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【7】祝、就職決定後の豚汁と色々おにぎり

 翌朝、ちょっと早起きして私は野菜を刻む。

 今日の朝ごはんは豚汁と数種類のおにぎり。


 豚汁の具は、豚こま肉に、玉ねぎ。小揚げに笹掻きしたゴボウ、人参、絹ごし豆腐、じゃがいもだ。


 昆布と鰹節で丁寧に出汁を取り、切った具材を入れる。ちなみに私は豚肉とじゃがいもだけは他の具が煮えてフツフツしてきたら、味噌を先に溶かして火を消してから入れている。それから蓋をして余熱で30分熱する。


 こうすることで豚肉はパサパサにならずジューシーなままだし、芋はペクチンという成分が凝固して崩れなくなる。ちなみに盛り付ける時に万能ネギをパラリとかける。


 豚汁を温めている間に魚焼きグリルで鮭とタラコを焼く。その間に炊けたご飯をかき混ぜる。


 我が家には炊飯器が2つあるので、白米の他に鶏五目ご飯も炊いた。


 こうちゃんが新生児の時寝不足すぎてオニギリを握るのすら面倒くさくて。

 普段から食べるお米の他に炊き込みご飯を炊けたら、お弁当は盛り付けて漬物くらい入れておけば具材が色々入ってるしいいかなと思い、私の誕生日に買ってもらったのだ。


 今日の炊き込みご飯は干し椎茸に昨日のもも肉の残り、刻んだ生姜に人参、ゴボウに筍の水煮を入れて、出汁と酒と醤油で味付けした。


 魚焼きグリルの様子を見ながら炊き込みご飯を握る。ちなみに私は御茶碗にラップを入れてご飯をのせて、包み込んでから握る派である。手が汚れていちいち洗うのが面倒だし、衛生的だしね。


 鶏五目を握り終わった頃に、鮭とタラコが焼けたので、一口サイズに切って、丁寧に鮭から骨を取り除く。

 そして、白米で今度は鮭、タラコ、チーズおかかのオニギリを作る。


 ちなみに今日はケネスさんがいるからタラコと鮭を炙ったが、普段の我が家の定番オニギリはチーズおかかである。おかかを入れてとろけるチーズを千切るだけで楽なのだ。

 あとは、海苔を巻いたら出来上がり!


 さて。皆を起こして来ますか。


◇◇◇


「エーコ殿!何だこの美味いスープは!ジューシーな薄切り肉と細かい野菜が優しい味でまとまっていてとても美味い!!」


ケネスさん、いつも同じようなセリフ言ってるな。ちなみにスープじゃなくて豚汁です。

 あと、一晩一緒に飲んで仲良くなったので皆で下の名前で呼び合うことになった。


「うおおお、この色々な具が入った食べ物も美味いぞ!これは昨日の肉と同じものだな。色々な旨みが合わさってなんとも形容しがたい!」


すかさず鶏五目を食べてこちらも絶賛してくれる。


「おお、豚汁じゃん。やったー。ケネス様、この七味っていう調味料をかけても美味しいですよ。」


祥志、辛いもの好きだもんね。


「む、確かに刺激的でなかなか美味いな。ショージ殿はなかなかグルメだ。」


「ずるずるずる、ぷはぁ。おいちぃ。」


こうちゃんには鶏五目おにぎりを半分にしてだし汁をかけてあげました。赤ちゃんってあんまり濃い味付けはダメだから、出汁って結構使うんだよね。


「コージの食べ方も美味そうだな•••」

「あ。食べます、、?」

「いいのか!是非!」


ケネスさん、細いのに結構食べるな。


 

 結局私と祥志は豚汁をお椀に1杯とオニギリを2個ずつ食べて、こうちゃんは出汁かけ鶏五目とトマトジュース、ケネスさんはなんと豚汁をどんぶり2杯、おにぎり全種類と出汁をかけた鶏五目を1人で平らげた。


 沢山作っておいて本当に良かった…。


 しかし、本当に食べるの好きだな。この人。お、お、お、オニギリが食べたいんだなってよく連呼している裸の大将を連想してしまう。私の頭の中で『平野に咲く花のように』を歌うコーラスが流れた。今度あのドラマ、久しぶりに一気見しようかな。

 

 ケネスさんがそろそろ帰ると言うので、昨日洗ってアイロンがけした服を着てもらって、麦茶の入った水筒と豚汁の入ったスープジャー、オニギリ全種類、昨日たなぴょんに出したシュークリームが5つ残っていたのを持たせてあげた。


 シュークリームと一緒に入れた乾燥剤と保冷剤はくれぐれも食べないように、伝えておいた。水筒とスープジャーは次公爵邸に行った時に返してくれるらしい。


 代わりにケネスさんは例の魔力の入った玉のアイテムをくれた。


 そして、玄関先の銀色の熊も回収してくれた。さらば、熊よ。


 ケネスさんが手をかざすとすぅっと指輪から出た光に吸い込まれていった。


 すごい!なんでも、アイテムボックスという魔法具らしい。いいなー。旅行にも手ぶらで行けちゃうじゃないの。私も欲しいな。


 祥志とこうちゃんと3人でお見送りする。


「ショージ殿、エーコ殿、そしてコージ!また来るからな!今度また珍しい料理を食べられるのを期待している!」


そう言ってブンブン手を振って名残惜しそうに去っていった。


 外の景色を見ると、やっぱりケネスさんは異世界人だからか森のままだった。


『バタン。』

 

「…ふぅー!!やっと帰った!あの人めっちゃ食うね。大食いチャンピョンになれるんじゃない?!背も高くてジャイアントだし!」


あ。やっぱり祥志もそう思ってたんだ。彼の私達の心の中でのあだ名は『ジャイアントケネス』になった。


 はぁ〜。こっちの世界にも人間がいるとわかったのはありがたかったけど、知らない人をいきなり泊めて疲れたな、、、


 今日はちょっとのんびりしよう。


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