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【52】平和なお誕生日会からの大ピンチ!

 

 1時間後、レオナさんと一樹君が来たのでお誕生日パーティーを始めた。


 一樹君は恐竜の知育菓子と図鑑、レオナさんはアンパンのキャラの顔のクッションをプレゼントに買ってきてくれた。店員さんに一番人気のものを聞いてくれたらしい。


 ニーナちゃんは図鑑を見て「まあ、ニホンにも地龍がいるのですか?」と驚いていたが、一樹君に優しく恐竜のことを解説してもらっていた。


 シリウス君はクッションのキャラを見て、

「こ、これは何の生物ですか?」

と少し動揺していたのが面白かった。喋るアンパンはなかなか斬新だよね…。さらに、このキャラクターは自分の顔をちぎって人にあげるんだよ、と教えてあげると目をひん剥いていた。


◇◇

『本日のお品書き』

•レッドオークのスペアリブ

•海鮮バラ寿司

※こうちゃんはイクラのみ

•だし巻き玉子焼き

•オレンジとベビーリーフのサラダ

•なめこと豆腐のお味噌汁

•枝豆

•プリンケーキ

•フルーツの盛り合わせ

◇◇


遅れてくる人もいるので、バラ寿司は1人ずつ紙の丼に盛り付けた。


挿絵(By みてみん)


「わぁ!ご馳走ね!」

レオナさんが歓声を上げる。


 ちなみに洗い物が面倒なので殆ど紙のお皿とカップを使ったらニーナちゃんやシリウス君、レオナさんは初めて紙の食器を見たようで興味津々だった。


 ニーナちゃんとシリウス君もお寿司を美味しそうに食べてくれておりホッとする。人によってナマモノがダメな人もいるからね…。一樹君もお寿司が一番気に入ってくれたようだ。


 こうちゃんも大好きなイクラ丼を沢山食べてくれている。ママ、奮発しちゃったよ。


 スペアリブはオーク肉を昨日の夜からすりおろした生姜、ニンニク、酒、醤油、胡椒に漬け込んでおいて、オーブンで200度で30分焼き上げた。


 祥志はスペアリブを美味しそうに頬張っている。カリッとジューシーに美味しく焼けた。


 彩音ちゃんはオレンジのサラダを何度もおかわりしていた。きっと、さっぱりとしたものが好きなんだな。


 食後にはデザートに昨日から作っていたプリンケーキを出す。


挿絵(By みてみん)


 こうちゃんが、『苺いちご!!』と大興奮である。


 丁度ケーキを出す頃には宮野さんのご夫婦も到着してみんなで舌鼓を打った。素敵な写真も沢山撮れたしいいお誕生日会だったなぁ。


◇◇


 ふうー!食べた食べた!こうちゃんはアンパンの顔のクッションを抱きしめてすっかり夢の中だ。


 片づけが終わって祥志と録画していた『火曜日のアップダウン』を見てダラダラする。『シロちゃん』が告白に失敗して落とし穴に何度も落ちていてちょっと気の毒だった。


 家ごと転移してきたばかりの頃は、異世界の人と日本人が同時にこの家に集まるなんてあり得ないと思っていたけれど、こうして皆で会える『憩いの場』になっているのは不思議だなぁと思った。


(やー、再来週はいよいよ魔王の家に行くんだね。なんだか感無量だわ。)

何となく念話で祥志に話しかける。


(そうだなー。どんな家に住んでるんだろうなぁ。)


(うーん。多分庭によくわからない骨とかいっぱい刺さってるんじゃない?そんで、近寄るとケタケタ笑ってモンスターになるとか。)


(え、でも確か魔王、普通の人間なんだろ?)


(あー、じゃあ普通の家だわ、きっと。戸建てとマンションどっちだろうね。何坪くらいかな?)

 

(そこは異世界だから一軒家じゃない?100坪以上はあるだろ。)


(そうだよねぇ。お土産は何を持っていったらいいかな?何が好きだと思う?)


(うーん、わからんから、しょっぱいのと甘いの両方持っていったらいいんでない。)


(そうだね。家にトイレはあるよね?貸してくれるかな?水洗かな?ぼっとんかな?)


そんなどうでもいいことを念話しながら、眠くなったので寝た。うん、スキルの無駄遣いだね…。


◇◇


 次の日は、こうちゃんを連れて近所の森林公園に行ってきた。ニュースでリスが出ると言っていたので見にきたのだ。腐葉土が水を含んでなんだか踏みしめるとグニャッとする。


「あ!ほらほら!こうちゃん。リスがいるよ!リス!」

木の実をモグモグしている顔が可愛い〜。平日なので人もいないので見放題だ。


「りす…?きょうりゅうは?」


こうちゃんは昨日一樹君に貰った図鑑を見てハマったらしい。


「うーん、恐竜さんはね。ずーっと昔に生きてたんだよー。今は会えないかな。」


「え。きょうりゅう、あえないの…?」

途端に涙目になる。あ、ヤバい、泣かないでー!


「ええと、うん、会えないけど、図鑑を開けば見れるよー。それにほら!見て、リスめっちゃ可愛いよー!」


なんとか誤魔化そうしたけど無駄だった。


「やだやだやだー!!!!!こうちゃん会う!きょうりゅう、あいにいく!」


その瞬間、こうちゃんからパアッと謎の光が出た。


 そして、周りの景色が真っ白になって消えてしまった。


(え、えええええええー?!)


◇◇


 気がつくと、私は知らない荒れた大地の上にこうちゃんと突っ立っていた。


「…ここ、どこ?」


そう呟いた瞬間、後ろから


「グギャオオオオオオオオオオオオオ!!!!」


と雄叫びが聞こえた。


 嫌な予感がして振り向くと、200m程先に大きな恐竜がいた。


(…恐竜ううううう!?!!!!)


 椎骨が2m程のこの姿はスピノサウルスか?実際に見ると、なんだかモンスターみたいでグロい。


 …昨日の平和なお誕生日会はどこにいった。


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