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【間話16】さようなら、私の青春〜月谷レオナ視点


◇◇月谷レオナ視点


 4日前、私は王宮の執務室で仕事中、突然見知らぬメイドに腕を掴まれ、ムーンヴァレー公爵邸にテレポートしました。


 あの時は本当にびっくりしました。私は咄嗟に愛用の『監視の魔道具』を掴みました。私がデザイン、特注したお洒落なロケットペンダント型です。これがないと、明日からの毎晩のオカズに困ってしまいますからね。


 そして、私をテレポートさせたメイドは実は弟のケネスの友人である異世界ニホンとこの世界サムシングワールドを行き来出来るというエーコ・タチバナという女性でした。


 久しぶりに家族と会えたのはとっても嬉しかったのですが。


 私が出歯亀目的で喜んで側妃になった裏側で、公爵家が私を盾に脅されてきたと知り、私はめちゃくちゃショックを受けました。


 とはいえ、これ以上ケネス達に迷惑をかける訳にはいかないので、私は異世界『ニホン』に避難するというお話を2つ返事で引き受けました。


 始めは少し不安だったのですが、行ってみるといい意味で物凄く驚かされました。


 文明の進化度が全然違うのです。馬がなくても動く鉄のクルマ、高速で走るデンシャ。継ぎ目のない超高層ビル。まるで遠い未来に来たようです。


 私はいつか、このような技術がもしムーンヴァレー領に入れば…とワクワクした気持ちを隠せませんでした。


 そして、私は豚骨ラーメンを食べて皆さんと別れた後、衝撃の出会いをするのです。


◇◇

 

 何気なく、私は一階の『コンビニ』なる商店で買ったワインとチーズを食べながら『テレビ』なるものを点けました。


 すると、そこには『VOD』なるものがありまして。そこに、あったんですよ!『アダルト』なるカテゴリーが!!


 私の中に衝撃が走りました。そこにはめくるめく世界が広がっておりました。


 こんなの、リリス様なんて比じゃないです!異世界はなんてハレンチで素晴らしいのでしょう! 


 もう発見してしまったからには止まりません。


 しかも、今までと違い、ありとあらゆるジャンルが充実しております。


 こ、こんなに充実しているの?!本当に?!


 凄いです!これを考えた人は天才です!い、異世界!!最高ーーーー!!!!!!



 大興奮していたら、あっという間に朝が来てしまいました。


 しかし、私の心は春の木漏れ日のように穏やかです。こんなに充実した気分で朝を迎えることが出来たのは何年振りでしょうか。

 

 私はこの世界に連れて来てくださったエーコさんに心から感謝をしました。


◇◇


 その日は、印鑑や銀行口座を作り、スマホの手続きをするという慌ただしいスケジュールでした。


 しかし、美味しい焼肉も食べて、帰ったら『アダルトVOD』を見られると思うと私はニヤけてきてしまうのでした。


 エーコさんのお好み焼きもとても美味しかったですが、豚骨ラーメンも焼肉も素晴らしかった!!


 私、豚骨ラーメンなら毎回紅茶の代わりに頂きたいくらいです。豚骨ラーメンは飲み物です!


 私は早く宿に戻り、『アダルトVOD』を見たい一心で、すぐに家を決めました。


 そして、エーコさんとコージと別れた瞬間、『カップラーメン』なるものや、『ビール』というエールに似たお酒、生ハムなどの食料品を買い込んで急いで部屋に籠りました。宿の一階に商店があるというのはとても便利ですね。


 明後日この宿を出て、引っ越してしまうのです!堪能出来るうちに『アダルトVOD』を見ておかないと!


 私は夜中の2時過ぎまでワインとビーフジャーキー、ビールや生ハムを片手に目一杯楽しみました。


 そして、そろそろ寝ようと、寝る前にスマホで新しい家の近所を何気なく調べた先で。


 私は第二の衝撃的な出会いを致しました。


 なんと、決してハレンチなことを調べていないのに、スマホの画面の下の方に『ハレンチな絡み合い』が描かれた美しい絵が動いているのです!


 確か、エーコさんが、この四角いものを、『バナー』と言っていました。


 思わず私が『バナー』のその絵を触れてみると、そこにはさらにめくるめく世界が広がっていました。


 なんということでしょう。


(これで、引っ越してもめくるめく世界を堪能できる…。)


 私は嬉しさでどうにかなってしまいそうでした。


◇◇


 そして、いよいよ引越し当日。私はついに『リリス様の出歯亀』を卒業することにしました。


 私のメイドだけではなく、リリス様のメイドとも仲良くなり、撮影用の子機をお守りと偽って渡すことで、抜け目なく様々なシーンを撮影し続けてまいりました。


 しかし、私はそれを、本日をもちまして卒業します!


 そして、手元の再生用の親機には私の『スペシャルお気に入りコレクション』が入っています。


 王宮で軟禁されていた私にとって、それは『青春』そのものでした。


 ありがとう、リリス様!ありがとう、『スペシャルお気に入りコレクション』!


 私は、新しく異世界のめくるめく世界を教えてくれたこの場所に、私の青春を置いていくこととします。


 さようなら、青春。


 ありがとう、『アダルトVOD』。


 初めまして、『めくるめく異世界』。


 机の上でキラキラと輝く『監視の魔道具』に心の中でお礼を告げて、私はそっと扉を閉じました。


 さあ!引っ越しです。新しい毎日の始まりです!


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