【間話26】サダオさんのおうち〜月谷レオナ視点
◇◇月谷レオナ視点
今日は待ちに待った、『スーパーの君』、ヤマノサダオさんとおうちデートです!
最寄りの駅に行ったらサダオさんが迎えに来て下さるとのことでした。
私はかなり浮かれて、念の為に勝負下着を新調いたしました。
5分くらい待つと、灰色の大きな『クルマ』に乗ったサダオさんが来てくださいました。
「よお。姉ちゃん。悪い、待ったか?」
そう言って申し訳なさそうな顔をされるところもとてもキュートです!!ああ、無精髭が素敵…。
「いいえ!全然待ってないわ!」
「そりゃ良かった。じゃあ早速助手席に乗ってくれ。山道が多いから揺れたら悪いな。」
そう言って助手席に私を乗せると車を出しました。
(キャー!これってドライブデートじゃない!!)
私の胸は最高潮にドキドキワクワクしておりました。
「それで俺んちで見せたいものがあるって言ったよな?…最初は驚くかもしれねぇが、どうか冷静に見てほしい。」
そう言われて、内心では大興奮しながらも、神妙に頷く。
「はい!!もちろんですわ!!覚悟は出来ております。」
(うふふふふふ!!!ついに、私も!私も破廉恥な経験をする日がきたのねーーーー!!!!)
◇◇
「着いたぞ。」
そう言われて車を降りましたが家らしきものが見当たりません。
「こっちだ。」
そう言われてついていくと、大きな井戸がありました。見ると、井戸には丈夫そうな金属製のハシゴがついております。
サダオさんはその梯子に足をかけて慣れた様子で降りていってしまいました。
(え?ええ…?)
「どうした、姉ちゃん。早くこいや。」
そう言われて恐る恐る降ります。
(…あ!!!今サダオさんが上を向いてくれたら私の勝負パンツが…)
と思い内心キャーキャーしていたのですが、残念ながら逆ラッキースケベも起こることが無く、淡々とサダオさんは梯子を降りていきました。
井戸の底には街灯のようなものが建てられており、広い空間になっておりました。
井戸の中にきちんと家が立っていて、家の前には大きな木箱が置いてあります。
家の前では青色のスライムがピョンピョンとんでおりました。
(…あら?なんだか可愛いわ。)
彼らは学園の実習で倒したことがあったのですが、こんなに可愛かったでしょうか。どっちかというと、ネバネバしたイメージだったのですが…。
「…!!!というか、どうしてここにモンスターがいるの?!」
日本で初めてモンスターを見ました。栄子さんが言っておりました。『この世界はモンスターも魔法もなくて安全だ。魔素も存在しない。』と。一体どういうことでしょうか。
すると、少しだけサダオさんが表情を緩めました。はぅっ!キュンとします。
「そいつは俺のペットのポチだ。可愛いだろ。この国でそいつを飼えるのは俺くらいかな。」
そう言って、ポチを抱っこします。ああ、ポチが羨ましい…。
「ええと、モンスターを日本で飼えるってどういうことなのかしら?サダオさんは異世界出身ということ…?」
すると、サダオさんは首を振りました。
「いや、俺は日本出身だ。異世界人と日本人のクォーターだがな。」
…!!!なんですって。
「…失礼ながらご両親はどんな方だったんですか?」
そう聞くと、サダオさんは少し黙ってからこう言った。
「まあ、隠してもしょうがねぇしな。俺の父親が前回の魔王と聖女の子供だったんだよ。ほんで、俺がその孫ってわけだ。この空間には俺の身体から出た魔素が漂っている。…てなわけでモンスターも生きていけるのさ。」
私は思わずポカーンと口を開けてしまいます。
「だから、お前もここでなら魔法を使えるぞ。とりあえず、上がってけよ。姉ちゃんに伝えときたいことがあるんだ。」
そう言いながら私を家に上げてくれました。
ああ!私、一人暮らしの男性の家に上がるのは初めてですー!!
室内はこぢんまりとしてはおりましたが、居間以外にはお部屋は三つあって簡素な感じでした。
「まあ座れや。」
そう言いながらこの前栄子さんのおうちでも頂いた日本茶とお煎餅を出してくださいました。
あらあら、この海苔が巻いてあるお煎餅はなかなか美味しいですわ。
「俺は魔王と聖女の孫ってだけあって、スキルがある。それが『千里眼』だ。面白半分のやつに取り上げられて一時テレビに連れ出されちまったこともあるんだがよ。実はスキルの力だったってわけだ。」
私は思わず固まってしまいました。
「な、なるほど。そうなのね。」
「で、お前さんの身内が危険な目に合うのを見たって訳だ。お前さんも異世界の人間だろ?」
…忘れてました!!!!思いっきり。
「これを見ろ。」
サダオさんが手を掲げるとタブレット大の映像が浮かび上がりました。
すると、なんと公爵家に魔物が沢山押し寄せているではないですか。
「…え!ケネス!!そ、そんな。」
「安心しろ。これは未来のことだ。俺の爺さんの骨、つまり魔王の骨の入った骨壺を何者かが開けて、ばら撒きやがった。今から爺さんの墓に行く。お前も一緒に来い!」
そう言われたので私は頷きます。
家の外の木箱を動かすと階段がありました。
「ここから異世界の爺さんの墓にいける。降りるぞ。」
そう言われて、私達2人は階段を降りていったのでした。
気分転換に短編を書いてみました。
『娼館で100回チェンジしたら最後に魔王が出てきたので戦った件。』です。ちょっぴり下ネタが入ってます。
https://ncode.syosetu.com/n7028kd/
もし良かったら読んで頂けると幸いです。




