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【54】眠り続けるこうちゃん


 今日は色々あって疲れたので、転移したフランスの村のお店で名物の鴨肉とチーズを使ったお惣菜とパンとサラダを買った。お土産にワインも。


 一度観光で行ったのでなんとなくお店の場所を覚えていて良かった…。


 本当はさっき、槍が飛んできた時に、咄嗟に『転送』することも頭をよぎったのだが、もしあそこで全く関係ない人間を死なせてしまったら、今日鴨肉を売ってくれたおじさんも生まれていないかもしれない。


 …それに、レベルが上がったからか、なんとなく当たっても死にはしないかなとも感じていたんだよね。


 まあ、怖かったけどね!もう2度とあんな思いはしたくない。


◇◇

 お買い物のあと、無事自宅の玄関に転移した。


 テレビをつけてホッとする。よかった、きちんと2025年の今日に戻ってきている。


 もう午後17時を回っていた。


 急いでこうちゃんをお風呂に入れてからコーンスープだけ作った。


 スープを作っている時に、こうちゃんが『まま、眠い!!!』と言ってギャン泣きしたのでこうちゃんにだけ先にご飯をあげて寝かしつけた。


 よっぽど眠かったのか、5分もせずに眠ってしまった。


◇◇


「ただいまー。あれ?こうちゃん寝たの?」


「おかえりー。うん、魔法もスキルも結構使ってたし、疲れたみたい。」


そう答えると、祥志が目を見開いた。

「えー?!魔法使えるような場所なんてあったっけ?」


そう言われて私は頷く。

「うん。森林公園行ったの。」


「あー、あそこね!で、こうちゃんの『時間』の魔法ってどんなん?」

祥志は興味深々だ。


「それが、白亜紀と、丁度新人類が誕生した頃に連れて行かれた…。」


私が写真を見せると、祥志は目を丸くした。

「はぁあああ?!やべぇー!!!!本当に槍持ってる!なんか、めっちゃずんぐりしてて、筋肉隆々で腰布巻いて、栄子とこうちゃんとの対比がやばい…。」


「そー、最初いつの時代か分からなかったからわざわざフランスまで確かめに行ったさ。

 そんで現代に戻ってからも場所はそのままフランスだったから、夕飯に鴨肉とチーズ買ってきたんだ。こうちゃん寝たしワインも飲もー。」


◇◇


「「カンパーイ!!!」」


祥志がお風呂から上がったのでご飯にした。


 今日はコーンスープ以外は買ったものだけどどれも美味しかった。


「あー、鴨肉とワインの組み合わせ最高ー。」

祥志が幸せそうな顔で舌鼓を打つ。


「本当だね。なかなか大人だけでゆっくり飲むって出産後はなかったからたまに楽しいね。」


「そういえば一万年前の我が家に行ったんだろ?どんな感じだった?」

祥志がワクワクした顔で聞いてきた。


 あ。そう言えばあの『穴』。あんなに恐ろしかったのに槍の一撃のせいで頭から飛んでいた。


「なんかね、得体のしれない『穴』があった。石を投げたら穴の奥じゃなくて、穴に触れた瞬間消えたの。」


「は?何それ、この家の場所に?」


「そうそう。ドンピシャな場所に。で、こうちゃんが無邪気に穴を触っちゃってさ。ヤバいと思ったら彩音ちゃんのお守りが光って助かったんだよね。」


「え、気をつけろよ。で、それから?」


「そうだよね、ごめん。気をつける。


 うん、そしたらこうちゃんが、地面触って、穴の部分に『同じの』作るって。そしたらそのあと穴だったところも普通の地面になったんだよ。」


「ふーん。『コピー』のスキルって空間をその形通りに埋めることなんて出来るの?」


「わかんないけど、出来たんじゃない…?実際地面になったんだし。」


「…そっか。何だったんだろうな。その穴。」


確かに。すぐ塞がったから深く考えなかったけど、一体何だったんだろ。


◇◇


 次の日、こうちゃんはお昼くらいまで寝ていた。


 さすがにご飯を食べさせる為に無理矢理起こしたら、ご飯を食べてからまた『眠い、眠い。』と言って寝てしまった。


 昨日時間の魔法で結構な『時』を遡ってたし疲れちゃったのかな。


 2歳になったばかりの息子を置いて出かけるわけにはいかないので私も久しぶりにアマンゾで海外ドラマを見たり、料理の作り置きをしてゆっくりしていた。


 そして、さすがに夕方になったので起こしてお風呂に入れた。


 熱を測ってみたけれど平熱だし、最近別にコロナのワクチンも打っていない。起こしたら嫌がりはするけれどきちんと起きるのだ。けれど、眠い、と言ってすぐに泣き出してしまう。


 私は得体の知れない胸騒ぎを感じていた。


 帰ってきた祥志に相談したら、明日念の為に病院に連れて行こう、ということになった。


◇◇


 次の日、病院で『低血糖かもしれないですね。』と言われて、お煎餅やラムネなどを食べさせるように指導された。


 家に帰ってきてからもなんだかモヤモヤしつつ、眠たがるこうちゃんにグングルで低血糖症に良いと出てきた焼き芋や豆乳を無理矢理食べさせていた。


 その時ふと、鑑定した時にモンスターの状態が出てきたのを思い出した。もしかして、人間にも何か異常があれば出てくるんじゃない?


「こうちゃん、こっち向いて。」


私はグングルレンズを起動させてこうちゃんを撮影した。


パシャ。


『立花 晃志(2)Lv.79 状態:疲労

 美人な女性が好きな二歳児。よく食べ、フィジカルが強い。好きな食べ物は中華とクリーム系のおかず。属性は時間。

【スキル】最適化』


あ、やっぱりこうちゃんすごく疲れてるんだな。


(…ん?)


最初見落としたのかなと思い、何度も確認したけれど間違いない。



 こうちゃんの『コピー』のスキルが消えている。


(…どうして?)


 私は急いで神様にメールを打った。




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