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【47】レベル上げドライブと蟹のモンスター


「ただいまー。」

家に帰ると、祥志とこうちゃんがお昼ご飯のコロッケを食べていた。


「ままだ!コロッケおいしい〜。」

こうちゃんがベビーチェアから笑顔を見せてくれた。


 祥志があまりに早い帰宅に驚いていたので公爵家の皆さんが急遽留守になったので、午前中で仕事が終わった事を伝えた。


「へえ。じゃあ折角だから前言ってたドライブに行こうぜ。せっかくだからレベルも上げたいし!」


確かに、2人にも強くなってほしいし、こんな機会なかなかないかもしれない。


「了解!じゃあ今準備するねー。」


私は水筒にコーヒーを入れて、ジュース、お茶、色んなお菓子を用意した。


 祥志が車を車庫から出してくれたので、エンジンをかけたら車ごと『送信』した。


 レベル上げといえばやっぱりここでしょ!!


ブウウウウン!!


 車体ごと白く光って、気がつくと私達は虹の出ている美しい川の前にいた。


「すげー!俺、テレポートって初めてした!」

祥志は目をキラキラさせて、こうちゃんは川を見て感動している。

「ママー!あそこ!色んな色出てる!きれい!」

2人とも大興奮だ。


 5分後。


 ぐにゅぐにゅぐにゅグシャ!!!!!


「うぉ!!な、なんか踏んでない?!」

祥志が動揺した声を出した。


「メタルスライムだよー!大丈夫!勝手に車が弾いていくから!やっぱりレベル上げと言えばこれでしょ。1キロくらいで終わるはず!」


私は2回目だから冷静だ。

「うわ、本当だ。道路にめっちゃ銀色のネバネバしたやつ這いずり回ってる…。」

祥志がメタルスライムを確認して気持ち悪がっている。

「まま、あれ!落ちてった!」

今度はこうちゃんが窓についたスライムを指さしている。

「大丈夫大丈夫!!よーし、このままスピード上げていこー!!」

何故か私のテンションがまた上がってきた。


ブーーーーーーン!

 ぐにゅぐにゅぐにゅぐにゅグシャッ!!

 バリバリバリ!!!


 めっちゃ窓に降ってくるけど気にしない!だって勝手に弾いてくれるもんね。


 1キロくらい行くと群生地が終わってしまったので、Uターンする。

「え!え、え、え、戻るの?!」

祥志は慌てているが気にしない!


「もっとレベル、上げていこーう!」

ぐにゅぐにゅぐにゅグシャ!!!!


…結局Uターンを繰り返し、1時間程メタルスライムを潰し続けた。


◇◇

「よし。ちょっと休憩しようか。」

気持ちの良さそうな木陰に車を停めておやつタイムだ。


「いやー、最初はめちゃくちゃビビったけど、慣れると確かに絶対に車が弾いてくれるから平気になってきたわ。」


祥志はポテトロングを食べながら、グレープフルーツジュースをぐびりと飲んだ。


「でしょー。レベルが上がってくると、なんだか体調もよくなるから気持ちいいし!」

 私はコーヒーを飲みながらチョコチップクッキーを齧る。あー、ひと仕事終えた後のおやつは最高だ。


 こうちゃんは頭をママにすりすりさせながら、カッパ煎餅とトマトジュースを飲む。うん、もう少しで寝そうだな。


「もう少ししたらちょっと強そうなモンスターの所も行ってみようよ。きっと一気にレベル上がるよ。」

だって実証済みだからね。


「それもそうだな。じゃあグングルマップでモンスターがいっぱいいそうな所に行ってみようぜ。やばそうだったらテレポートして帰ればいいし。」


そう言われたので早速マップを拡大してみる。

「おっ。こっちの方にいっぱいいそう!」

「じゃあそこ行くかー!」

「「おおー!」」

気分はピクニックである。


◇◇

 途中で何体かモンスターにぶつかったけれど気にせず走る事40分。海沿いの方までやってきた。民家がポツポツ見えてきて、人が住んでいる気配がある。


 どうやら小さな町のようだ。しかし、町は活気がなくシーンとしている。


「えーっと。ここら辺はレーヌ町って言うんだって。あそこのでっかい建物が役場らしい。あ、あそこが港かな?」

私が手で示した方にはいくつもの船が停泊している。


「えー、じゃあ町の中にモンスター出てんの?まずいじゃん。倒せるやつは倒していこうか。」


折角海に来たので海沿いを走っていると、大きなカニのようなモンスターが10匹以上こちらに向かって来る。


『キングクラブLv.62 状態:普通

 生態:肉食。異世界『サムシングワールド』に存在するカーネル王国、ムーンヴァレー領に生息する蟹の魔物。Aランク。とにかく硬く、殻は最高の防具となる。価値は日本円で70万円程。中身の肉は高級タラバガニの味。」


グングルピクチャーで鑑定すると、なんと高級ガニと同じ味らしい。


「祥志!全部倒して蟹食べ放題パーティーしよ!」

「了解!!!」


バリバリバリバリバリッ!!!


車に触れたキングクラブが次々と雷撃を受けたように派手な音をたてて倒れていく。


 あー、ここまで来ると気持ちいいですな。


 私達は無事にキングクラブを全て倒し、残らずアイテムボックスに収納した。


 今日は大漁だ!蟹漁を終えて、ホクホクした気持ちで家路についた。


 今度は蟹しゃぶも蟹クリームコロッケも良いなぁ。皆にもご馳走してあげようっと。


◇◇


 私達は、役場のある高台にまさか町民達が震えながら緊急避難しており、キングクラブが一気に倒される様子を見て呆気に取られていたのを知る由もなかった。


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