【61】とろとろオムライスと、モンスター発生地。
「…今のって、モンスターが崩れる、音だよね?」
一応私が言うと皆頷いた。
仕方なく庭の塀から外を覗くと、大量のモンスターが死んでいた。
「お掃除して来まーす。」
そう言って、庭の中に脚立を立てて、高いところに登って360度回転しながらアイテムボックスを当てると、周りのモンスターがスウウっと回収された。多分100体は超えているだろうけど、収納出来れば問題なし。
これでよし。
「綺麗になったよー!」
そう言うと皆笑顔になった。
皆すっかりくつろぎモードである。
「…というか、何も考えてなかったけど、スタンピードが起きたと言うことは発生場所になってる所があるって事だよね?」
私がふと呟くと、みんなが『あ…』という顔をした。誰も気がつかなかったのかーい。
「でも、ここら辺にダンジョンがあるなんて聞いたことがないです。あったらもっと冒険者で賑わっているはずで。」
シリウス君が戸惑ったように言う。
「確かに過疎ってたもんなー。それだったらここら辺もうちょっと栄えていても良さそうだよな。まさか新しく出来たのか…?」
祥志がポテチを食べながらそう言った。
「ちょっとグングルマップで調べてみようか。」
私がそう言うと、みんな頷いたのでアプリを起動した。
すると、森の中のある場所から明らかにモンスターが発生している。
「…今までで結構な数、この家がモンスターを倒してくれたはずですよね?もう少し落ち着いたら、浮遊できる私と栄子さんでここに様子を見に行ってみるのはどうでしょうか。」
彩音ちゃんがそう言ってくれたので皆が賛成した。
「それがいいかも。その後皆でそこに行ったら俺が雷魔法を落すから、一気にモンスターの数を減らして探索するのがいいかもね。」
祥志の一声で、お昼ご飯を食べたら、彩音ちゃんと私の2人でモンスターの発生場所に行くことになった。
◇◇
…ということでお昼ご飯だ。今日のお昼はオムライスとサラダ、コーンスープにした。
バターで飴色になるまで炒めた玉ねぎにコーン缶と牛乳を入れてブレンダーをかけて、コンソメを入れればコーンスープは完成だ。
続いてオムライスを作る。
まずは小さめに刻んだ鶏肉とみじん切りしたピーマンと玉ねぎを塩胡椒をバターで炒める。お米を入れてトマトソースで味付けしたものを底がまるい茶碗にぎゅっと敷き詰めて、人数分お皿に出す。
そのあと、フライパンにバターを引いてとき卵二つを入れる。この時、火が通る前に菜箸でぐるぐるかき混ぜるとふわっとする。あまり火が通る前にご飯の上にのせたら完成だ。これを5人前作る。
ちなみにサラダは普通のきゅうりとキャベツとトマトのサラダにサウザンドレッシングをかけた。
「皆ー!出来たよー!」
そう言うと、『頂きます』をしてすぐに皆食べ始めた。
「卵がとろとろで美味しいー!!!久しぶりに食べました!!!」
そう言って彩音ちゃんが嬉しそうに食べている。
こうちゃんも嬉しそうだ。普段はあまり卵は食べないけれど、オムライスの時は食べるんだよね。
シリウス君も夢中でかきこんでいる。
「このケチャップって美味しいですね。異世界は美味しいものがいっぱいあっていいなぁ。」
と羨ましそうにしていた。
あー…そういえば魔王の件が落ち着いたら調味料の件についてケネスさんに相談しなきゃなぁ。
祥志はコーンスープを2回おかわりしていた。
やっぱりオムライスはみんな大好きだよね。
昭和っぽいのとソースがホワイトソースのやつのも好きだけど、自分で作る時はなんとなくトロトロのやつを作ってしまう。
レストランによくある上にオムレツをのせて、割るとドバーッてご飯を包むやつも美味しいけど、卵をめちゃくちゃ使うので自分ではあまり作らない。
みんな大満足でお昼ご飯は終わった。
◇◇
「それじゃあ行ってくるね。」
私と彩音ちゃんが言うと、こうちゃんとシリウス君、祥志が見送ってくれた。
「まんまー!!!後でまた遊んでね!!」
とこうちゃんに言われたので絶対に無事で帰って来なければ。
家のバリアが解ける前に玄関から出た瞬間に彩音ちゃんと浮遊した。
まず、お昼ご飯中に押し寄せたモンスターをもう一度アイテムボックスに回収し、マップで発生地を確認する。
私がナビをしているので、彩音ちゃんが飛び出して来たモンスターを聖剣で倒してくれている。
もう倒すのがめちゃくちゃ素早くて、おばちゃんビックリだよ。
約10分ちょっとで洞穴のような所に着いた。
なんだかこれだけのモンスターが出て来ているのに、周りを静謐な空気が流れている。
「…なんだか怖くないけど不思議な気配がする。」
私が言うと、彩音ちゃんが頷く。
「本当ですね。でも、何があるかわからないので、予定通り一度帰りましょう。」
そう言われたので慌ててテレポートして玄関に帰ってきた。
「ただいまー!!」
私達が帰ると、シリウス君もこうちゃんも祥志も準備が出来ていたようだ。
「どうやら不思議な洞窟からモンスターが出て来ているみたいだった。よし!怖いけど、皆でこれから行くよ!」
そう言うと、全員頷くのだった。




