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【57】病院後の襲撃


「あの。栄子さん。ありがとうございました。


 私、元の身体に戻ったら『新條 桃花』をもう一回頑張ってみます。やっぱり、結局私は私なので。」


病院を出た時、モモちゃんに頭を下げられた。


「全然だよー。良かったね。これからも良かったら遊びにおいで。」


…そして、眉毛を剃らせておくれ。


 そんなことを話しながら歩いていたら、一樹君とは違うタイプの爬虫類系イケメンがフッといきなり現れた。


 黒い皮の服が、スタイリッシュな感じである。


「やぁ。異世界での生活はどう?」


(…?この人どっから出てきたんだ?)


 その人を見て彩音ちゃんは身体を強張らせた。


「栄子さん!この人です!この人が私を『モモ•ブランディア』にした人です!」


(…!!この人が憑依させるスキルを持つ人か!)


そして、スッと近づいてきてこう言った。

「ねえ。なんで君は()()()()()()に出てきちゃってるのかな?」


その瞬間、全身の鳥肌が立つ。


 そして、私の方を一瞥した。


「貴女、誰ですか?困るんですよねぇ。こういうこと、勝手にされちゃ。…しかも【アイツ】の力をぷんぷん感じる。」


レベルをかなり上げたはずなのに謎の威圧感を感じる。この人、絶対めちゃくちゃ強い!


 両手を掲げて黒い禍々しい光を右手に集約させる。


「目障りな貴女はとっとと消してあげますねっ!!」

そう言いながら私に向かってその光を投げてきた。


(『転送』!!!)


 私はスキルを使って咄嗟にその光を男性に被弾させて、素早く浮遊した。


「…く!!!【アイツ】の能力か!なんて忌々しい!」

 男性は自爆してボロボロになりながらも追ってくる。


(『送信』!!)


私は家の玄関にモモちゃんと転移した。

「え?!ここって…。」

モモちゃんは驚いている。


「私のスキルで家まで転移してきたの!


 モモちゃんはこの玄関から出れば、異世界に戻れるはず!彩音ちゃんに言えば『桃花ちゃん』にいつでも戻れるから!早く見つかる前に逃げて!


 元に戻ったら遊びに来てくれればいいから!」


「…わかりました!」


そう言って玄関から公爵家の庭に急いで逃げていった。


 よし、これでモモちゃんは大丈夫。


「栄子、どしたー?戻ったの?」

そう言ってこうちゃんを抱っこして祥志が出てきた。


「祥志、それが、病院の帰りにモモちゃんを憑依させた人が襲撃してきて…今ここにスキルで逃げてきた。」

なんか、めっちゃ疲れたよ。


「マジで!こえええ。でも大丈夫じゃない?ここは神様セキュリティ効いてるんだから。モンスターとか全部弾いてたじゃん。」


…確かに。そう言われてちょっと安心する。

「そうだよね…。」


「とりあえず、変な人が来ても弾いてくれるって。大丈夫か?疲れてたら昼メシ、なんか取るか。」


そう言ってくれたので、出前を取ることにした。


「俺、カツカレーとそばのセットにするわー。栄子は?」


「うーん、じゃあ私、うどんと親子丼のセットにしてこうちゃんと一緒に食べようかな。」


「おっけー。じゃあ注文するわ。」


◇◇


 30分後。配達の人が来て、お昼ご飯を受け取ってお金を払ってドアを閉めた。


「「「頂きまーす!」」」

うん、美味しいー。上に乗っている温泉卵がご飯に染み込んでとろっとろだ。


 こうちゃんはうどんを美味しそうに食べている。


 祥志のカツカレーも美味しそうである。

「一口食う?」

「え?いいの?!じゃあ私もこっちの方手をつけてないから交換しよー。」

そう言って小皿で交換する。

 うん!カツカレーも美味しいー!結構ピリ辛でご飯が進む。


 ふぅー。満足満足。食後にお茶を入れて三人で啜って、居間の出窓を開けて空気の入れ替えをしながら伸びをした時だった。


「見つけた。」


そう言って、爬虫類系イケメンが今度は庭に現れた。


「え、え、どうして?!」


「ふふふ。アイツ、()()()()()()にはセキュリティ張ってなかったんだな。」


…あ!!!そう言えば、テレビで()()()()()セキュリティが働くとは言っていたけれどこの世界のことは確かに何も言ってなかったかも…。


(祥志!こうちゃん連れて2階の寝室に行ってて!私、この人どこか遠くに置いてくる。)

私は念話で祥志に伝える。


(わかった。無理すんなよ。)


 そう言って祥志がそーっと部屋から出ようとした時だった。


「逃がさないよ。」


そう言って2人に先程と同じ黒い禍々しい光を放ってきた。転送しようとしたけれど、あまりに突然だったから間に合わない。


「…こうちゃん!!!祥志!」

思わず悲鳴を上げる。


 ところが、こうちゃんの顔の目の前まで来た黒い光がなぜかフワッと露散してなくなった。


「…ぁ。よ、よかった…。」

全身から力が抜ける。


「…!?くそ!何故だ?!」

男が悪態をつくと、どこからともなく男にそっくりな白い服を着た男の人が現れた。


「君を作ったのが晃志君だからですよ。」


(…双子?というか、こうちゃんがこの人を作った…?いつ?)


呆然とする私達の方を振り向き、その人は言った。



「お会いするのは初めてですね。祥志さん、栄子さん、そして晃志くん。僕が貴方達とやりとりさせて頂いていた『管理者』です。」




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