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【49】『憑依者』の調査依頼。


 水鏡魔法で連絡をしてきたケネスさんは大分慌てているようだ。

「はい!聞こえますよー。」


そう答えるとホッとした顔になる。

「前触れもなくすまない。今日その、もしかしてレーヌ町に行ったりしたか?」


「レーヌ町…?ああ!はい!行きましたよ!家族でいっぱい蟹を取りました!」

ケネスさんは目を丸くする。


「…その蟹はもしかして、キングクラブか?」

「そうですね!確かそういう名前でした。」


そう答えると、一瞬黙ってしまった。


「…あー。まずは、レーヌ町を救ってくれて礼を言う。


 正午過ぎにAランクのキングクラブが13体出現した、と急に救助要請が出てな。


 私が王宮に行っていたのと、丁度違う町でも高ランクモンスターの被害が出ていて、直ぐに動ける者が手薄になっていたんだ。

 

 もう一つの町はニーナやシリウス、アヤネ殿と一緒に討伐隊を派遣していたのだが。


 レーヌ町は高台に町民が避難していたのだが、情報が錯綜していてな…。」


あ…。そうだよね。ケネスさんの領地だからすぐに報告すべきだった…!


「すみません!気が利かず…。すぐに報告すれば良かったですね。」


「いや。町を救ってくれたのは本当に感謝している。…助かった。ただ、驚いただけだ。」

そう言ってやっと笑ってくれた。

 

「あ、そういえばケネスさん。伝えたかったことが2点ありまして。今お時間大丈夫ですか。」

そう尋ねるとすぐに頷いてくれた。

「聞こう。何があった?」

そう言って、真剣な顔になる。


「実はですね。彩音ちゃんをこの前鑑定したら【強制ログアウト】というスキルがあったんです。本人も自覚はなかったみたいなんですけど。」


そう切り出すと、ケネスさんはキョトンとした。

「え。それは…どういうスキルかは結局判明したのか?」


「はい。神様から返信が来ました。なんでも今までの聖女様は全部私達と同じ世界の誰かから身体を乗っ取られていたみたいで。その乗っ取っている人を強制送還する為のスキルだそうです。」


私の話を聞くにつれてケネスさんのどんどん眉間の皺が深くなる。


「フランク王太子の予想は正しかったというわけか…。エーコ殿。一つ頼みがある。もし良かったらその身体を乗っ取っているという人物を異世界側から調査出来ないだろうか。」


「私の住んでる国は人口が1億人以上いるのですが、出来る範囲でなら。」

出来るだけ協力したいけど、闇雲に当たってもわかる気がしない…。


「ああ、もちろん。こちらでも調査はするので、少しでも思い当たることがあれば教えて欲しい。もちろん報酬は出す。一月白金貨一枚でどうだろうか。」


!!ケネスさんの方でも調べてくれるのならヒントになることも出てくるかもしれないな。…別に白金貨になんて釣られてませんよ。


「わかりました!!何か分かれば報告しますね。


 あ。それともう一つ伝えたかったことなんですが。


 レオナさんが忘れた魔道具って、もう中身を確認されましたか?えーっと、ケネスさんにお渡ししてからレオナさんとお話する機会があったんですけど。


 なんというか、結構プライベートなものだったらしくて。」


忙しくてまだ見てなければそのまま返してあげて欲しいな…。


「ああ、勿論確認した。」

おお、確認したんだ…。でも、ケネスさんいつもと変わらないからやっぱり引いてないよ!良かったね。レオナさん。


「…あ。そうなんですね。それで、レオナさんの魔道具は今もケネスさんのお部屋ですか?」


「いや。王宮だ。」

は?なんで?

「…あ。そうなんですね。」


「ああ。議会で流させて貰った。」


えええええ!?議会でレオナさんのお気に入りのエロ動画コレクションを流したの?!何してんのこの人!


「ええ?!それでどうなったんですか?!大丈夫だったんですか?」


「ああ。誰の血も流れずに円満に独立出来ることとなった。本当に姉上には感謝しかない。」

ちょっと待って。みんなでエロ動画を見たから円満に独立出来た?どういうこと?!


「…と、とりあえず独立がうまくいって良かった、ですね?」


「ああ!全てあの映像のおかげだ。今後も2カ国間で友好的に交流する事が出来そうだ。」

ケネスさんが爽やかな笑顔で微笑んだ。


「…それなら良かったですね。」


もう何も言うまい。それで内乱にならずに済んだのであればきっといい事なのだろう。


 そして、ケネスさんは『ああ、また連絡する』と言って通信を切った。


◇◇

 しかし、異世界は厳正な議会で仲良くなる為に平気でエロ動画を流しちゃうのか。

 凄いな、さすが異世界。


 一つだけ何か言えるとしたら、とりあえずエロは世界を救う、だね。


 

 あ。カレーのお皿洗わなきゃ…。


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