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【62】予期せぬ遭遇

 

 玄関で全員で手を繋いで、先ほどのモンスター発生地になっていた洞穴の前に『送信』した。


「ここが発生地か。なんか不思議な雰囲気がする所だな。」

祥志がそう呟いた。


「ねぇ、シリウス君。ここって洞穴だけどやっぱり新しいダンジョンってこんな感じなの?」

私がそう聞くと、シリウス君が首を横に振る。


「いや、違うと思いますね。ここは本当に普通に出来た洞穴って感じじゃないですか。不思議ですけど、ダンジョンってもっと人工物っぽい感じなんですよね。」


そうなんだ…それなら何故ここからモンスターが発生してるんだろう。


「とりあえず、しばらくモンスターが出てこないように雷魔法落とすわ。」


祥志がそう言うのでお願いした。


 祥志が洞穴の中に手をかざすと、激しいバチバチした音が聞こえて、モンスターが出てこなくなった。


 おおお!凄い。地味に祥志が魔法使うの初めて見た。


「雷魔法、僕初めて見ました!古の勇者が使ってたとういう伝説の魔法ですよね?!聖女様が使う白魔法は彩音さんが使うのを見てましたが…。生きているうちに見られるなんて感動です!!」


そう言いながら、シリウス君がめちゃくちゃ興奮している。


 確かに!異世界人しか使えないならかなり珍しい魔法なんだろうな。祥志があまりに感動されてちょっと得意げな顔になっている。


(ちょっとちょっと!凄いのは神様なんだからね!私達はこの力、ただ貰っただけだし!調子にのらないこと!)


そう念話で注意しておいた。そしたらちょっとうるさそうに

(へいへーい。)と返ってきた


 みんなで列になってゾロゾロと中に入っていく。


「なんだか、不思議な雰囲気ですね。それに、なんだか懐かしい感じがします。」

と彩音ちゃんが言ったので同意する。


「それ、私も思った!それに、モンスターが発生していたはずなのにあまり怖い感じがしない。」


そんなことを話しながら15分くらい話した頃だろうか。


「あれ…。何かある!!」


そう言いながら駆け寄ってみると、誰かのお墓のようなものがある。


 だが、お墓は暴かれており、中に2つ壺のようなものが置いてある。恐らく骨壺だろう。


 そして、片方の壺だけ散らかされており、その骨のカケラが所々に落ちている。


「…何これ?」

みんな困惑顔だ。


「そうだ!グングルピクチャーで出ないかな?」


パシャ。


『魔王のラミダスの骨。独特の魔力を放つ。有機物と混ざると、モンスターを発生させる。』 


「…なっ!!!」

鑑定結果を見て思わず絶句する。

 すると、私の様子を見て、訝しげな顔でシリウス君が聞いてきた。


「え、結局この骨って何の骨だったんですか?」

「魔王ラミダスの骨…らしい。」

そう言うと、全員の顔が引き攣った。


「80年前の魔王です!確かクリスピア3世と当時の聖女様に倒されたはずなのに。何でこんな所に…。」

そう言ってシリウス君が困惑顔になる。


「え!クリスピアって前の王様の名前じゃなかったっけ?」

彩音ちゃんがそう言うと、シリウス君が首を振る。


「あの陛下は4世ですね。3世はその前の王族です。第二王子から魔王討伐で公爵位を貰った人ですね。」


「なんでこんな所に墓が…?というか、それなら隣の骨壺は誰のだ?」

祥志も困惑しているので、もう1つの骨壺も鑑定する。


『聖女キヌの骨。持っていると守護の効果がある。』 


「…聖女キヌの骨、だって。」

私が言うと、シリウス君がさらに困惑した顔をした。


「ちょっと待ってください。聖女キヌはクリスピア3世と魔王を倒したはずなんですが。まあ、最近は新しい事実が沢山出てきてるみたいなので、詳細はカーネル王宮で調べないとわからないですが。」


「…でもさ。お墓に一緒に入ってるなんて、むしろこの2人の方が夫婦っぽいような印象を受けるんだけど。」


そう言うと、皆黙ってしまった。

「このお墓を暴いたのは誰だと思います?」


彩音ちゃんが深刻な顔で呟く。

「…聖女についての内部事情を知っている者じゃないでしょうか。」

シリウス君が答える。


「…ということはカーネル王国の王族ってこと?」

私が言うと、シリウス君が困惑した顔になる。


「…でも、新しいフランク陛下はきっと違いますよ。だって、父が独立を宣言するのを予想できていなかったと思いますし、今王宮はバタバタしてるけれど良い方向に向かっていると言うお話です。

 そんな人が魔王の墓を暴くことはしないと思うんですよね。」


そんなことを話していると、お墓の裏の行き止まりの岩がなんとボコ!っと開いたのだ。


「?!!」


みんなで息を呑んで見つめているとそこから出てきたのは無精髭の大きな男性と、銀髪の女性だった。


「…!?レ、レオナさん?!」


私が驚いて素っ頓狂な声をあげる。


 向こうも驚いて固まっている。


「え、栄子さん?!ど、どうしてここに?!」


思わぬ遭遇に私達は見つめあったままポカーンと立ち尽くすのだった。


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