っておきたいわね。」


「ですよね。じゃあお店予約しておくので、後でlimeで場所とか送りますね。」


「わかったわ。そう言えば今更だけど、私の元夫とリリス様ってどうなったのかしら…?」


あ…。一昨日はレオナさんがいたのに感動の再会どころか、スタンピードの話でいっぱいいっぱいになって全部スルーされていたもんね。。あ!久しぶり…的な感じで。それにサダオさんもいたし。


「結局ムーンヴァレー王国が独立して、カーネル王国はフランク王太子が引き継ぐことになりましたよ。


 で、前の王様と王妃様は引退してどっかの別荘に行きました。レオナさんの離婚の手続きもケネスさんがしてきてくれたはずです。だから、レオナさん、晴れて独身ですよ。」


「そうなのね…。なんだか実感がわかないわ。まあ、結婚していた実感もないのだけど。」


そうだった…。あ、でもこっちの世界で好きな人作るって言ってなかったっけ。


「レオナさんこっちの世界に誰か今好きな人とか気になる人とかいないんですか…?」


すると、レオナさんがジワジワと赤面していく。

 お?これは誰かいるのだろうか。


「じ、実は私、サダオさんが気になっていて…。」


な、なんですとーーーーーーー!!!!!


「なんと!そうだったんですかっ。早く言って下さいよーっ。じゃあ週末一緒に出掛けられるの、嬉しいですね!!」


そう言うと、ちょっと照れながら、

「どうやったらその…お付き合いできるかしら?」


と言われた。


 おおお、積極的じゃないですかっ。恋の相談なんて久しぶりである。


「レオナさん、美人だから普通に告ればいけるんじゃないですか?あ、あの人自分のこと『女っ気けない』って言ってましたよ。」


そう言ったら何か『えぇー、そんなぁー。』とか言いながらニヤニヤし始めてしまった。


 これはアレだな…。もう二つの国で和平を結んでるし異世界に帰っても大丈夫なんだけど、サダオさんに振られない限り帰らないパターンになりそうだな。


 その後、時計を見たら2時半を回っていたので急いで会計して(レオナさんが奢ってくれた)公園に戻ったが、結局レオナさんは今日中に自転車に乗れるようにはならなかった。


 なので、私はこっそり明後日以降サダオさんにレオナさんに自転車を教えてくれるようにlimeしておいた。


 普段はご両親の農業の手伝いをしているらしいが、お二人ともまだお元気との事で快く引き受けてくれた。


 これで私もケネスさん達を心置きなくおもてなし出来るしレオナさんも喜ぶだろう。


 うふふ。私のちょっとしたお節介である。



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